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今回はふとん。さんのイラストを元に小説を書かせていただきます!
許可を下ろしてくれてありがとうふとんちゃん!
元絵ほんとに可愛いから見てくださいよ
健全小説でございます
※uskygt
us目線
ky猫化(?)
俺は2人、TOP4のメンバーのガッチマンと見慣れた歩道を歩いている。全くデートとかそういうのではなくて、たまには落ち着いた時間が欲しかったから。でもガッチさんは変わりなくて、いつものあの騒がしい時と大差はない。
「うっしーさぁ、なんか最近面白いことあった?俺すっごい暇なんだよね」
「面白いかどうかはわかんないけど…誕生日当日に顔面パイ投げされてるレトルトの動画ならあるけど見る?」
「絶対面白いじゃんそんなの!見る!」
早く早く、と催促するガッチさんを横目に、ポケットに手を突っ込む。
ガサっ…
…何か、草木をかき分けるような物音がした。ガッチさんもその音に気が付いているようで、音のする方向へ目を向けた。音源は、公園の方からだった。
「ガッチさん…」
「行ってみなきゃね」
道路を横切って、反対側にあった公園に足を踏み入れる。あたりをきょろきょろと見回してみると、何か茶色くて細長いものが低木からゆらゆらと生えているのが見えた。その謎の物体はぬいぐるみのようにふわふわしていそうな表面をしていて、時折引っ込むような動きを見せてくる。俺はそれを「尻尾」だと認識した。動物好きの俺だ、間違いはないはず。
「あれって…尻尾、だよね?」
「多分な、俺がいうんだから間違いないよ」
ガッチさんも同じことを考えていたようで、目を合わせて合図を送り、音を立てないようにしてじりじりと近づいていく。 尻尾だと思わしきものが隠れている低木を勢いよくかき分け、尻尾の主が明らかになる。
そこには、傷だらけで汚れた猫のような何かがいた。
猫の尻尾や耳こそ生えているものの、体は人間としか表現しようがない。着ている服はボロボロで、今にも破けてしまいそうだ。すぐそばにはダンボールが転がっており、箱には「拾ってください」という無責任な一文が書かれていた。
「「…え?」」
「これは予想外だったな…ただの猫だと思ってたんだけど」
「どうすんのうっしー、まさか連れて帰るの?」
「…まあこんな状況見ちゃったら、そのまさかしかないですわな」
2人がかりでなんとか幸いにも寝ている何かを低木の集まりから連れ出し、俺の家へ連れていくことになった。思っていたよりもこいつは巨体で、ただでさえ背が低い俺が運べるほどの大きさではなかった。
「…ガッチさん、お願い」
「わかったよ」
ガッチさんにそいつを背負ってもらい、起こさないように慎重に家へ歩き出した。
家へ着くなりその生き物をソファに降ろし、上にブランケットをかけてやった。本当なら先に風呂に入れたいところだけど、起こす訳にはいかないから仕方がない。俺らはそいつが寝ているソファを揺らさないように慎重に床の座り、これからについて話し合う。
「で、連れ帰っちゃったけどどうすんの?うっしーはこの子飼えるの?」
「居させることはできるだろうけど…俺も実況とかイベントとかあるからなあ」
「とりあえず、我らがレトさんに連絡を入れてみますか」
レトルトは頼れる仲間の1人で、年下なのに俺らよりしっかりしていると言っても過言ではない。ガッチさんはスマホを取り出し、レトルトの携帯へ電話をかける。4コールほどで、聞き慣れた鼻声が聞こえた。
『どしたんガッチさん』
『レトさんってさ、猫みたいな人間みたいな生き物飼える?』
あまりにも下手くそすぎる説明に思わずため息が出てしまう。通話画面からはいつもの毒舌じみた言葉が飛んでくる。
『は?どゆことよそれって』
『要はね、猫を飼う気ある?ってこと』
『猫かぁ、俺猫アレルギーなんよね』
レトさんって猫アレルギーなんだ。初めての情報に驚愕しつつも、猫が飼えないということを間接的に伝えられてテンションが下がる。ガッチさんは、めちゃくちゃ顔に出ている。眉間に皺が寄りまくっている。だが再び言葉を発すると同時に、いつもの優しい笑顔に戻った。
