多分黒歴史になると思うんですが、小説を書きました。個人的に感動系?
まぁ、あったかい目で見てください
最後に見た空は、灰色だった。
誰も助けてくれなかった。誰にも気づかれなかった。
――いじめが続いたあの日、少女はひとり屋上で空を見上げた。
「もう、痛くない世界に行きたいな…」
そう思った瞬間、すべての音が遠のいていった。
柔らかな風が頬を撫でる。
なんだか私を歓迎してくれているように感じた。
「今度こそ、幸せになりたい」
そう願いながら歩んだ18年。
ーー小学校入学。
ーー中学校入学。
昔の写真を高校の入学前に見返してた。
「明日はついに、高校の入学式か」
「早く寝よ」
布団に入ると、胸が少しドキドキした。
この胸の高鳴りは、知らない未来への期待なのか、
それとも不安なのか――
⸻
高校に入学したとき、彼女は大切な人と出会った。
それは一目惚れから始まった恋だった。
放課後、一緒に帰ったこと。
初めてのデートで見た景色。
夏祭りで人混みを避け、二人だけで花火を眺めながら、そっと手を繋いだこと。
そのすべてが、彼女にとって生まれ変わった意味だった。
「こんなにも人を好きになるんだ」
互いに、相手を幸せにしたいと心から思えるようになった。
⸻
誕生日の3日前、彼女は夢を見た。
黒板に大きく「3日」と書かれている。
目が覚めたとき、胸の奥がざわついた。
2日前の夢。
時計の針が「2時」で止まったまま、何をしても動かない。
「変えられない未来…?」そんな声が心の奥で囁く。
「あそうだ」
「もうすぐで私の誕生日」
ーースマホのカレンダーを開いた。
なぜか私の誕生日だけぼやけている。他はしっかりと見えるのに。
胸が締め付けられ、息が詰まった。
「本当に消えちゃうのかな、私ーー」
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1日前。
夢の中で誰かが告げた。
「期限は明日」
彼女は悟ってしまった。
――私、明日消えるんだ。
誰か、嘘って言って。
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誕生日の日。
男の子は決意していた。
思い出の夏祭りの場所で、プレゼントを用意して告白する。
「好きです。こんな俺でよければ、付き合ってください…!」
顔を下げた。
その言葉を聞いた瞬間、彼女の足元から砂のように崩れはじめた。
少し見える足が消えてゆく。
「え…嘘、いやだ、まだ…!」
男の子は必死に抱きしめようとする。
だが腕はすり抜け、触れることができない。
「お願いお願いだから消えないで」
「俺まだ幸せにできてない」
頭の中が真っ白になった。
胸を貫く痛みに、言葉も出ない。
“失う”という現実だけが、容赦なく心を打つ。
声が震えた。
彼女の涙が一粒、宙に浮かんで光を放つ。
まるで、彼の心を包み込むように。
男の子は号泣した。
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彼女は涙を浮かべながら微笑んだ。
涙で滲む視界の中、彼の顔が少しずつ霞んでいく。
「…ねぇ、泣かないで。あなたがくれた時間が、私の18年でいちばん幸せだったんだよ。」
風が吹き、花火の音が遠くで鳴る。
まるであの日の夜を、もう一度再生するかのように。
「私ね、またあなたを見つける。
もしそのとき、私が私を忘れてても――
どうか、もう一度“好き”って言って。」
「君と過ごした時間、無駄じゃなかった。たくさん笑えて、楽しかった。」
彼女の声は、風と一緒に遠ざかっていった。
最後の涙が、彼の頬を撫でるように落ちた。
「来世で、また会おうね。」
そして、彼女は砂となり、風に溶けた。
その風が、彼の髪を優しく揺らす。
まるで「またね」と言っているようだった。
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その場に残された男の子は、膝から崩れ落ち、声を殺して泣き続けた。
思い出が胸を切り裂くように蘇る。
放課後の笑顔、夏祭りの夜空、クレープのクリームを拭い合った日。
彼は震える手でプレゼントを握りしめた。
――お互いの名前が刻まれたキーホルダー。
「渡すつもりだったのに…もう君はいないんだ」
涙で滲む視界の中、彼はそれを胸に抱きしめ、震える声で叫んだ。
「絶対に会おうね…次こそ一緒に幸せになろう。俺が必ず見つけるから…!」
⸻
翌日。
男の子の家に、一通の手紙が届いた。
差出人の名前は、なかった。
『◯◯へ
あなたと過ごした時間は、どんな奇跡よりも温かかったです。
この世界に生まれ直して、あなたに出会えて本当によかった。
もしまた出会えたら、今度はちゃんと最初から隣で笑えるように頑張るね。』
彼はきっと彼女からの手紙だ。と信じた。
また泣き、手紙を胸に抱きしめた。
「絶対に見つける。何度でも。」
――そして目が覚めた。
「ーーっは、、、!!」
そこは自分の家。
今日は高校入学の日。
「今のは…夢?」
ーー
桜の散る中で高校の入学式を迎える。
彼女はそれに見惚れながら、足を踏み入れた。
桜を見ていて前を見ていなかったせいか、誰かとぶつかってしまった。
「っあ、ごめんなさい!」
「大丈夫です、、?、」
聞いたことのあるなんだか懐かしい声。
顔を見上げる。
そこにいた。
夢で何度も愛し、必ず会うと誓ったその人を。
お互い目を丸くし、言葉を失う。
次の瞬間、勢いで抱き合った。
彼の胸ポケットには、小さなキーホルダーが光っていた。
どこか懐かしい、名前の刻まれたそれを。
「やっと、会えたね…!」
二人の瞳から溢れる涙は、今度こそ消えなかった。
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「18年の使用期限」
どうでしたか?
男の子と女の子の名前募集します。
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