…
数日ぶりに和透香と登校をした朝。まだ夜の涼しさが残っている。
・「あ、今日和透香の担任に用があるから、一緒にクラス行くよ。」そう歩きながら和透香に話す。
『え?…いや、私が担任呼んでくるよ、翔一のとこに。』和透香は少し戸惑ったようにそう言う。
・「いや、すぐ終わる話だから、先生移動するの大変そうだし、大丈夫だよ。」
『や…でも、先生に何の話があるの?』
・「え?…いやぁ…それはまあ諸々…ね。」無論追試だけはしたくないと言う意志を先生に伝えるだなんて彼女にはいえない。
『…そっか…』そう言う和透香は下を向いてしまった。
・「…?ごめん、何か言っc
◦「おはよぉおカップルさんよおお!!!!」言いかけてる最中に後ろからタックルされ、僕は勢いあまり前に飛ばされてしまった。やったのは言わずもがな宗介だ。
・「お前…方向逆だろ…何で居んだよ…」痛みに悶えながら口を動かす
◦「いやぁ夏に咲く綺麗な恋を見たくて後ろからつけてたんだ〜 」
『ふふ、面白い言葉使うんだね』そい言った和透香の顔には綺麗な笑顔が戻っていた。
◦「ありがとう〜和透香ちゃん〜!さっ!2人を邪魔する気はないから、先にいってるよ〜」
そう言って宗介はスキップをしながら見えなくなった。
・「ごめんうるさくて、あいつ昔からいつもフルスロットルで…」
『いや全然、朝から元気出たよ。』そう言った和透香は手を差しのべる
・「…ありがとう、」その手を取った時、和透香の顔は逆光で見えなかった。自分の考えすぎかも知れないが、いつもの笑顔とは少し違った。
そうしてまた1日が始まる。
何気なく終わる
それが続く。
だなんて思っていた。
……
・『…何だよ…これ…?』
和透香の教室のドアを開けた時、目に見えた。和透香の机の上と下にはぐちゃぐちゃのプリント、ノートらしきものが散乱し、椅子は無く、机周辺に絵の具がかけられていた。他はわからない。
ぐちゃぐちゃすぎて、机は原型を留めていなかった。
『…』和透香は何も言わない、教室に入ろうとも、影に隠れて入ろうともしなかった。
その時に、和透香がどうして朝僕が教室に行くことを拒んでいたのかがわかった。
・「…誰だよ…誰だよ…!誰だよ!!こんなことした奴!!こんなの!、こんなの…!許されることじゃないってわかってんだろ!誰だよ!!」気づけば教室に入り込んで怒号を浴びせていた。自分の意思じゃない、でもそれをやめようとはしなかった。
・「誰が…!こんなの!…やっていいことじゃ!」
『翔一!』手を掴み、怒号を止めたのは和透香だった。
和透香の目は真剣な顔で僕を見ていた。
ああ。そうだ。和透香はみんなを問い詰めてくれだなんて言っていない。今までもこんなことされているなんて言わなかった。それは多分、物事を大きくしたくなからだ。大きくしてしまえば、反応してしまえば、いじめる側はそれを面白がって、やめるという意志を捨てる。もっと面白い反応が見たくて深刻化する。それを避けるためにずっと、和透香はずっと我慢してきたんだ。
それを、僕は壊した。
和透香が貫いてきた、相手に乗らない意思を、僕は無駄にした。
・「…くそ…!」
それなのに僕は和透香の机へと向かい、ぐちゃぐちゃのプリントとノートを一心不乱に退かす。意思はない、ただ許せなかった。
・「うっ…!」直後手に鋭い痛みが走る。見てみれば、両手に刺さっていたのは画鋲。手はみるみるうちに赤色にしまってゆく。
『翔一!』ケガを見たのか、和透香がこちらに走ってくる音がした、が、何かに阻まれたように足音が止まった。
「翔一くん大丈夫!?」「やだ!早く保健室!」「誰がこんなこと!」さっきまで静かだった教室がクラスの女子たちの声で騒がしくなる。
・「ごめん…ちょっと絆創膏とってくる…」そう和透香に放った時、
『私も付いてくよ…!』そう和透香は言おうとしたのだろう。
しかしクラスの女子1人が「私ついてく!」と和透香をの言葉と体を押し除けて言い放ち、保健室に連れて行かれた。
教室には、和透香だけが取り残されてしまった。
最悪だ。
第2話終
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