ひらりと舞い落ちてくる桜に目を取られる
阿部「綺麗、…」
毎年、桜を見るとあの夏に出会ったあの子を思い出す
阿部「……………」
桜が降ってくる方角を向き、目を閉じてあの子の事を思い浮かべる
あなたは今、幸せですか、?
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それは数年前の、雨がふりしきる梅雨のことでした
俺はとあるアレルギーが原因で8月末まで入院することになっていた
医師「じゃぁ、阿部くん。今日からここの病室でよろしくね。」
俺が案内された病室はピンク髪の男の子1人がいる病室だった
医師「今あの子寝てるから邪魔しないであげてね」
阿部「…あ、わかりました、」
医師「じゃぁベッドの上で寝ててね。もう少ししたらお母さんが本とか課題持ってくるからね。」
阿部「分かりました、」
阿部side
少しだけずるかった
ピンクの子が窓側にいるから僕は窓側に居れない
俺が窓側のベッドが良かった
あのピンク髪の子は窓側を向いて寝ている
阿部「………」
なんでピンク髪なんだろう、
名前は?年齢は?
気になることが多かったけど流石に起こすのはダメだから
俺は天井を見てぼーっとしていた
こんこん、
阿部母「亮平?これ置きに来たよ〜」
阿部「あ、ありがとう。」
阿部母「じゃぁお母さん仕事戻んないとだからお大事にね。」
阿部母「明日も来るからね!!!」
阿部「はいはい、」
がらららっ、
????「…もう行った??」
阿部「びくっ、」
????「そんな驚く??笑」
阿部「びっくりしたぁ、」
????「君が新しい子??」
阿部「あ、…あぁ、うん、」
????「名前は??」
阿部「阿部、亮平です、」
????「ふーん、亮平か、」
阿部「あなたは、?」
????「俺は佐久間大介」
佐久間「さっくんでも大介でも呼んで!!」
阿部「じゃぁ、大介って呼ぼうかな、笑」
佐久間「おっけー笑」
佐久間「てか亮平敬語外しなよ笑」
阿部「え、…いいんですか、??」
佐久間「当たり前じゃん笑これから一緒の病室なんだし笑」
阿部「…そうだね、笑ありがとう、」
佐久間「にゃは笑」
阿部「っ、………????」
大介が笑うと俺の心はどくん、と跳ねて
自分でも鼓動が感じられるくらいドキドキして
阿部「(…アレルギーのせいだ、きっと、)」
佐久間「亮平はなんで入院してきたの?」
阿部「俺アレルギー酷いからさ、笑」
佐久間「…わっ!!!腕の湿疹凄いことになってるじゃん、」
阿部「そうそう笑これが原因笑」
阿部「大介は?」
佐久間「……俺は癌、なんだ、笑」
阿部「え、…」
佐久間「しかも余命宣告まで受けちゃってさ、!!!笑」
佐久間「もう俺っちもびっくりだよね〜笑」
佐久間「…まだ若いのにね、笑!!!」
阿部「……………」
今すぐにでも消えてしまいそうに儚く笑う大介は散ってゆく桜の花びらを見ているようだった
俺はいてもたってもいられなくて立ち上がって大介のベッドに近づく
ぎゅっ、
佐久間「おわぁっ、」
阿部「…そんな悲しい顔しないで、」
佐久間「ぇ、…???」
阿部「悲しかったら泣いていいんだよ、…???」
阿部「俺の前だったらいっぱい泣いていいから、弱いところ見せていいから、」
阿部「強がらないで、」
佐久間「っ、ぐすっ、」
佐久間「ごめっ、おれっ、っ、どうしたらいい、かっ、」
佐久間「わかんなくなっちゃって、んぐっ、」
途切れ途切れになりながらも自分の胸の内を話してくれてる大介
佐久間「ずっと、っ、しろいてんじょうみて、」
佐久間「つらくなって、ないて、っ、」
阿部「そっかそっか、よく頑張ったね、」
阿部「これからは1人で抱え込まない事、」
阿部「辛いことがあったら絶対俺に話してね」
阿部「約束できる、??」
そう言って俺は大介に右手小指を出す
佐久間「…!!!!」
佐久間「ん、分かった、約束する、」
