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「あ、あれリスです」
「どこどこ」
「右、川そばの倒れている木の向こう岸!」
猫よりちょい小さい、灰色っぽいのが、でっかい尻尾を背負って走って行った。
「あれがタイワンリスですね。特定外来生物ですから、餌付けとかは禁止。でも見る分には、かわいいですよね、やっぱり」
「ただ『かわいい』なんて言うとさ。変な蘊蓄をたれてマウントしてくる奴がいるから、注意しろよ。『かわいいという感想』と『有害生物でいるべきでは無いという認識』が両立する事に気づかない、了見の狭い原理原則主義者がいるんだ。まあ『可愛いから有害でも駆除してはいけない』なんてトチ狂った保護主義者がいるのも悪いんだが」
そんな感じで歩いていると、ベンチがあって、ちょっと広くなっている場所に出た。
「ここで林道は終わりです。この先、狭くなったり、道が滑りやすくなったりします。注意して下さいね」
先生がそう説明。
確かにその後、道が一気に狭くなった。
砂利道から、土や石の道へ。
所々、川そのものを歩いたりもする。
「何ならさ。靴を濡らすの覚悟で、水の中を歩いた方が滑りにくいぞ」
なんて言いながら、川俣先輩はジャブジャブ歩いている。
楽しそうなので真似。
うん、こっちの方が楽しい。
涼しいし、気持ちいいし。
それに確かに、水際より滑りにくい。
「それにしても、ここの川は流れが緩やかですね。水は綺麗だけれど」
「傾斜がとっても緩やかなんだよ。固い地盤の上の一枚岩って感じでさ」
「本格的な沢登りがしたいなら、水が温かくなった頃どうですか。いい場所があるんですよ。この人数なら余裕で私の車に乗れますし」
「これでも充分楽しいです」
「こんなものじゃないぞ。本格的な沢は。泳ぐし、滝を登るし、何ならウォータースライダーなんてのも出来る」
「それは楽しそうですね。次は是非」
「私は運動神経、ちょっと自信無いんです。滝とか登るの、大丈夫でしょうか」
「ちゃんとロープで確保するから大丈夫だ」
なんて20分位、気持ちよく川歩きを楽しんだ後、
沢が左に別れたところで、また小休止。
「さあ、ここからが本日一番ハードな部分ですよ」
そう先生が、宣言した。