「死神」の我儘

目黒のマンションに着いたが渡辺は降りない。マイケルとケインは急かさず待っている。それでも渡辺は動かないで、身体を抱きしめている。そこに目黒が降りてきた。

目黒ー翔太くん？

渡辺ー・・帰る。

目黒ーおいで。

渡辺ーやっ！

マイーショータ、スナオネ。イチバンネ。

ケイーアイタカッタネ、ナイタネ？

渡辺ーマイケル、ケイン、でも・・。

目黒ー翔太くん、おいで。

渡辺ー・・蓮・・。

マイーイクネ〜。

ケイー蓮、シンパイシテタネ。

渡辺は、上着の前をぎゅっと握りしめ、車から降りた。

目黒が抱きしめようとしたら、身体を引き「外だから」と言う。

マイケルとケインに礼を言って、2人は帰って行った。

目黒が渡辺の背中を押してマンションに入っていく。渡辺は震えている。何もなかったとは言えない。

家に帰るのが、怖い。

渡辺ーやっぱり帰る。

目黒ーだめ、安心させて。

渡辺ー無理、だめ。帰る。

目黒ー入って。

ソファに渡辺を連れて行く。

パーカーを持って来た。渡辺に差し出す。渡辺が手を伸ばしたところで、目黒が上着を引っ張り裸にさせる。

目黒ー何された？

渡辺ー・・。

目黒ーこれとこれ、赤いね。

渡辺ー・・。

目黒ー何があった？教えて？

渡辺ー目黒が見て想像した通りだ。嫌いになっただろ？弱くて、いつも同じ。やられる負ける。

目黒ー死神に激しく怒ってるけど、翔太くんには怒らないよ？

渡辺ーんっ・・んっ・・悔しい。

目黒ー翔太くん・・。

渡辺は目黒の膝にすがって、声を上げて泣く。何度も「悔しい」と言いながら。

そこへ、梨花から電話がかかってきた。渡辺の泣き声は梨花にも聞こえている。目黒は、梨花の友人のおかげで酷いことにはならなかったと言う。渡辺が泣きながら、「何もされなかったわけじゃない！もう嫌だ！」と叫ぶ。

梨花ーしょっぴーは大丈夫？

目黒ー俺がついてる。

梨花ーマイケルからも電話があったわ。ギリギリ間に合ったって。

目黒ーん〜何とか。

梨花ーちょっと悪戯されたのね？

目黒ーん、大丈夫。

目黒は梨花との電話を切り、渡辺に覆い被さる。さっきのことを思い出したのか、目黒から逃げて壁に背中をつけ、首を振る。

裸でいつまでもいられない。

目黒ー翔太くん、シャワー浴びる？

渡辺ーんっ。

目黒ー俺が綺麗にしてあげる。

渡辺ーお仕置き？

目黒ー今回、お仕置きはなし。大事にしたいだけ。

渡辺ーんっ・・んっ・・。

目黒ーシャワー行くよ？

目黒に綺麗に洗われて、出てきていつものツルツルのバスローブを着る。