大介は俺の差し出した小指に大介の小指を引っ掛けた
阿部「ふふっ、子供みたいじゃん笑」
佐久間「いや俺らまだ子供でしょ?笑」
それから大介のことを沢山知った
年齢とか高校とか、いっぱい。
俺らがそうして変わっていくと共に季節も夏へと変わった
阿部「あっつ、〜」
佐久間「暑いね〜、」
阿部「エアコンついててもなんか暑いよね笑」
佐久間「わかる笑」
そして俺は決めた
今日、大介に告白する
ずっと前から決めていた事だ、
阿部「…ねぇ、大介?」
俺はベッドから起き上がって大介のベッドに近づく
佐久間「ん??笑 どしたの?笑」
阿部「…ずっと前から決めてたんだけど、」
阿部「大介、俺とお付き合いしてください」
佐久間「………!!!」
佐久間「んふ、」
ニヤニヤしながらベッドから起き上がって俺を見つめる大介
佐久間「ほんとは俺が言いたかったのに、」
阿部「え、??」
佐久間「亮平、俺と付き合ってください」
阿部「…まさか、っ、」
佐久間「俺は亮平が好きです、笑」
阿部「俺は大介が好きです、笑」
ぎゅっ、
佐久間「やばっ、幸せすぎ、笑」
佐久間「これは死ぬのがもったいないな〜、笑」
阿部「…絶対死なせないから、大丈夫、」
佐久間「本当?笑」
阿部「うん、俺が救ってみせる、」
佐久間「…ねぇ、キスしたい、」
阿部「…いいよ、」
大介の血色の良い濃ピンクの唇に吸い付けられるようにキスをする
佐久間「んっ、…んむっ、」
阿部「…大介の唇、柔らか、笑」
佐久間「亮平だって、…///」
阿部「あ恥ずかしがってる〜!!!!笑」
佐久間「もううるさい、!!!!!笑」
〜〜〜〜〜
看護師「おふたりでお出かけしてきたらどうですか??」
あれから数日がたった頃、看護師さんがそう言ってきた
佐久間「でも、俺の外出許可がでないと、…」
看護師「佐久間さん昨日の診断の時に言ってたじゃないですか??」
看護師「明日から3日間は外に出て大丈夫と先生言ってましたよ??」
佐久間「まじすかっ!!!!だって亮平!!!」
阿部「やったね…!!!」
佐久間「じゃぁ午後から散歩でも行ってきます!!!!」
看護師「分かりました笑!!!」
佐久間「いや〜日差し眩しいね、」
阿部「そうだね、笑」
佐久間「…手繋いでいい?」
阿部「ん、いいよ。」
ぎゅっ、
佐久間「…ねーさ、もし俺が明日死んだらどうする??」
病院から少し歩いた所にあるひまわり畑に来たところで大介からそう言われた
阿部「そんな事言わn、」
佐久間「俺、もうそんなに長くない、」
佐久間「余命宣告の時がどんどん近づいてきてるから、」
佐久間「亮平も見ててわかるでしょ、?」
佐久間「どんどん食べれなくなってってるし、」
佐久間「…俺、怖い、死にたくないよ、っ、」
涙を目に溜めながら話す大介の手は震えてて
阿部「……………、」
ぎゅっ
大介を抱きしめたくてたまらなかった
阿部「…大介のばか、」
阿部「…そんな顔したら、っ、俺までっ、」
佐久間「っ、うわぁぁっんっ、」
阿部「んぐっ、ぐすっ、」
もう抑えきれなかった
大介を思う気持ちも、大介の不安な心も
佐久間「…っ、俺の事、最期まで愛してくれる、?」
阿部「んっ、もちろんだよ、…、」
あれから数日、大介は空に行った
最期まで俺の名前を呼んでくれてた
俺は大介を救えなかった
救うって言ったのに助けたかったのに、
その気持ちだけでは救えなかった
だから俺は医師を目指すことにした
大介、俺に夢を持たせてくれてありがとう。
きっと空から俺の事見てくれてるよね、?
俺頑張るから、見てて。
ありがとう、そして、
大好きです
[END]
⚠︎設定、世界観は本人様と関係ありません
コメント
12件
あぁぁぁー!!!!切ない!切ないけど好き!
めっちゃ最高です!感動します!
このお話好き過ぎる🥲 あべさくなのが神様過ぎるし佐久間くんと桜を合わせるの天才です