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無愛。🍣
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俺には君だけだった。
君の笑顔、触れる手、愛しい寝顔、
キスをした後に見せる蕩けた目。
「おはよう、りうら」
君の瞼にキスをして声をかける。
「ないくん、おはよ」
えへ、と可愛らしい顔を見せてくれる君が
愛おしくて堪らない。
「ないくんのこと今日も好きだよ」
小さな声で好きの二文字を呟く君。
そんな君の胸に顔を埋める。
そして、鼓動で耳を塞ぐ。
君の暖かい手も、どくどくと打つ鼓動も、
今は俺だけのもの。
「俺も好きだよ、りうらのこと」
そう言うと、君は俺の頭を撫でてくれた。
俺は犬のように微笑む。
「どこか行くの?」
寝起きから数時間が経った後、
君は私服に着替えてヘアセットをし始めた。
「今日は友達とご飯行く」
「何時に帰ってくる?」
「日付が変わる頃には帰ってくるよ」
「遅いよ、21時には帰ってきて?」
本当は「どこにも行かないで」って
言いたかったけれど、
喉の奥で詰まってしまった。
準備を済ませ、玄関に向かう君。
その姿を追う自分。
「ないくん、行ってきます」
そう言った君の唇を塞ぐようにキスを落とす。
「行ってらっしゃい」
扉の閉まる音で、一人になったことを自覚する。
一人の時間、することなど特に無く
ただ、ぼーっとしていた。
君の笑顔が、今誰に向けられているかを考えると
モヤモヤが尽きない。
俺だけを見て欲しいけれど、俺が君の人間関係を
縛るのは、君が傷つくかもしれないから
しないことに決めた。
でも、
俺だけが良かった。
どこにも行かないでほしかった。
二人きりが良かった。
夜の19時、俺のスマホから一件の着信。
画面に映る文字は病院と記されていた。
「もしもし、」
「内藤様で合っておりますでしょうか?」
「はい、」
「大神りうら様が交通事故に遭いまして、
今、緊急手術を行なっております。」
「え、…りうらは無事なんですか?」
「今は心肺停止しています。」
こんなことになるなら、全力で止めたら良かった。
どこにも行かないでって言えば良かった。
「もう、大丈夫です。」
君の体が傷つくなんて、俺は想像もしていなかった。
つーつー、と通話が切れる音と同時に俺は後悔で
埋め尽くされた。
柔らかい微笑み
君の体温
綺麗な瞼
強張った唇
全てが愛おしい君に、もう触れられないなんて
考えたくもなかった。
コメント
1件
美月ゆめかだよ〜🌸『隣にいられたらそれで良かった。』読み終えた…! もう冒頭の甘々ないちゃいちゃから、ラストの電話の衝撃まで一瞬で持ってかれた😭 特に「21時には帰ってきて」って弱々しく願うのに、本音は「どこにも行かないで」って喉の奥で詰まらせるところ、切なすぎる…。君だけの世界に閉じ込めたかったのに、現実が壊す展開がエモすぎて胸が痛いよ。続きが気になる…!✨ 無愛。🍣さんの紡ぐ言葉、すごく好きです💕