トンネルに入ってから、どれくらい経ったのだろう。
外から見るとそれほど長くないはずなのに、もう30分は歩いている。
───まぁ、時計の針がなぜか動かないから実際にはどのくらい経ったのかわからないんだけど。
「なんかさー…長くない?」
奈々が突然声をかけてきたので、若干ビクッとしたのは言わないでおく。
「どうやら私達は怪奇現象にあっているようだ」
実は結構わくわくしてたりしてなかったり。
「いや、あっているようだじゃなくてっ!これそろそろ戻った方が──」
奈々は振り返る。そこにはうねり曲がった元の道しか無かった。
『えっ』
同時に声が出る。
「これどうやって戻んの……?」
元の道は曲がっているせいでとても戻れそうにない。
手に取ったカメラでシャッターを押そうとしたが、そんなことをしている場合ではないとやっと思い始めた時だった。
「……! ?」
前方に光が見えたのだ。
───嘘だ、
このトンネルは数年前に土砂崩れで出口などない。
(だったらこの光は一体…?)
どこに繋がってるのか気になるという気持ちと、この先に行ってはならないという本能がぶつかり、私は葛藤する──が。
葛藤する間もなく私はその光に吸い込まれた。
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