『そっかぁ、ありがとう』
『ええよ別に。よくわからんけど頑張ってな』
その言葉を最後に通話が終了した。俺とガッチさんはそっと目を合わせ、同じタイミングで口を開く。
「「どうする?こいつ…」」
「レトさんは猫アレルギーで猫が飼えない、俺は実況とかがあるから無理…ガッチさんも実況とかあるよね?」
「そうだよぉ…どうしよう…」
ふと目線を背後にやり、ソファに横たわっているはずの生き物に目を当てる。
ソファの上には乱雑に避けられたブランケットとクッションだけが残っており、肝心の生き物の姿が見当たらなかった。
「ガッ、ガッチさん…!」
「あの子…どこに行ったの!?」
辺りをキョロキョロと見回してみると、それらしい姿は見当たらない。すると、キッチンの方からガサガサと物音が聞こえてきた。何か物色しているような、かなり大きい音だ。俺とガッチさんは頷き、そっとキッチンへ向かう。
「誰だっ!!」
「あっ…!」
壁から勢いよく飛び出してみると、そこには冷蔵庫を漁っているあの生き物がいた。唐突に現れた俺らに吃驚したのか、後ろにバッと飛び跳ね、毛を逆立てている。目つきは鋭く、心臓に突き刺さってくる。
「なっ…誰だよお前ら!」
「その前に、何やってたの?ここで。勝手に逃げ出して」
「そうだよ。ここは、俺の家。公園でぶっ倒れてたお前を連れて帰ってやったんだよ」
公園にいた時のこの生き物の状態を伝えると、反省したかのように逆立っていた毛をしならせ、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ご…ごめん…目を覚ましたら、急に知らない部屋の中にいて…そんで、知らないお前らがいたから怖くなって…起き上がって抜け出して…」
「ここに行ったんだな?」
「うん…食べ物の匂いがしたから…」
よほど食べ物に飢えていたのだろうか。確かに、この生き物の着ている服から覗く肌はとても細く、あまり健康的とは言えない体型をしていた。おまけに、肌の色は土のように青白かった。ところどころに擦り傷が見られ、泥汚れもある。…これはすぐにきれいにさせたほうがいいな。
「しょうがねえな…ガッチさん、こいつ風呂入れて。シャンプーとかは人間のと一緒だろ。着替えは…急いで買ってくるから」
「りょーかい!それじゃ、こっちおいで」
「えっ?何っ?」
されるがままに、その生き物はガッチさんと共に風呂場へ向かった。その時の顔は大きく目を見開いていて、少し口角が上がってしまった。
「じゃ、買ってきますか」
俺は自室にかかっていたコートを羽織り、財布をポケットにしまい込む。家の鍵を握り締め、俺は自分の家をあとにした。
服や下着とあいつが食べられそうな食べ物をいくつか買ってきた。机の上に買ってきたものを広げる。風呂場からは水音が反響して聞こえる。…まだ風呂に入れてるのか。そんなことを考えながら、つけられたままのタグを取り外す。
「うっしーーー!出たよー!」
風呂場の扉からひょっこり顔を出し、声を張り上げる。そんなデケェ声出さなくても聞こえるっつの。手をひらひらと振り、間接的に了承を伝える。頭見えているガッチさんはスッとひっこみ、あの生き物に何か話しかけているような声が聞こえてくる。そっと聞き耳を立て、何を話しているか盗み聞きをしてみる。ちょっと悪いことだけど。
「君、名前なんていうの?捨てられてた段ボールにも書いてなかったけど」
「なまえ…その、なまえ?っていうのかわかんないけど、『キヨ』って呼ばれてた」
「キヨね、わかった。よろしくね、キヨ」
「う、うん…」
どうやら、あいつの名前はキヨというらしい。どうも変わった名前だな。会話の続きが気になり、再びドアの向こうの声に耳を澄ます。
「その…お前とあのメガネのちっちゃいのはなんて呼べばいい?」
ちっちゃいのって。めちゃくちゃ失礼じゃねえかあいつ。少しだけキヨに苛立ちを覚える。確かに俺より全然デカかったけど…その言い方はねえだろ。事実だけど…
「あーね、そういうこと。俺はガッチマン。ガッチさんでいいよ。あのキヨのいうメガネのちっちゃいのは牛沢。みんなはうっしーって呼んでる」
