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第12話、読み終えました……冒頭のトラック事故から母を失った過去が自然に重なって、胸がぎゅっとなりました。母を亡くしたトラウマを抱えながら、父の言葉を胸に踊る少女を助けようとした主人公の姿に、設定としての「因縁の反復」が美しい。ぬいぐるみがクッションになって重症を免れたという描写も、過去と現在が静かに繋がる伏線として効いていますね。すずが突然姿を消した理由、気になります……次話が待ち遠しいです。
…すずが僕を庇って、トラックに、轢かれた。
それから1日がたとうとしている。
もう手術は終わってすずは静かにベッドで眠っている。
慌ただしく動いている看護師達をみながら、僕はすずの手を握る。
すずの横には少し汚れたペンギンのぬいぐるみ。
僕があげたこのぬいぐるみがクッション代わりになっていてそこまで重症ではなかったらしい。
思えば僕はいつも守られてばっかりだった。
今でも思い出す、あの日のこと。
「ねこさん、まって〜!」
「…っはるちゃん!ダメ、こっち!」
小さい頃公園に行った帰り道、僕は周りも見ないで猫を追いかけていた。
すると目の前にすごいスピードで走ってくる小型トラックと、叫びながらこっちに走ってくる母の姿。
気づけば僕は病院にいて、隣で泣いている父が僕を見て安心したように抱きしめてきた。
「はるか!よかった、お前だけでも無事で…!」
「おとうさん?」
僕を抱きしめて離さない父。
走り回る医師たち。
姿の見えない母。
「おとうさん。おかあさん、どこ?」
僕がそう聞くと、苦しそうな顔になる父。
でもすぐにいつもの優しい顔になって言った。
「お母さんはね、遠い遠いところに行ったんだよ。」
「わたし、なにもきいてないよ?」
「お母さんははるかが聞いたらついていこうとするって思ってたんじゃないかな?でもお母さんが行ったところは、はるかにはまだ早いから言わなかったんだよ」
その時看護師が痛いところがないかなどを聞きに来たため、話はそこで終わった。
中学生になって母は僕を庇って亡くなって、父は僕を安心させようとああやって言ったんだと分かってからは学校にいけなくなってしまった。
自分はなんで生きている?
僕の代わりに母が死んだのに、なぜ自分はこんなにも楽しんでいるのか?
生きていれば母にも嬉しいこと、楽しいことがあったはずだ。
それを奪った僕なんて…!
そんな状態だったときに、父は僕に言った。
「生きていて辛いこともある。でもお母さんが守ったその命で、この人生を楽しみなさい。そして同じように絶望している誰かを、助けてあげなさい。お母さんもきっとそれを望んでいる」
そう言われ、しばらく足が遠のいていた学校に行ける日は行くようにした。
最近始めたダンスにも、真剣に取りくんだ。
それで、母に恩返しができるのであれば。
高校生になったある日、眠れなくて散歩に出た。
なぜかあの公園の近くにまで来てしまって帰ろうとした時、その公園で踊る少女を見た。
何かに怖がっているように見える顔で、踊っている少女。
でも踊っている姿はとても楽しそうだった。
なぜか声をかけなければならない気がして、声をかけたときの驚いた顔。
多分この子にも何かしらの事情があって、ここで踊っているんだと思う。
少しでもこの子を楽にしてあげたい。
そう思った。
次の日も、また次の日も公園で踊り続ける少女。
いつしか僕たちは一緒に踊るのが日常になっていた。
でも、ある日突然その少女は公園に来なくなった。
最初は偶然かなと思っていたが、一週間経っても現れなかった。
なにかあったのかもしれない。
それを知るすべは持ち合わせていなくて、時間だけが過ぎていった。