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「涼太」
「うーん?」
「……」
「?どうしたの?」
「もし、…先に涼太が死んじゃったら…俺」
「俺も死ぬ」
「…駄目だよ…?」
「…じゃあ、俺より先に死ぬな」
「死んだら俺はお前をぶん殴る」
「…んふふ………あははっ!笑笑」
「何がおかしいんだよ!」
「んはは…笑」
「ごめんね?大丈夫、俺は翔太を置いてったりしないよ」
「んっ……ゆめ、か…」
懐かしい夢。俺は真面目に話してるのに涼太はケラケラ笑ってた。でもその後涼太は寝室の隅でこっそりと泣いていたことを知ってる。
その涙が嬉しくて泣いていたのか、怖くなって泣いたのか解らなかった。
今日は休日。何もすることがない。重たい体を起こしても涼太の声は聞こえない。涼太の作るご飯の匂いもしない。
「やっぱ俺…涼太いないと駄目なんだな…」
「涼太、来たよ」
未だ寝ている涼太。声をかけても返事はない。ただ静かに心電図の音と、ほんの微かに聞こえる涼太の寝息。ベットの横にある椅子はこの部屋でひときわ目立つ山吹色。
窓から見える金木犀は昨日よりも花数は少なくなっていた。
「…涼太ぁ起きてぇ‥?」
子供が母親を起こすような小さな声で涼太を呼ぶ。先生には「回復してるから後は涼太くんが自力で起きるだけ」と言われた。
涼太は今夢のなかで葛藤しているんだろうな。まだ眠っていたい涼太と早く起きたい涼太とで…
『宮ちゃん』
「?」
突然病室のドアが空き「宮ちゃん」と呼ぶ俺が知らない男が立っていた。涼太の友達だろうか。その男は大柄で髪は天パにも見える。ゆっくりと近づいてきたそいつに俺は声をかけた。
「あの…どちら様で‥?」
『俺は岩本照です。宮ちゃん…宮舘くんとは仕事仲間で』
「!ベーカリーの…」
『はい』
以前涼太が働いていたベーカリーショップの同僚と名乗った岩本照。
涼太の友人関係までは把握してなかったから、こんな人もいるんだなとちょっと驚く。だって涼太と全く系統が違うから。
「えと…岩本くんだっけ、 涼太の事どこで知ったの?」
「たまたまです。店長に宮ちゃんのお母さんから連絡があったみたいで、知ったんです」
「なるほど…」
「えっと…貴方は…“しょうた”さんですか?」
「えっ…なんで知って…」
「宮ちゃんから…よくお話聞いてました。」
詳しく聞けば、よく涼太は岩本くんに俺の話をしていたそうだ。『幼なじみでかっこよくていつでも守ってくれる人なんだ』と。
俺は嬉しさと恥ずかしさで耳が赤くなった。そんな俺を見た岩本くんは続けた。
「じゃあ…宮ちゃん、やっと結ばれたんですね」
「結ばれた…?」
「ふふ笑」
「『翔太の横に俺は似合うかな?翔太に似合うような人になりたいな』ってずっと、ずっと言ってましたよ?」
「え、あ…えっ…?」
「いひひ笑 じゃあ俺はそろそろ失礼します。 これ、宮ちゃんが好きな薔薇の花。数本ですが飾っててください」
「それと、翔太さんの頬みたいに真っ赤な林檎。置いときますね」
「は、い…」
そう言って岩本くんは病室を後にした。
俺はまだ、顔が林檎のように赤いだろう。
コメント
1件
ひーくんめっちゃ言うな笑 舘様早く起きろー(⚲□⚲)