「ガッチさん…うっしー…、よし、覚えた」
「うん、偉い」
残念だがそこで会話は聞こえなくなってしまった。話し声の代わりに、ドライヤーの音がドアを通り抜けて聞こえてくる。尻尾まで全部乾かさなきゃだろうし、普通にドライヤー嫌がって時間かかりそうだな…もう服のタグ取り終わっちゃったし。買ってきた弁当さらにでも盛っておくか。
しばらくすると、風呂場からガッチさんが出てきた。だが、キヨはまだ出てこない。ガッチさんから話を聞くと、キヨにはまだ買った着替えを渡していなかったので、タオルだけだと恥ずかしいそうだ。俺は新品ツヤツヤの衣服を手に持ち、風呂場へ向かう。
「キヨー?お前の着替えここに置いとくから、着替えたら出て来いよ」
「うん、ありがとううっしー」
脱衣所の前にそっと畳んだ服を置くと、少しだけ開いたドアから手が伸びる。と思えば、すぐにその手は服を掴んで引っ込んでしまった。さすが猫、動きが俊敏だった。
「うっしー、結局キヨは飼うの?俺あんま1人で生き物の管理とか苦手なんだけど」
「んー、出来るっちゃできるけど、あんなデカいの飼ったことないし…」
うーん、と2人で喉を唸らせていると、脱衣所の方からドアの軋む音が聞こえた。ふと顔を向けると、最初とは比べ物にならないほど綺麗になったキヨが目に入ってきた。最初はボサボサと跳ねていた髪の毛は落ち着き、歩くたびにふわふわと揺れていた。怪我をしていたほっぺにも絆創膏が貼られ、耳と尻尾さえなくせば普通の生活をしている普通の人間に見えた。
「おー、めっちゃ綺麗になったじゃん」
「頑張ったからね、時々嫌な顔してたけど」
「キヨ、そこで止まってないでこっちおいで」
俺とガッチさんが座っている間のスペースをぽんぽんと叩き、ここに座るよう促す。示していることがわかったのか、耳をピンと立てこちらに駆け寄ってくる。そっと間に立ち、ゆっくりと屈みそのままあぐらをかく。そこでやっと自分の目の前にあるものに気がついたのか、ぱっと目がキラキラ輝く。座っている目の前のテーブルの上には、白い湯気がほんのりと立つ温かい料理が並んでいる。
「ただの弁当をレンチンして皿に盛っただけだけどな、元野良にはご馳走だろ」
「うっしー!これ全部俺の!?食べていいの!?」
「いいよ。そのために買ってきたんだから」
心の底から暖かくなるような笑顔を見せ、どれから食べようか迷っているようだ。今までこいつは、誰かに飼われていたのだろうか。考えると、少しだけモヤっとした感情がよぎる。すると、急にキヨは目尻と眉毛を下げ、困ったような表情になってしまった。
「どうした?嫌いなもんでも入っちゃってた?」
「いや…俺が見てきた人間ってみんな手を使って食べてなかったから、真似しようとしたんだけど」
「持ち方わかんないの?大丈夫、ちゃんと教えるから。箸は難しいから…スプーンはね、こうやって持つの」
「こ…こう…?」
ガッチさんがお手本としてスプーンを手に持ち、それに続くようにキヨはスプーンを手に取る。初めてだからなのか、少しだけ持つ手がプルプル震えていた。
「手、めっちゃ震えてるぞ。大丈夫か?」
横からそっと手を伸ばし、キヨの震えている手を支える。どうやら安心してくれたようで、震えは収まってしっかり持てるようになった。スプーンで目の前にあったオムライスをすくい、こぼさないよう丁寧に口に運ぶ。一口頬張ると、今まで見たことないほど明るい笑顔に早変わりし、ぱくぱくと食べ進めていた。
「ガッチさん、ちょっと提案なんだけど」
「ん、なに?」
「キヨと一緒に3人でここ住まない?」
「あああ!その手があったね確かに!うん、住む!」
いきなりのガッチさんの大声にびっくりしたキヨが、こちらを恨めしそうに見つめてくる。大声出したの俺じゃないんだけど。
「なに?急に。びっくりしたじゃん」
「俺ら3人でここに住もうって話。俺と、ガッチさんと、キヨで3人」
「え、ほんと!もうご飯に困ることない!?」
「ないよ、絶対にな」
嬉しさのあまりキヨは地面から立ち上がり、ぴょんぴょんと飛び跳ねている。しばらく飛び跳ねて満足したのち、少し照れくさそうに顔を赤らめて再び地面に腰を下ろす。
