帰国して最初に会うのは全員での収録。
みんなから口々にお帰り、お疲れと労われる。佐久間くんや康二がひときわ賑やかだ。
こういう時、前に出てこないのが阿部ちゃん。目が合うと、笑顔だけど照れくさそうに視線を落とす。
早く話したかったけど、この日はタイミングが合わなかった。
結局、帰国後初遭遇はちょっと不発で消化不良のまま帰宅する事になった。
それでも阿部ちゃんから
『お土産のお菓子、美味しかったから1つ持って帰った。あの紅茶と一緒に食べるね』
とメッセージが来てすぐに浮かれた。
我ながら単純だと思ったけど、阿部ちゃんの心に少しずつ入り込んでいる感覚が嬉しい。
そして、その日は突然やってきた。
『次の練習の時、時間作って』
恋しいまで言ってくれるならもう好きって言ってくれたらいいのに、と思ったのも事実だけど、よく考えなくてもこういう大切なことは直接伝えようとしてくれるのが阿部ちゃんという人だ。
次の練習場所は、奇しくも俺が最初に拒絶されたあのスタジオだった。
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