「おはようございます」
「めめ、翔太、おはよう」
「戻ったんだって?」
「はい、ご心配おかけしました」
「良かったな!」
偶然にも、今日も9人での練習日だ
めめの記憶も元通りになって、いつも通りの光景に戻っていく
休憩中、タオルで汗を拭いていると近くにいた佐久間と阿部ちゃんが、こそっと声をかけてくる
「翔太、お前、それ」
「随分とくっきり…」
なるべく見えないようにしてたつもりだったけど隠しきれなかったらしい
「…………蓮が、めめに、嫉妬して…」
「ぶはっ!マジかよ…あいつ」
「予想通り過ぎて、笑うしかないね…、ねぇ、それ1つ?」
「……今は、ね」
「………あ〜」
蓮は案の定、昔の自分に嫉妬して、朝目覚めた俺を腕に閉じ込めて跡をつけた
あんなことしといて、と思うから一発殴ったし、蓮もそれはわかってるから花は1つだけだった
多分、しばらくあいつは俺を甘やかしまくるつもりだろう
でも昨日、3年前に気持ちが強制的に揺り動かされたのだ、絶対にいつもよりブレーキは弱くなる
だから多分、今日か明日の夜には花びらは数え切れない量になる
蓮はもともと自分のことしか見えてなかったから、 俺を見て、俺だけを見て、と訴えるばかり
だから3年前は、俺の気持ちなんて置いてけぼりで毎日告白なんてできたのだ
今でこそ、俺もちゃんと好きだから、俺のことも見て、という意味を理解してくれるようになった
俺が想いを返して教えた分、落ち着いたようには見えるけど、本質は3年前と変わらない
だけど俺も俺で、そんな蓮がなんだかんだ可愛いと思うし、その重い愛が嫌いではないのだ
佐久間くんや阿部ちゃんと話す翔太くんをぼんやり眺めていると、ふっかさんが近づいてきた
「よ、めめ。大丈夫か?」
「ふっかさん、俺は大丈夫だよ」
「…なべも、大丈夫だったか?」
「うーん、ちょっとかわいそうなこと、しちゃいました」
「え、なに、そんなにしたの?笑」
「……ちょっと、ふっかさん笑」
「いやだって、さぁ?笑 3年前のめめだぜ?…ねぇ?笑」
「それはそうなんですけど、そういうことじゃなくて」
「ん?」
「……怖かったって」
「……あーね、、ふっ、繊細だからなぁ、しょうたくんは笑」
「しばらくは、できるだけ甘やかします」
「ん、そうしな。あの子は無邪気にニコニコしてるのが、1番可愛いんだから」
「みんなのためにもですね」
「頼むぜ。それと、あんま無理させんなよ」
「…………………………善処します」
「おっまえなぁ!間が長すぎるんだよ…」
「そろそろ休憩終わるぞー」
岩本くんの掛け声が響く
翔太くんと目が合い、すれ違いさまにそっと頭を撫でた
翔太くんの空気が少しだけあったかくなって、それがみんなに伝播する
「よし、じゃあもう1回頭からなー」
「はーい」
コメント
3件
だいすき
