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相沢蒼依
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私は以前結婚していた
過去形なのは過去だから
過去にいたあなたと
今いる貴方
過去のあなたは私にあらゆる事を教えてくれた
すべてはあなたから始まった
男の人と交わる時、身体のどこが気持ちいいのか
当時何も知らなかった私に女としての喜びや嫉妬
快楽を隅々まで‥
あなたと知り合った20歳前から
私はあなたのおかげで子供を授かり、育て母親として成長できた
母親の私も女の私も愛してくれて
きっと歳を重ねてもお互い笑って過ごせる
たくさんいる夫婦の一組で終わると信じていた
でも‥あなたは突然私の前から消えた
消息をたった訳じゃなく消えた
病魔という抵抗できない悪魔にあなたは捕らえられた
そしてあっという間に
私の前からいなくなった
私や子供たちを置き去りにして
ありがとうなんて言葉残さないで
私はあなたに何もしてあげてない
私はあなたに甘え、感情をぶつけ、涙を見せなかった
そう‥私はあなたの前では泣かない
病気が発覚した時も泣いたのはあなた
私や子供たち、私の両親に対して泣いた
ごめんと‥もう幸せにしてあげられないと
私が見たあなたの涙
私はあなたのようには泣けなかった
病院からもう最後ですといわれ
駆けつけた時あなたは
久しぶりに見た子供たちに笑いかけ
クリスマスプレゼントの話や学校のこと
必死に聞き出そうとしていた
家族で最後の夜
父親であるあなたは長男にお母さんを頼んだよ
守ってあげなさいと伝えていた
長男は頷いただけで私はその言葉を
遺言の様と冷静に聞いていた
そして
あなたがこの世界から離れる時が少しずつ近づいて
私に向かって
ありがとう、ありがとう
ごめんね、子供たちをよろしくね
あぁあなたはいなくなってしまう
そう思った瞬間今まで止まっていた私の中の何かが
堰を切ったように眼から落ちた‥涙だ
大丈夫だよ と言えたか今も思い出せない
任せて安心して と言ったのかもしれない
あなたの心臓がぴっぴっぴっ‥止まるまで
モニターを見つめていたけど
あなたの顔もちゃんと見ていたよ
ちょっとだけ笑ってた
楽になってよかったね
心の中で私もちょっと笑ったかもしれない