テラーノベル
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side 大森
最近、3人の時間がない。
テレビ、ライブ準備、レコーディング、取材。
家に帰ってもそれぞれ資料や楽曲チェック。
同じ空間にいるのに。
一緒にいない。
僕はソファで膝を抱える。
(さみしい)
言えばいい。
でも、 ふたりも忙しいの分かってる。
だから言えない。
代わりに、 変なことを思いついた。
数時間後。
インターホンの音。
ガチャ、と音がする。
すると、涼ちゃんが先に帰ってきた。
「ただいまー」
続いて若井。
「今日寒いな」
部屋の電気がぱっとつく。
すると目の前には、 玄関に立つ僕。
黒と白のフリル。
ひらっと広がるスカート。
レースのカチューシャ。
完璧なメイド服。
しかも本気。
姿勢まで綺麗に。
「おかえりなさいませ、ご主人さま♡」
一礼。
沈黙。
3秒、涼ちゃん が固まる。
若井が瞬きする。
もう一度見てくる。
「……なにしてるの」
僕はにっこり。
「今日だけ限定サービスです♡」
くるっと一回転。
スカートがひらり。
中性的で可愛い僕の顔に、フリルは反則でしょ?
僕を見た涼ちゃんが、顔を覆う。
「はぁぁ、可愛いが暴力してくる」
若井は額を押さえる。
「……説明して」
僕は少しだけ視線を落とす。
「最近、忙しいから」
小さな声で。
「構ってほしくて」
その一言で。
ふたりの空気が変わる。
涼ちゃんがゆっくり近づく。
「さみしかった?」
僕はちょっとだけ頬を膨らませる。
「……ちょっとだけ、」
若井がため息をつく。
優しいやつ。
「ちゃんと言ってくれればよかったのに」
僕はうつむく。
「邪魔かなって、思って、」
涼ちゃんが即座に否定。
「邪魔なわけないでしょ」
若井も頷く。
「俺たちが時間作るの、下手だった」
僕は目を上げる。
「……怒らない?」
涼ちゃんが笑う。
「むしろ最高」
若井も真顔で言う。
「似合いすぎて困る」
僕は照れて、きっと耳まで赤くなっている。
「ほ、ほんと、?」
涼ちゃんが手を取る。
「で?今日は何してくれるの、メイドさん」
僕は胸を張る。
「ご主人さまの疲れを癒します!」
若井が低く笑う。
「じゃあまず、隣に座ってもらおうかな」
ソファに3人並ぶ。
僕は真ん中。
フリルが少し潰れた。
涼ちゃんが肩に寄りかかる。
若井がもう片側に腕を回す。
「これでいいの?」
僕が聞く。
涼ちゃんが即答。
「うん、最高だよ」
若井も小さく言う。
「ずっとこのままでいい」
僕は目を閉じる。
(……あ、満たされた)
メイド服はちょっと寒いけど。
心はあったかい。
涼ちゃんがふと思い出す。
「写真撮っていい?」
僕の顔は真っ赤。
「だめ!!絶対だめ!」
若井が笑う。
「ただの保存用だって。誰にも見せないよ?」
僕は顔を隠す。
「今日限定だから!」
涼ちゃんがにやにやしてる。
「じゃあ次は執事?」
僕は即答。
「それは若井でしょ」
若井が一瞬固まる。
そんな若井を見て、涼ちゃんが爆笑してる。
家の中に、 久しぶりにちゃんと笑い声が響く。
構ってほしいって言えないから。
フリルで伝えた。
それでも。
僕の思いは、ちゃんと届いた。
コメント
1件
見たいっ!見たいっ!見たいっ! 元貴のメイド服姿 見た~いっ♥️