きんとき「契…約…?」
スマイル「うん。使い魔は元々悪魔だったって聞いた。だから、悪魔も契約はできるんじゃないか?」
きんとき「ッ…違うッ…使い魔と悪魔の契約は全くの別物…」
「それに…スマイルは彼を…使い魔を裏切ることになる…ッ」
スマイル「…」
きんとき「悪魔との契約は、身体の一部をお互いに交換する…」
「契約した人間は悪魔の能力を使えるようになる…。目なら悪魔の見ている世界を、爪なら悪魔の鋭い爪を…」
「その代わり、人間は悪魔に代償を払わなければならない…」
きんときは俺から目を逸らしながら話し続ける
まるで”何か”を隠すように
きんとき「1度交わした契約は破棄できない…一生、どちらかが死ぬまで」
スマイル「…使い魔を裏切るって言うのは?」
きんとき「…使い魔と悪魔、両方と契約しようとしたら契約者の身体が耐えられなくなると思う…」
「俺と契約しようとしたら彼との契約を切るしかない」
「…ね?…俺を殺した方が簡単でしょ?」
きんときは静かに微笑んだ
もう満足したかのように、死ぬことを受け入れているかのように
スマイル「…」
「…使い魔と悪魔、両方と契約しようとした奴は今までいたのか?」
きんとき「…いたよ」
スマイル「そいつは”人間”なんだよな?」
きんとき「?…当たり前でしょ」
スマイル「…人間と悪魔の血が流れてる俺だったら、耐えられる可能性はあるんじゃないか?」
きんとき「…へ?」
スマイル「悪魔の血も流れてるから身体も多少強いと思うんだけど」
きんとき「…」
スマイル「代償も気にすんな」
きんとき「……」
きんときは暫く黙っていたが、ゆっくりと口を開き俺に問いかける
きんとき「…なんで…死ぬかもしれないのに…そこまでしようとするの? 」
スマイル「…」
「きんときも…ブルークも…放っておけないと思った…」
「2人の苦しそうな顔を見たら…助けたいと思った…」
きんとき「…そのためなら自分の命は惜しくないと?」
俺はきんときの目をまっすぐ見つめ、静かに頷いた
きんとき「…本当に、”あの時”から変わらないなぁ」(ボソッ
「わかった。スマイル、俺と契約してください」
そう言って俺の前に差し出された手は震えていて、触れただけで壊れてしまいそうだった
その手を壊さないように、でも力強く手をとり、 「うん」 と静かに答えた
きんときはクスクスと笑いながら、話し続ける
きんとき「俺は七つの大罪の一つ、”暴食”の名前を受け継いだ者」
「お前は俺に、何を望む?」
不気味に悪魔らしく笑っているきんときに、不覚にもかっこいいと思ってしまった
…絶対に言わないけど
てか暴食の悪魔ってこと初めて聞いたんだけど?
スマイル「…まぁいいか」
「俺は悪魔の見ている世界が見てみたい」
「あと…。お前の幸せを望むよ」
きんとき「…なにカッコつけてるの」
スマイル「…?…つけてないが?」
きんとき「…え、うそ?無自覚なの?」
スマイル「…」
きんとき「…はぁ」
大きなため息を吐きそっぽを向いてしまう
顔を隠そうとするきんときの顔を覗くと、頬が少しだけ赤くなっている気がした
…なんでこいつ恥ずかしがってるんだ?
きんとき「お前は俺の”目”が欲しいんだね?……少し痛いよ」
きんときが俺の右目に触れると、ズキンと痛みがくる
けれど、その痛みも一瞬で
恐る恐る目を開くと、心配そうに俺を見つめるきんときと目が合う
スマイル「…終わった?」
きんとき「…終わった、けど」
「身体は大丈夫なの?なんともない?」
スマイル「別に」
きんとき「そっ…か。…本当に契約できるんだ…」
意外とあっさり契約が終わったようだし、本当に身体のどこにも違和感はないため俺の 身体は耐えることができたみたいだ
スマイル「…じゃあ手当てするぞ」
きんとき「…スマイルの血…欲しいな?」
スマイル「いや、手当てが優先」
きんとき「…お願い」
スマイル「…」
いつにもなく弱々しく話すきんときに負け、大人しく首筋を近づける
きんとき「…ありがと」(ガリッ
スマイル「ッ」
久しぶりに血を吸われ、身体が熱くなるのが分かる
その熱と共に、首筋に水滴が落ちた
スマイル「きん…」
きんとき「……生きてて、よかった…」(ポロポロ
スマイル「ッ!!」
ポタポタと涙が落ちていくのを感じる
その涙は暖かくて…その声は優しくて…
俺もきんときを抱きしめて少しだけ泣いた
しばらくしてから身体を離すと、きんときの左腕は治っていた
スマイル「え!?」
きんとき「俺の回復力すごいでしょ♪…まぁ、スマイルの血がなかったら死んでたけど」
スマイル「…悪魔って、再生能力あるんだ…」
きんとき「一部の悪魔だけだけどね」
スマイル「…そろそろブルーク呼ばなきゃ」
きんとき「聞いといてもう興味なくしたの!?」
その言葉を無視してブルークに問いかける
使い魔とは少し距離が離れていても意志疎通ができる
スマイル『ブルーク、戻ってきて良いよ』
ブルーク『…』
スマイル『…ブルーク?』
もう一度問いかけても彼からの返事はない
ブルークに何かあったのではないかという不安に駆られ、きんときを呼ぼうとした時
路地の方から足音が聞こえた
スマイル「…ブルーク?」
微かな期待を込めて路地を注視する
だが、そんな淡い期待も一瞬のうちに壊された
路地から現れたのは
意識がなく、ぐったりとしているブルーク
そして
ナカムだった
コメント
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めっちゃ続き気になります.ᐟ 無理せず頑張って下さい.ᐟ.ᐟ.ᐟ