テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ピザ屋。
昼。
焼きたての匂い。
ミアはピザを食べている。
「おいしい!」
エリオット。
「よかった」
チャンスは向かいでコインをいじっている。
カラン
平和な時間。
その時――
カラン
ドアのベル。
店に入ってきたのは。
黒いスーツの男たち。
空気が一瞬で変わる。
チャンスの手が止まる。
「……来たか」
エリオットも気づく。
でも顔は変えない。
にこにこ。
ミアだけが気づいてない。
「おかわりある?」
男の一人が前に出る。
「エリオット様」
エリオット。
「うん」
男。
「お嬢様をお迎えに参りました」
ミアの手が止まる。
ゆっくり振り返る。
「あ」
少しだけ顔をしかめる。
「もう来たの」
エリオット。
「連絡行ってたんだな」
ミアは頬を膨らませる。
「お父さんは?」
男。
「本日はお見えになりません」
ミア。
「……」
少しだけ沈黙。
フォークを置く。
「なんで」
男は何も言わない。
ミアは少しだけ俯く。
「忙しいの?」
エリオットが口を開く。
「多分な」
ミアは少しだけ考える。
それから。
小さく息を吐く。
「……そっか」
でも。
すぐに顔を上げる。
無理やり明るくする。
「じゃあ帰る」
椅子から降りる。
エリオットの方へ行く。
服を軽く掴む。
「お兄ちゃん」
「ん」
「また来る」
エリオットは少しだけ優しく笑う。
「いつでも来い」
ミア。
「約束」
エリオット。
「約束」
ミアは少しだけ笑う。
それから。
チャンスを見る。
「チャンス」
「なんだ」
「お兄ちゃんよろしくね」
チャンスは少しだけ目を細める。
「任せろ」
ミアは満足そうに頷く。
それから外へ向かう。
ドアの前で一瞬止まる。
振り返る。
エリオットを見る。
ほんの少しだけ寂しそうな目。
でも。
すぐに笑う。
「バイバイ!」
カラン
ドアが閉まる。
スーツの男たちと一緒に去っていく。
ゆゆゆゆ
#Paycheck
店内。
少しだけ静かになる。
エリオットはそのまま立っている。
チャンスが言う。
「……いいのか」
エリオット。
「何が」
チャンス。
「一人で帰らせて」
エリオットは少しだけ目を細める。
「一人じゃない」
少し間。
「でも」
小さく呟く。
「来てほしかったんだろうな」
チャンスは何も言わない。
ただ。
コインを弾く。
カラン
エリオットはゆっくりオーブンの方へ戻る。
いつもの場所。
でも。
さっきより少しだけ静か。
チャンスはエリオットを見る。
「……」
エリオット。
小さく笑う。
「行かないよ」
チャンス。
「……ああ」