テラーノベル
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昨夜の宴も終わり、静かな朝を迎えた。
オレは早朝は日課のトレーニングに励む。
誰もいないな―――
オレはゆっくりと足を上げる。
片足を自分の肩を超えて、大きく上げ、そのまま直立をする。
この無理な態勢を30分キープする。
驚異的な身体の柔らかさ―――
天童 進の高い戦闘力の秘密としてこの常軌を逸した柔軟性が挙げられる。
この柔軟性はあらゆる態勢での技の行使を可能にする。
「ススムさん―――っ!?」
「マリーっ・・・!!」
マリーが驚いた表情を向ける。
彼女も朝早く起きてきたのだ。
トレーニングをいったん中止し、マリーから澄んだ水をもらう。
ゴクゴクっ―――
オレはその水を飲み干す。
「美味いな―――」
「あんな所で何をされてたんですか?」
不思議そうな顔のマリー。
「日課のトレーニングだ―――」
「オレは昔からやっていた―――、アレ以外にも剣術を毎日欠かしたことがない。」
「まぁ、それ以外の武術もやっていたがな・・・。」
正確には父親に半ば強引にやらされていただが―――
「すごいです!!」
「私、あんなの見たことないですよっ!!」
眼をキラキラさせるマリー。
そんなに珍しかったのか―――
「そ、そうか・・・?」
オレは少し恥ずかしくなる。
「あ・・・あの、もしよければ私もそのトレーニング教えていただけませんか?」
マリーはそう言ってきた。
「マリー・・・。」
そうか、強くなりたいと言っていたもんな―――
「分かった―――、いいぞ!!」
「やった!!」
マリーは跳ねて喜んだ。
「ただし、オレのトレーニングは厳しい!」
「ちゃんと、付いて来るんだぞ!!」
オレは念押しする。
大の大人でも泣き言を吐く、地獄のトレーニングをやらせるつもりだ。
まぁ、無理そうならいつでもリタイア可能だ。
オレは無理にやらせるつもりはない。
「はい!分かりましたっ!!」
こうして、オレとマリーの師弟関係が出来上がった―――
オレとマリーは村を発つ準備をしていた。
村人全員の挨拶も済ませ、村の入り口まで来た。
「マリー、君の母親のお墓には挨拶を済ませたのかい?」
オレはマリーに尋ねた。
「ええ、お母さんの挨拶は済ませました!!」
「そうかでは行くとするか―――」
オレ達は旅立とうとしていた。
ルイーズさんがこちらに来て、
「お前らどこ行こうかとか目的地はあるのか?」
「いえ、特に決めてはいなかったのですが―――」
「はぁ・・・。」
ルイーズさんは深いため息をつき、こう続けた。
「決まっていないのなら、この村の入り口の道なりに10kmくらい進んだところにそれなりに大きい”リーヨン”って街がある。」
「そこに向かいな。武器や防具、戦闘系のアイテム、さらにギルドがあるからクラスチェンジもできる。」
「そこで、ギルドに冒険者として登録しな―――」
そんなアドバイスをしてくれた。
「そうですね。まずはお金をため、力をつける。オレもマリーも、そして…」
そして、未央を見つけて、元の世界に戻る方法を探さないと―――
言葉にするのはその場ではしなかったが、進の心には既に決まっていた。
「では、ルイーズさん―――」
「それに村長、村にいた間よくしてくださりありがとうございました。」
とお礼を言った。
マリーも同じようにお別れの挨拶をした。
そして、オレたちは村からリーヨンという街を目指すことにした。
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