💜いやー、今日のロケマジでウケたわ!
🩷しょっぴーがさー!
💙俺は何もしてねぇって!
💛確かに面白かった
💙はぁ?!
ガヤガヤ、わちゃわちゃ。
廊下の向こうから聞こえてくる声は、紛れもなくSnow Manのものだった。その日常的で、温かい騒がしさが、今の康二にはひどく遠い世界のものに聞こえる。
ガチャリ、とドアが開く。
💜おー、やっぱ誰もいねぇ…って、ん?
最初に楽屋に入ってきた深澤の声が、途中で止まった。ソファに横たわる俺の姿を認めたのだろう。彼の後ろから続いて入ってきたメンバーたちも、次々に言葉を失っていく。
さっきまでの喧騒が嘘のように、楽屋はしんと静まり返った。テレビ局の楽屋に漂う独特の埃っぽい匂いと、俺が撒いた消臭スプレーの匂いが混じり合って、鼻をつく。
この静寂が、何よりも康二の心を抉った。俺のせいで、この楽しい空気を壊してしまった。その申し訳なさに、胸が潰れそうになる。
なんとか、いつも通りを装わなければ。康二はゆっくりと目を開け、億劫な体を起こすと、へらりと笑ってみせた。
🧡ぁ…ごめん…みんな、お疲れ様。俺、ちょっと疲れて寝てたわ…
しかしその言葉は、凍りついた空気を溶かすどころかさらに固く凍らせてしまった。
俺の顔を見た瞬間、メンバーたちの顔つきが一気に変わる。
深澤と岩本は、明らかに何かを察したような、険しい顔。
渡辺と宮舘は、「は?」とでも言いたげな、怪訝そうな顔。
阿部と佐久間は、隠しきれない心配を瞳に浮かべている。
そして、ラウールと目黒は――ただ、絶句していた。
8人8様の視線が、槍のように俺に突き刺さる。隠している痣。死人のような顔色。
必死に作った、引き攣った笑顔。
それら全てが、俺の「大丈夫」という言葉を空々しい嘘に仕立て上げていた。
もう、見ていられない。その視線から逃れるように、康二はふいっと目を逸らした。その行動が、彼らの疑念をさらに深いものにしたとも知らずに。