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「わぁーっ! たかいたかぁーーーい!」
あやされてる赤ちゃんではない。いまわたしは地上を遠くに見下ろす高さを巨きな鳥に乗って飛んでいる。
楽しくてつい鼻歌を口ずさんでしまう。子供の頃からの癖だ。
「落ちないように気をつけてくださいね。」
わたしはまた一つ、このエルフに憧れた。
目的地は北東にある山の麓らしい。
そこまで行くには徒歩でなら20日、馬でも4日は掛かるらしく、歩いて外に出ると言われた時には荷造りをし直すのに戻ろうとしたくらいだった。
まあまあと促されるままに街の門から見えない街道脇まで離れると、ロズウェルさんは地面に長い木の棒で落書きを始めた。
「なんの絵ですか? 目印を描くにはまだ出たばかりですし、地面だと分からないですよ」
子どもの落書きほどには乱雑ではないけど、おおきな二重円の中に模様を詰め込んでいく作業は少し楽しそう。
「もう少しで出来上がります。きっと気に入って貰えると思いますよ」
人差し指を口に当てて片目を閉じる、いわゆるウインクって仕草がさりげなくてカッコいい。エルフってこんななのね! 憧れが鰻上りだわ。
ほどなくして完成したそれは、見たことない図形なのになんだか知ってるような気がする。
「手を出してください」
言われて差し出した手を握って、ロズウェルさんは片手を図形に向けて呟く。
「風の使徒よ、我が前に現れよ」
風に色があるなんて思わなかった。
図形の上で渦巻いたエメラルドグリーンの風が次第に形を変えて、それがとても巨きな鳥のように見えたところで、中から大鷲が現れた。