「じゃあみんなの了承も得たわけだし、ガッチさんはこっちに持ってくるもん持ってこいよ」
「そんなのわかってるよ」
「んじゃ、けってーで。俺らもこの…大量の料理食べようか」
視線をテーブルの上にやると、3、4皿ほど料理が山盛りになっている。ちょっと買いすぎたな…キヨはそんなことも気にせず、やっと使い慣れてきたスプーンで器用に食事を口に運んでいる。用意してあった箸を手に持ち、皿を取り分け料理を乗せる。
大量にあった料理はあっという間になくなっていて、皿や食器の片付けに追われている。キヨは疲れたか、はたまた安心したのか、日の当たる窓際に横たわって寝息を立てていた。
「よかったね。キヨどうする問題も解決したし、家賃半分になるし」
「だいぶ邪なこと考えてんなあガッチさん…」
「でも3人でこれから住めるのすっごい楽しみだよ?俺ペットとか飼うの初めてだし」
「まあ確かに」
冗談を交えながら、これからの生活について相談していく。食事や洗濯、部屋の割り振り。誰かと一緒に生活するというのは俺も初めてのことだったので、何があるかがわからない気持ちはあったが、緊張や不安は微塵も感じなかった。きっと、ガッチさんのこともキヨのことも心から信頼してるのだろう。
「改めまして、よろしくガッチさん」
「こちらこそよろしくね、うっしー」
同居開始の挨拶をさりげなく交わす。一緒に住むのはお互いだけじゃない。あと、もう1人。
「「これからよろしく、キヨ」」
「うっしー!ガッチさん!早くメシ!」
「はいはい、わかってますよーだ」
「絶対わかってなーい!」
3人で暮らし始めて3ヶ月ほど経った頃だろうか。キヨは少しだけ生意気になってしまった。だが、時々素直に喉をゴロゴロ鳴らしたり、膝の上で爆睡したり。初めて会った時よりも生き生きして、食べるものにも全く困っていない。
「はーい!できましたよキヨ、今運ぶから待ってて」
そしてガッチさんはキヨに甘い。キヨが言うことを聞いてくれなくても、「そういうお年頃」で全部片付ける。1回だけ、ファミレスでガッチさんの水をキヨが飲んでしまった時だけキレてた。完成した料理をダイニングへ運ぶ。もうキヨは自分の席に腰掛け、ゆらゆらと横にいる揺れている。今日の飯は牛タン丼。キヨの好物を見つけようと色々なものを食べさせたところ、一番美味しかったのがこれだという。
「2人とも!もう食べていい?」
「いいよ、ちゃんといただきます言えよ」
「もう忘れないよ、うっしーに散々怒られたからね」
いただきます、と手を合わせ、完全に使い方を習得した箸で器用に料理を平らげていく。俺らも自席につき、自分で作った料理に口をつける。
「…あのさ、2人とも」
「なに?キヨ」
「俺、ここにずっといていいの?最近ずっといさせてもらっちゃってて、俺も外に出なくちゃ迷惑かなって」
「そんなことしなくていいよ、ガッチさんと協力してずっと過ごしてるだろ?だからいいの」
「でも…」
「でもじゃないの。キヨは何も心配しないで、ここにいてくれればいいから」
どこか申し訳なさそうに俯くキヨの表情は、暗くいつもと違って見えた。キヨには、ずっと笑顔で平和に過ごしていてほしい。いつしかそんな気持ちが芽生えていた。
「キヨ、俺は、ずっとキヨに笑顔でいてほしい。だから、そんな顔すんな」
「俺も、キヨがそんな悲しい顔してたら悲しくなっちゃうよ」
この3ヶ月間、悶々と悩んで言えなかった想いが今やっと言葉にできた。この気持ちはガッチさんも一緒だったようだ。
「…ほんとうに、ここにいていいんだよな?」
「「うん」」
キヨはぎゅっと唇を噛み締め、いつもと違う笑顔をこぼした。明確に違うところは、目尻に大粒の涙が溜まっていたことだ。
「これからも、3人で一緒に過ごそうな!」
そう言い放ったキヨの顔は今まで見たことがないほどに明るく、優しかった。
俺は、この瞬間から誓った。
絶対に、幸せにしたい。死ぬまでずっと。
コメント
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ぇえ〜〜‼️😭💖💖最高だよ😩💕マジ本当にありがとう😭😭😭😭💓💓