そう思うものの、本当に彼みたいに素敵な人がずっとフリーだったのか疑ってしまう。
「……本当に付き合っていた人はいないの?」
尋ねると、暁人は言いづらそうに白状する。
「芳乃以外の女性と付き合う気持ちになれなかった。……だから……」
続く言葉を察した私は赤面する。
(じゃあ、初めて抱かれた時、……初めてだった?)
嬉しいような、申し訳ないような気持ちになった私は笑みを深める。
すると暁人はむくれて言った。
「だって本当に君以外の女性に魅力を感じなかったんだ。その気もないのに付き合う訳にいかないし、体だけの関係なんてお断りだ」
(潔癖だなぁ……)
彼のまっすぐな面を知った私は、くすぐったい気持ちになって微笑む。
――愛しい。
胸の奥から次々に愛情が溢れ、それを言葉に変える。
「……暁人、好きだよ」
「俺も大好きだ。愛してる」
心からの笑みを浮かべた彼は、また深いキスをして私の体をまさぐる。
「ん……」
彼の手が肌を滑り、私は柔らかな唇を吸いながら切ない吐息を漏らす。
脚を開かれて内腿を撫でられると、体の奥からゾクゾクとした気持ちよさが全身に広がり、艶冶な吐息を零す。
「芳乃……。好きだ」
唇を離した暁人は、陶酔した表情でそう言う。
その表情は、八年想い続けた女性を、やっと自分のものにできた喜びに満ちている。
彼は柔らかさを堪能するように、五指を食い込ませて乳房を揉む。
次第に彼の手は体を辿って下肢に向かい、お腹を撫でたあとにアンダーヘアをかすり、秘所に至った。
「ん……」
精神的な悦びや愛情の籠もったキスを受け、そこはすでに潤っていた。
「芳乃、もう濡れてるよ」
暁人が嬉しそうに言うものだから、私は「やだ、もう」と彼を軽く叩く。
彼は陰唇を何度も撫でたあと、「入れるよ」と断りを入れて指を埋めてくる。
「ん……っ、ん、あぁ……っ」
すぐに感じる場所を探り当てられた私は、鼻に掛かった甘ったるい声を漏らした。
「感じてる芳乃、可愛い……」
暁人は愉悦に満ちた微笑みを浮かべ、さらに蜜洞を探索し、色づいた胸の先端を口に含む。
「あぁ……っ、あ、や……っ、そこ……っ」
温かな口内に乳首が包まれたかと思うと、ヌルヌルと舐められる。
敏感に勃起した乳首を転がされるたび、下腹部にズン……と甘い疼きが宿り、私は堪らなくなって荒い息を吐く。
乳首を舐められて吸われ、吐き出された新たな蜜が潤滑剤となり、指の滑りを良くさせる。
「んぅ……っ、あ、あぁ……っ、きもち……っ」
ぬるついた蜜壷を彼の指が前後し、陰核の裏側をぐぅっと押すと、トントンとノックしてくる。
するとまだ陰核には触られていないのに、そこに直接刺激を受けているような感覚に陥り、私は腰を浮かして悶えた。
「はぁ……っ、あ! ……ん、んぅ……っ」
体の奥からせり上がった悦楽を我慢できず、私は目を閉じて体を震わせながら、深い絶頂を貪った。
「んっ、……はぁっ、はぁっ、――――ぁ、はぁ……っ」
「可愛い……」
暁人は陶酔した表情で呟き、指についた愛蜜を舐めとる。
そして引き出しから避妊具を出すと、紅潮した顔でそれを装着した。
「芳乃……。抱くよ」
いまだ快楽の残滓に浸っていた私は、うっすらと目を開いて彼を見る。
よく見れば、確かに〝悠人くん〟の面影がある。
(努力したんだな……)
記憶にある彼はひょろりとした青年で、いつも何かに脅えているような様子があった。
前髪を伸ばして目元を隠していたのも、フードを目深に被っていたのも、人から見られたくないという意思の表れだと思っていた。
あの時は事情を聞かなかったけれど、彼が神楽坂暁人だと知った今、当時、世間を賑わせていたニュースを思い出し、すべてを理解した。
でもあの青年が、今は立派に神楽坂グループの副社長を務めている。
かつては私が彼に勉強を教えていたのに、今は彼に雇われ、守られている。
(頑張ったんだね)
露わになった顔は精悍で美しく、惜しげもなく晒された体は、しっかり鍛えられている。
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キュン💕キュン💕