11月4日
スタジオを出たのは、夜も遅くなったころ。
今日はライブのリハだけだったけど、翔太は朝早くからずっと動いてた。
💙「今日はありがとね。みんなで前日祝いしてくれたの、マジ嬉しかった」
助手席の翔太がシートベルトを締めながら笑う。
🩷「出来れば明日したかったけど、スケジュール合いそうになかったんだよな」
💙「それでも、みんな忙しいのに、ああやって時間作ってくれるの、すごいありがたいなって思った」
ほんとそういうところ好きだわ。
車が静かに走り出すと、翔太は窓の外を見ながら、どこか懐かしそうに言った。
💙「ねぇ、あの店まだあるかな。昔よく行ってたとこ」
🩷「お、あそこね。久々に行ってみる?」
💙「うん」
俺ら、ジュニアの頃よく寄ってたんだよな。
腹いっぱいの翔太に無理やり食わせてたのを思い出す。
しばらく走っていると、翔太の返事がだんだんふにゃっとしてきた。
「んー…」「そだねぇ…」みたいな。
完全に睡魔と戦い中。
🩷「寝てていいよ。翔太朝からずっと仕事だったじゃん」
💙「んー……寝ない」
はい出た、5歳児渡辺翔太くん。
目半分閉じてんのに、意地でも起きようとしてる。
🩷「寝ないって言ってるわりに、寝る顔してんのよ」
💙「大丈夫」
思わず笑ちゃう。
頑張って起きようとしてるのが愛おしくて、可愛いんだよな。
信号で止まったタイミングで、
🩷「ねぇ、ちょっとそこ開けてみて」
ってアッパーボックスを指差した。
💙「ん?これ?」
🩷「そう、それ」
翔太が開けると、中には青色のリボンやライト、花や翔太のグッズが飾ってある。そして小さな箱。
💙「なにこれ…」
🩷「誕生日プレゼント。今日しか時間合わなかったから、ちょっとでもサプライズしようと思って」
さっきまで眠そうだった翔太の目が、一瞬でぱぁっと明るくなる。
💙「こういうとこマメだよな…」
🩷「いやいや、誕生日だし。翔太の喜ぶ顔が見たいだけだよ」
ちょっとかっこつけて言ってみた。
💙「そういうのよくサラッと言えるよねぇ」
そう言いながら、スマホを取り出して写真を撮ってる。
🩷「可愛いでしょ」
💙「うん、可愛い」
いや、お前がな?
心の中でツッコミながら、ハンドルを切る。
しばらく沈黙。
信号が赤になり止まって、流れる音楽を口ずさんでると
💙「……大介」
🩷「ん?なぁに?」
顔を向けた瞬間、唇に柔らかい感触。
ほんの一瞬翔太からのキス。
🩷「翔太からとか、珍しいじゃん」
思わず笑うと、
💙「ふはっ、お礼だよ」
って照れくさそうに翔太も笑ってた。
💙「たまにはね……」
街灯が流れる。
助手席で青いライトに照らされて微笑む横顔が、どうしようもなく綺麗で愛おしい。
──なぁ翔太。
お前以上に可愛いヤツなんていねぇよ。
もう、可愛い通り越して、尊いわ。
コメント
3件
いやほんと尊いわ🤦🏻♀️🩷💙
