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私の名前はマリー。
どこにでもいる平凡な村娘。
何てことない普通の人間。
ここはロレーヌの村。
―――人間と獣人が仲良く暮らす平和な村
農作物や狩りで人々が生活をしている。
また、時折来るリーヨンからの行商人に農作物や倒した魔物の素材、日用品を取引して生計を立てている。
私も普段はお母さんと質素なこの家で生活をしている。
私の家は、幼いころに父親が病気で亡くなっていたので、父親と過ごした記憶がほとんどない。
だが、その分お母さんと一生懸命農作物育てて、食料を自給していた。
村の人も皆いい人で、困っていたことがあったら、悩みを聞いてくれたり、日用品が足りなくなっていたら貸してくれたりする。
もちろん自分もそんな親切な人々の役に立とうと行動をしたりしていた。
そんな何てことない平和な毎日だった。
そして、この日も何事もなく平和な日常だった。
そうあの山賊たちが襲撃してくるまでは―――
◆◆◆
その日はちょうどお母さんとご飯を食べている最中で、村が騒がしいことに気が付いて、
お母さんとルイーズさんが帰ってきてそれを村の人たちで迎えているんじゃないかと話していた。
しかし、急に何か焦げた匂いがし始めて、山賊たちが私の家にドカドカと侵入きた。
「ちょっとあなたたちはいったい誰なんだい。」
お母さんが慌てて、その人たちに言い迫る。
「おい、お前たちさっさと外に出なッ!!」
「この村の物や女はオレたちが奪うんだからよぉーー!」
「ふざけないで、お前たちの好きにさせるわけないでしょ。」
「うるせぇんだよ。ババァ!」
お母さんは服を捕まれ、無理やり外に放り出された。
私はやめてと叫んだ。
男たちが二人私の隣に来て、肩を掴んだ。
そして、そのまま持ち上げ、私もお母さんと同様に外に出された。
「おい!かなり上玉だぜ。こりゃ奴隷商人にいい値で売れるに違いねぇ!」
「確かにこれはツイている!」
「服はボロボロだが、キレイな青い瞳にいい感じの長さのブロンドで磨けばかなり美人になるぞ。」
「この家結構食料ため込んでるみたいだぞ!頂いて行こうぜ!」
山賊たちが野蛮な話をしていると、お母さんが山賊たちに対して向かって
「あんたたちの好きになんてさせるわけないでしょ。」
「その娘は、私の大事な娘よ。」
「それにその食料だって冬を越すために貯めてて、あんたたちのための食料なんかじゃない。」
「ルイーズさんが帰ってきたらあんたたちなんて一撃よ!」
「なんだとこのババァ!」
山賊たちは怒り、腰に下げている剣を引き抜き、お母さんを斬りつけようとする。
お母さんは必死に抵抗したが、二人の山賊に取り押さえられて身動きが取れない。
私は恐怖のあまりその場にしゃがみ込み動けないでいた。
「やめて!お母さんを殺さないで!!!!」
悲鳴に似た声を上げることしか出来ない。
私はなんて無力なんだ―――
「お前が素直に食料と娘を寄越さないからだぞ!」
「やめてーーー!!!」
私は泣きながら懇願したが、山賊たちは手を止めない。
そしてお母さんの心臓を一突きされた。
私の周りにはお母さんの血が飛び散った。
「お母さん!お母さん!」
ブルブルと震えながらちょっとずつちょっとずつお母さんの元に近づいたが、お母さんはもう何も返事をしない。
即死だった。
山賊たちはにニヤニヤしながらこちらを見ている。
私は茫然とし、その場にお母さんに縋りながら泣き続けた。
その時―――
村の中央の方から、誰かの叫びが聞こえた。
そして、その数秒後に山賊たちは光の輪のようなもので拘束され全て無力化された。
「一体なにが起こってるの・・・?」
私はそう呟いた。
凄い眩しかった。
まるで神様が助けてくれたみたいな―――
でも、それは神様なんてものじゃない。
私と同じくらいの少年が放った魔法だった―――
とても強い眼をしていたのをよく覚えている。
その出会いによって、自分の人生がこれから大きく変わるなんて思いもしなかった。