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私は個人で絵のモデルをやっている。今日は小学校近くの美術教室でお仕事だ。場所柄、小学生の生徒さんも多いけれど、今日は大人専用ということで、ヌードデッサンが行われている。
別室で服を脱いでバスタオル一枚になったんだけど、何これ? やけに荷物がたくさんあるなぁ。何だか、倉庫見たい。と、思ってたら先生が教えてくれた。近くの小学校で文化祭があるそうで、その荷物を置かせてあげているらしい。
私の小学校のときは文化祭なんてあったっけ。なんでもこの学校は小中一貫校らしく、中学生のお兄さん、お姉さんなんかが手伝いながらやるそうだ。そういの、なんかいいね。
「じゃあ小鳥遊さん、お願いします」
はい、わかりました。と言って、私はキャンバスの前に立つ。裸でポーズを取る私の姿を、教室のみんなはじっと見つめる。静かな時間が流れる。
しばらくすると、小学生たちのわいわい騒ぐ声が聞こえてきた。下校時間なのかな? ちょっとうるさい。でも、美術教室は問題なく終わった。
さあ、着替えて帰ろう。と、思ったら、あ、あれれ? 服がない! どうしよう……。まさか裸のまま帰るわけにはいかないし。誰かに相談するべきだろうか。
とりあえず更衣室を出てみる。誰もいない。うーん、やっぱり誰かに相談すべきかなぁ。でも恥ずかしいし。と、悩んでいると、後ろから突然肩を叩かれた。
びっくりして振り向くと、そこには一人の男の子がいた。背が低くてかわいらしい感じの子だけど、顔つきも体つきもなんだか大人っぽい。えっと……誰だろう? 見たことない子だよね。
「お姉ちゃん、なんでそんな格好しているの?」
「これは……あの……服がなくなちゃって。そこの更衣室に置いておいたんだけど……」
「そこの? うーん、じゃあ、文化祭の荷物とまぎれちゃったのかも」
「ええっ! どうしよう……」
「荷物はどこにあるか分らないから、探さないと見つからないと思う」
探すったって、私、この恰好だし。こんなところを人に見られたら大変だよぉ。でも、このままじゃ帰れないし。困ったなぁ。
「そうだ、お姉ちゃん。僕、絵の具を持っているんだ」
え、絵の具? それで、どうするの???(続く)