「ちゃんとわかってんの?」
父のオフィスを出てエレベーターを待つ間、ふと窓の外の光が目についた。
オフィスビルの明かりや、その奥にある東京タワーが夜空を明るく 彩(いろど)っている。
…… 千夏(ちなつ)だったら、こういった夜景でも喜ぶんだろうか。
ドアが開き、エレベーターが動き始めると、壁に寄りかかってスマホを取り出した。
画面に新着の表示はなく、ため息が零れる。
会えなくなって2週間が経つ。
メールでやりとりはしているものの、千夏は「会いたい」とは言ってくれない。
もう一度心を開いてくれると信じていても、不安が 膨(ふく)らんで、最近では連絡を気にしてため息ばかりつくようになった。
地下駐車場に着き、エレベーターから降りた時、握っていたスマホが着信を知らせた。
千夏かもしれないと、心が跳ねる。
けれど―――。
「……松永(まつなが)?」
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