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僕は生まれた時から”味覚”・”嗅覚”・”聴覚”・”触覚”が良かった
その代わりに1つ代償があった…
それは、目が全く見えない事
目の前はずっと暗く、周りがどんなふうになっているかも分からなかった
僕は見えない事の恐怖に怯え歩く事も恐れた
両親の顔も分からず、友達の顔も分からず、自分の顔さえも分からない
代わりの様に僕には 魔法スキル”気配察知”・”脳内整理”を習得していた
周りは運が良いと言うがそうは思わない…
魔法なんて要らない..視覚が戻るならなんでも良かった
でも、現実は甘く無い…失った物は二度と戻らない….
両親に何度も(ごめんね)と言われたが何も言えなかった
本当は違うと思っていても、一時期両親に恨みさえも抱えていた
毎日泣き崩れ、部屋からは出ずこれからの未来に絶望していた
このまま死んでも良いとも思えた…目は赤く腫れ涙だけが顔に流れる
一度は部屋から出てみたが、やはり恐怖が勝った
目があるのに見えない…そして、涙は出て来る
何度も自分を呪い、周りを恨んだ…そしてまた、部屋に閉じ篭った
「誰か僕を助けてよ…」
それから1週間が経った
♦︎ ♦︎ ♦︎
「アレク..ちょっと良いか?」
「父さん…」
父さんの声は枯れていて、元気がなかった
ゆっくりと部屋に入り、近くの椅子を僕の前に持って行き座った
「アレクはこれからどうしたい?」
「…..別に、なんでも良いよ」
父さんに質問された俺は何も考えずにそう答えた
「…..父さんな..昔、冒険者をしてたんだ」
少し間を置き、話し始めたのは父さんの昔話だった
「仲間と共に旅をして、魔物と戦って人助けをして色んな所に行った」
「冒険の途中左目を負傷して片目だけになっちまった…それでも俺は冒険をやめなかった…」
「何故だと思う?」
父さんはゆっくりと話しながら僕にまた質問をした
「…..わからない」
他人の気持ちなどわからないし、正直どうでも良かった
だから”わからない”と答えた…..すると
「理由は簡単だ…冒険が楽しかったからさ」
「片目失ったから何もできないわけじゃない…アレクだってそうさ
お前はやりたい事をやったら良いんだよ…商売や冒険者、魔法を極めたり…」
父さんは自分が片目を失っているのを聞き、正直驚いた
だけど、父さんが何を伝えたいのかがよくわからなかった
「結局..父さんは何を言いたいんだよ…」
「簡単に言うと、諦めるなだ…自分の得意な事を見つけるんだ」
「それが段々楽しくなって、いつかは夢中になる…諦めるのはそこからでも悪くない」
父さんは僕の手をゆっくりと握りながら話していた
手からは父さんの温かさを感じる…やっぱり優しい親だと思った
「…..父さんがそこまで言うならやってみるよ…」
「‼︎…」
僕の言葉を聞き父さんは泣きながらこう言った
「ありがとう」と…