「ふんふん、成る程?」
森田部長が書類を手にしながら、二度三度と繰り返し頷く。
「行きに散歩道で散策しながらお土産を見て、メインは縁結び神社だね。帰りには、俺が希望した城に寄ってくれるんだ?」
部長の手元に収まる、紆余曲折の末に纏まった社員旅行の日程表に、私も視線を落としながら、顎を引いた。
「はい、慰安旅行の意味も込められていますから。比較的、ゆっくり見て回れるように組んだつもりですが、いかがでしょうか?」
問うと、部長が手にしていた書類の向きを、くるり、と直し、私に戻してくれる。
反射的に受け取ると、部長が私と総一朗に順に目配せをした。
「うん、いいと思う。――プライベートも忙しい中、無理を頼んでごめんね」
少しだけ申し訳なさそうに眉を下げた部長の言う、「プライベート」は、私達の結婚準備を指しているだろうことはすぐにわかった。
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