テラーノベル
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ハル__。
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仕事終わりの、なんてことない夜。
リョウガの家のリビングでは、テレビの画面だけが静かに明かりを放っていた。ソファの真ん中に陣取ったリョウガは、コントローラーを片手にゲームに没頭している。
そのすぐ隣。
タクヤは自分のスマホをいじっていたが、次第に眠気が襲ってきたのか、小さくあくびを噛み殺した。そしてごく自然な動作で、リョウガの肩に頭をコトンと預ける。
「……ん」
「お、なんだ。甘えん坊モードか?」
リョウガは視線を画面に向けたまま、慣れた様子で肩の位置を少し下げ、タクヤが頭を乗せやすいように調整した。
「……うるさい。ただのクッション代わり」
「はいはい。結構硬めのクッションで悪かったな」
口では文句を言いながらも、タクヤはリョウガの腕に自分の腕を絡ませ、さらにぴったりと密着する。ゲームの操作に合わせて微かに動くリョウガの筋肉の動きや、そこから伝わる一定の体温が、タクヤにとっては最高に心地いい睡眠薬だった。
画面の中のキャラクターがステージをクリアしたファンファーレが鳴る頃、リョウガの肩にかかる重みは完全に本物になっていた。
「タクヤ? ……あー、マジで寝てるわ」
リョウガはコントローラーを置き、そっと隣を覗き込む。
普段、ステージの上やカメラの前では凛とした美しさを放っている恋人が、自分の隣でだけは驚くほど無防備な顔で寝息を立てている。そのギャップを見るたびに、リョウガの胸の奥には何とも言えない愛おしさが込み上げてくるのだった。
「……きもいって言われないうちに、堪能しとくか」
リョウガは空いた反対側の手で、タクヤの少し冷えた手をそっと包み込む。そのまま起こさないように細心の注意を払いながら、自分の頭をタクヤの頭の上にそっと重ねた。
外の世界がどれだけ忙しくても、この部屋の中だけは二人だけのゆっくりとした時間が流れている。特別なことは何も起きないけれど、お互いの体温をただ分け合うだけのこんな日こそが、二人の明日への何よりのエネルギーだった。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
1件
リオンです。第15話、読みました。 この「何も起きないけど、全てがある」って感じの日常、すごく好きです。リョウガが肩の位置を下げてタクヤが頭を乗せやすいように調整する仕草とか、ゲームの操作に合わせて微かに動く筋肉の描写とか、そういう細かい積み重ねが二人の関係性の深さを物語ってるなあと。最後の「きもいって言われないうちに堪能」も、リョウガらしいツンデレな愛情表現で笑ってしまいました。大好きな空気感です。