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꒰ఎ 琥 珀 @ 復 帰
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_第2戦争時
「お母様、どうして…プロクティルをそんなに持ってるの?」
幼いみぞれは聞いた、そして、微かに漏れ出す何百にも重なった悲鳴と、何かを叩く様な音からみぞれは耳を塞いだ。
「…これはね、守るべき人を守るために使うんだよ。」
「みぞれは何も気にしなくていい_」
「大丈夫、なにも怖くないからね。」
_母はなだめるようにそう言った、そう言う母の目に嘘偽りも、また悦もない。
彼女はこんなにも響いてくる悲鳴たちに一切怯えることもなかったのだ。
彼女はなんだ?みぞれは幼いながらそう考える。
きっと彼女はどこか壊れている。
_そう、この日から、違和感を持ち始めた。
__
「お母様…」
「…ごめんね、みぞれ。」
「最近…構ってあげられなくて。」
みぞれは寂しさをぐっと堪えた。
そして、取り繕うように笑った。
「…お母様は、忙しいんですから…私のことはいいんです。」
「…あぁ、ありがとう…。」
「…ごめんね、みぞれ…。」
そう呟く母に、複雑な気持ちを覚えた。
__
「お母様…」
スノウは、みぞれの前に現れることなく_外で、ただ第2戦争にばかり関わっていた。
父はみぞれが2歳の頃に離婚した_
…誰も、構ってはくれないのだろうか?
幼いながらみぞれは、しばらくそう考え、不安になっていた。
__
母が、みぞれに対し冷たくなって1週間後_
「えっと…貴女がみぞれさんで間違いないでしょうか… ?」
「…スノウ様に、みぞれ様の面倒を見てやってくれと頼まれたものでして。」
スノウとは正反対の黒髪を覗かせる、まるでシスターの姿をしているかのような、メイドが話しかけてきた。
顔は見えず、また見せようともしない。
黒いベールのようなもので、顔立ちこそ分かれど_その表情などは全く読み取ることが出来ない。
幼いみぞれは聞いた。
「貴女は…?」
「…私はしがないメイドですよ。」
「就任してから半年も経たぬ、ただのメイドです。」
___
「そういったものが重なって、私は…母と決別したんです。」
「けれど、どうしても…忘れることだけはできませんでした。」
「…先生、優しいですもんね。」
Latteはミルクティーを頼んだのち、そう言った。
コトン、とLatteの頼んだミルクティーが置かれると、Latteはそれを見つめ2回瞬きをした。
「…亡くなってしまったんですよね、スノウ様…。」
「…大々的に報じられてたことは…知っています。」
「…えぇ、連日のように、お母様のタヒは報じられていました。」
「…当時、高校生だったでしょうか。」
「…お父さんはずっとテレビをつけているタイプなんです。」
「けれど、そんなお父さんがつけるのをやめるくらいには…」
「…そうなんですね…」
___
_スノウのタヒ。
それは、大きく報じられた。
民衆の反応はだいたい_賛であった。
殺したものを讃えた、崇めた。
_悲しむものなど露知らず、喜んだ。
よろこんで、よろこんで、哀しむ者なぞ許しやしなかった。
みんなが笑った、宴会が盛り上がった、全員が酒のつまみとした。
_全員が、彼女を悪い魔女だと_そう仕立て上げた。
___
「…私は…」
「…お母様の性格は、分かっているつもりです。」
「第2戦争で何をしたかも…」
「………」
みぞれは黙りこくった。
眉をひそめ、様々な感情がどろどろになって混じり合うような感覚を覚えた。
_悲しかった。
悲しい_そう口に出すのは、正しいことなのだろうか?
_学校で、祝福を受けた。
誕生日でも祝われているかのような、ありとあらゆる祝いと喜びをもらった。
だが、それを分かち合うことはどうも_できなかった。
微妙な反応を返すことしか、できなかった。
初めてだった、愛想笑いなんて_縁がないと思っていた。
…
「スノウは悪い人だもん、みぞれは離れて正解だったよ!」
「ねー、ほんとに。」
「みぞれがこんなに優しいのが信じられないくらい、スノウって残酷だし。」
「知ってる?第2戦争の原因ってスノウらしいよ!」
「えー!それは違くない?スノウは実験した人だよ?」
…
_悲しんでることも分かって欲しかった、だとか…大層なことは望まない。
_この違和感を分かち合えるのは父しかいなかった。
_そんな父から言われた。
「…無理をする必要はないんだよ。」
「みぞれは、優しいから…何も言えないのかもしれない、けれど。」
「…友達ってのは、いつかは離れていくものだ。」
「…悲しい話…だけれど。」
わかっていた。
_全員が全員に優しい楽園は、こんな場所には存在しないことくらい。
(…けれど、私はそれが言いたいんじゃない…)
(…)
(……)
抱え込んでも無駄だ、わかっていた。
_だが、無理だった。
…
「…ご、ごめん!ちょっとトイレ…」
「あ、えっと…用事があって、その日。」
_みぞれは、離れることを選んだ。
_スノウのタヒは、この場の誰にとっても喜ばしいことだ。
中には親がスノウの実験で命を落とした、というものもいる。
…だからこそ全員が喜びあって、それは大人にまで伝染していく。
_教師がスノウの話で明るい顔をした時、みぞれは…悲しみを自覚した。
(…わかってる)
(悪い人は罰せられるべきだし、お母様は悪い人。)
(けれど…)
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