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母の部屋へ入ったとき、私の母も手記を見つけた。
筆で書かれた分厚い手記。
母の手記には、鳥の呼吸のことについて書かれていた。
初めて呼吸を見出したときの話。
それはなんと、私が初めて鬼を倒した時と、全く同じだった。
年中行事で舞う舞。
それに伴い出来上がった。
この神社で祀られている鳥が起源となって居たから鳥の形。
派生は不明。
風は名目。
全ての舞を舞えなくては、この呼吸は使えない。
呼吸は全十ー。
「……え」
そこまで読んだ時、読む手を止めた。
おかしい。
鳥の呼吸は十つしか型が無い。
もしかして、私が全て会得出来て無かったってこと?
そう思いつつ、続きを読み始める。
呼吸は以下
鳥の呼吸 壱ノ型 鴎狩り
鳥の呼吸 弐ノ型 鴗突き
鳥の呼吸 参ノ型 鵜飼
鳥の呼吸 肆ノ型 鳳凰舞い
鳥の呼吸 伍ノ型 燕太刀
鳥の呼吸 陸ノ型 水鳥の飛翔
鳥の呼吸 漆ノ型 鳶翔
鳥の呼吸 捌ノ型 独鷲飛
鳥の呼吸 玖ノ型 鶴舞
鳥の呼吸 拾ノ型 鷹戯刺突
禽の呼吸 鶯の囀
「禽……?」
そんな呼吸があっただなんて。
それにしても、鶯(うぐいす)?
鶯が何故?
鶯の囀を使える時は滅多に無い。
この呼吸は精神に大きく影響を及ぼす。
使わずとも良い。
瀕死、絶体絶命の時に使うべき。
鶯の囀は、己がまるで浮世にいる様な感覚に陥る。
おそらく、一時的に現世と離れる事になるだろう。
寒気がする。
そんなにも恐ろしい技なの…?
じゃあ、これはどう会得するのだろう。
それを知れるのは、まさか最期の時とは、思いもしなかった。