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うわあああ第26話読み終えたよ〜!!😭💦 縫季の「任務を言い訳にする」って自己認識、痛すぎて胸がギュッてなった…あの中庭でふたりを見てる距離感、切なさが滲みすぎてるでしょ…「入れない」って思うところ、もう完全に感情移入しちゃったよ…😢💔 塀際の戦闘シーンもヒリついた〜!香のせいで判断鈍ってるところに、まさかの帝辛登場!!嘘で庇うシーン、かっこよすぎて声出たわ…「揺らぎがないから、誰も突けない」って表現、大好き…! 次どうなるの!?縫季の選択、見届けるしかない!!
善意は、疑われない。愛は、なおさらだ。
だから厄介だ。
縫季は蓋を閉めた。甘さが、鼻の奥に残る。
(……切る)
経路を。香を。そして、清朗を。
清朗を殿下から遠ざけなければ、歪は広がる。縫季はそう結論として書き付けようとして、筆を止めた。
指先が、木簡の上で迷う。
迷った理由は、もう分かっている。
清朗を遠ざけたい。歪のために。――それだけじゃない。
胸の奥に、黒い熱がある。その熱は「殿下のために」と同じ形をして、嘘をつく。
(任務を、言い訳にする)
自覚したはずの言葉が、ここでまた、息をする。
縫季は筆を握り直した。握り直す指が、少しだけ震える。
(最低だ)
そう思いながら、文字を書く。
「香は狂楽香の初期段階。善意が経路。清朗を殿下から離す必要がある。」
――必要がある。
必要。その二文字が、都合よく胸の黒さを隠してくれる。
縫季は書き終えて、回廊の方へ目を向けた。
朝日が王太子府を照らしている。穏やかな朝だ。
中庭に、帝辛の姿が見えた。優しい顔で歩いている。
その横に、清朗がいる。自然に肩を並べて、笑い合っている。
回廊の境ひとつで、流れる気配がまるで違う。
縫季は目を逸らさなかった。逸らせなかった。
(……入れない)
そこへ入る資格はない。過去も、歳月も、持っていない。
持っているのは、記録と任務と――この黒さだけだ。
縫季は卓に戻り、小壺を見た。紫紅の液体が、静かに揺れている。
証拠だ。歪の証拠。
そして、自身の欲望を正しく見せる道具でもある。
縫季は、小壺の影に指先を重ねた。冷たい銅が、指の腹を冷やす。
泣きたい、と思った。でも泣かない。
調整員は、泣かない。泣く代わりに、選ぶ。
たとえそれが、誰かを傷つける選択でも。
縫季は息を吐いた。甘さが、まだ残っている。
(やるしかない)
その言葉を、もう疑問形にはしなかった。
縫季は立ち上がる。理由を探す前に、足が前へ出ていた。
◆
縫季は、王太子府を離れた。
朝の人の流れに紛れ、衣を替え、香を抑える。いつもなら、ここまでで一度立ち止まる。息を整え、頭の中の線を確認する。
――だが、今日は違った。
(急げ)
理由はない。ただ、そうしなければならない気がした。
医官府の裏手。帳に残らない薬材の集積所。名目は廃棄、実際は『保留』。
清朗の印が使われている場所。
縫季は塀の前で立ち止まり、気配を読んだ。
人の息が、三つ。配置は均等だ。警備ではなく、監視に近い立ち方。
(……慣れている)
ただの医官府の使用人ではない。この密度の張り方は、訓練を積んだ者の間隔だ。
縫季は息を吸い、掌を開いた。
殷の線を、一瞬だけ読む。
線の密度が、この場所だけ異様に薄い。帳に残らないということは、記録の層にも刻まれない。刻まれないものは、線の外に落ちる。
(……ここが、経路の核だ)
縫季は塀を越えた。
着地の音を殺す。砂利を踏まず、端の土の部分へ。
三つの気配が、それぞれの持ち場にいる。縫季は影を縫うように動いた。
一つ目の気配――通過。二つ目の気配――間合いを測る。三つ目の気配――
動いた。
(速い)
#BL
#ヒューマンドラマ
Hp2
409
縫季は咄嗟に身を沈めた。頭上を、風が切る。木の枝を模した棒だ。音を立てない、殺しの間合い。
(ここの連中、黒闢の手が入っている)
縫季は横に転がり、距離を取る。
「……そこか」
低い声。感情がない。
二つ目の気配が合流する。挟まれた。
縫季は懐に手を伸ばす。符を取り出す前に、距離が詰まる。
手首を、掴まれた。
力は強くない。だが、角度が悪い。関節を固める技だ。
(頭が、鈍い)
鼻の奥に、まだ甘さが残っている。ほんの一吸いのはずなのに。判断の端が、わずかに遅れる。
「印は?」
「持ってない」
「じゃあ、処理だ」
短い言葉。三つ目の気配が背後に回る。
刃が、光を返した。
(……まずい)
本気だ。警告ではなく、消すつもりだ。
縫季は体を捻る。外れるはずの角度で、外れない。
もう一度。角度を変えて。
外れない。
(香のせいだ。精度が落ちてる)
自分の失敗が、はっきり見える。見えているのに、体が答えない。
刃が上がる。
その瞬間。
「――そこで何をしている」
声が、空気を断った。
低く、静かで、しかし揺るぎない。
三人の動きが止まった。
縫季も、止まった。
帝辛が、塀の外に立っていた。
巡視の装い。護衛二人が背後にいる。だが帝辛は護衛を手で制し、一人で塀際に近づいてきた。
「その者を離せ」
命令ではない。事実の形をした、圧だ。
「王太子殿下……」
男たちの声が揺れる。
「この者は私の供だ。医官府の視察に先行させた」
淡々と、嘘をついた。
嘘だと分かる。だが、帝辛の顔には揺らぎがない。揺らぎがないから、誰も突けない。