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祝! 唐和開港綺譚、二巻以降続刊決定!
おっくんと狭山さんから連絡があったのだが、予約と発売日の売れ行きが予想以上によく、即重版決定、かつ続刊決定したとのことだ。
狭山さんには引き続きの制作協力を頼まれた。
「一巻と同じ条件でお願いしてもいいですか? プロットのたたき台はできてるんですけど、もうちょっと見直したら、またZoomで打ち合わせさせてください」
「大丈夫です、微力を尽くします」
「しかし、奥さんと和解できて本当に良かったですね」
「その際はご心配をおかけしました、申し訳ない……」
そりゃ、制作協力者と担当さんで変な因縁が合ったらめちゃくちゃ心配するよな、狭山さんの立場なら……。
でも今は心配ないし、狭山さんとの打ち合わせの時におっくんの同席もありうるって言われてもぜんぜん大丈夫だし。まあ、仕事だから、おっくんとは敬語で喋るべきだけど。
で、夕飯もお風呂も終わった夜のまったりタイム。千歳(幼児のすがた)は俺の膝でこたつに入り、唐和開港綺譚を真剣に読んでいる。
千歳の持つタブレットの画面的にまだ章の切れ目だったが、千歳は顔を上げて俺に聞いてきた。
『なあ、この話、話の間の漢方コラム、お前が全部書いたんだよな?』
「うん、おっくんが細かい修正入れてるけど、内容は俺の書いた通り」
『なんか、すごく話に合ってる、勉強になるし』
「そりゃありがとう」
決定稿全部読んでから内容をすごく意識して書いたからね……うまく行って何より。
『なー、でも、ひとつわからないんだけどさ』
「何?」
『Twitterでさ、唐和開港綺譚のこと、「狭山誉が百合書くの!?」って言ってる人いたんだけど、百合ってなんか小説のジャンルなのか?』
「え、えーっと……」
ど、どうしよう、概念としてはわからなくもないんだけど、有識者でも定義でバチバチに喧嘩になるやつだぞ!
「えーっと、小説に限らず、漫画とかアニメとかで、女キャラ同士の特別な関係性、みたいな意味かな……恋愛的な関係も含む、みたいな……」
『女キャラ同士? 恋愛?』
千歳は目をぱちくりした。うーん、ベースが昭和の千歳には同性愛が理解しにくいか?
『女学校のエスみたいのか?』
予想外の言葉が千歳から飛び出したので、俺は驚いた。う、うん、確かにそれが源流なんだけどさ!
「それが始まりで、今はもっと広く女同士の特別な関係、って感じみたいだけど……千歳、よく知ってるね」
『うん、上島紗絵、女学校に憧れてたから』
「あー、なるほど……」
そうか、確か戦前に青春な世代の人だもんな。通えなかったのは気の毒だけど……当時エスをやれた女の子たちは、多分相当恵まれた環境だったんだろうな……。
『話的に、主人公の桂花と茉莉が百合なのかな?』
茉莉とは、桂花が世話になる家、ガチガチの西洋医学の家系の末娘で、齢十四にして医師の資格を取った天才少女だ。
「そうだろうね」
『今のところ、桂花の茉莉が気になる度合いより、茉莉の桂花が好きな度合いが強そうだな』
「狭山さん、そういう関係のキャラが好きなんだってよ」
『へえ、じゃあしばらく茉莉の片思いなのかな?』
千歳、百合への理解が早いな……。
『ワシさあ、これ読んで思ったけど、もっと普段の飯で薬膳とか考えたほうがいいのかなあ』
ああ、薬膳についてもコラムで触れたな。薬膳ってすごく深い学問体系だから、応用に入るとものすごく複雑になってしまうんだけども。でも、基本的なことだけならそんなに難しくない。
「えーとね、薬膳の基本は、旬のもの使うのがいいってやつだから、もう千歳のご飯は十分だよ」
『旬のものって、夏に夏野菜とか?』
「冬に冬野菜も。野菜に限らないけど」
『んー、まあ、旬のものは安いし、夏は星野さんからもらえるってだけだけどな』
千歳ははにかんだ。
『前、お前の漢方の体質診断で言われた、薬味多めでって言うのは意識してるんだけどさ』
「うん、夏とか、薬味いっぱいのサラダそうめんとかすごく良かった、おいしかったし、薬膳的な意味でもいい組み合わせ」
『へへ、そうか』
千歳は頭をかき、そして何か思いついたような顔になった。
『あ、明日は鍋で、白菜と大根とネギと春菊入れるら、冬野菜たくさんだ!』
「本当だ、いいじゃん!」
『シメ、明日はうどんな』
「うん、ありがとう」
……薬膳って、親が子を思って作る料理はもう薬膳、という故事がある。別に千歳は俺の親でもなんでもないけど、俺の体を思って、俺の好みも考えて、毎日料理作ってくれてるから、それが薬膳にならないわけがないんだよな。
……ありがとう。
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コメント
1件
え、唐和開港綺譚続刊おめでとうございます…!🥳 めっちゃ嬉しい報告から始まって、千歳との薬膳とか百合の話の流れ、すごく自然でほっこりしました。千歳が「女学校のエス」って知ってたの意外で、でも紗絵さんの影響って納得…。最後の「薬膳は親が子を思って作る料理」って言葉、じんわり沁みました。お互いを思い合う関係性が愛おしいです🤍