祐希Side
 はぁはぁ‥。扉の前で荒い呼吸を整える。なりふり構わず来てしまったが‥
どうしたものかと直前になって尻込みしてしまう。
 あれ以来、藍とは普通に接してるつもりではいた。しかし、何かと理由をつけては肌を重ねる事は出来ずにいて‥
 藍に嘘をついている自分が、抱き締めていいはずがない‥そう思ったから。
 藍も薄々気付いていたんじゃないだろうか‥よく黙って手を握りしめる事が多かった。顔を覗き込むと、なんでもない‥と泣き笑いみたいな表情をしていたのに‥
 何故、あの時俺はそのままにしていたのか。今頃になって悔やまれる。
 
 話をしよう、藍と‥もう一度。大きく深呼吸をし、意を決する。
 しかし、
 扉に触れようとした瞬間‥内側から扉が開く。
 出てきたのは‥
 小川だった。
 
 
 
 
 寸前で扉を避けた俺を見てあっと驚くが、その表情は一瞬だけ。小川にしては珍しく、バツの悪そうな顔をしている。
 
 「どっか行くの?」
 「えっ‥ああ、はい。太志さんに呼ばれ‥たんで‥」
 「太志に?」
 しなくてもいいと言ったのに‥。つくづくお節介な奴だ。
 「とこ‥ろで、藍は?寝てる?」
 一番気になっているのに、あえて平常心を装いつつ問いかけた。扉の奥を少し覗くが‥様子は分かりそうもない。
 「起き‥て‥ます‥よ‥」
 歯切れの悪い言葉。だが、藍が気になる俺は特に気にもしなかった。余裕がなかったんだ。
 
 「悪い‥中入るぞ?」
 キョロキョロと見渡しながら、小川に許可を貰う。それと同時に、
 「あっ、‥じゃあ、俺急ぐんで‥」
 そう言うと、足早に小川が駆け出して行ってしまう。礼を述べる暇もなく‥
 
 
 流石に不審に思ったが‥今は藍が優先だ。起きていたなら、何で携帯に出なかったのか。
 薄暗い部屋の中に上がり込む。
 
 
 
 
 部屋に入り気付いた。水音がする。
 浴室からだ。
 なんだ、シャワーを浴びているのかと少し安堵したが‥どうも気になり、浴室の方へと向かう。
 
 「‥藍?‥シャワー入ってんの?」
 扉の前から声を掛けてみる。すると、中で何か鈍い音が響く。
倒れた!?
 慌てふためき、扉を開けると‥
 床に座り込む藍がそこにいた。
 慌てて駆け寄り、身体を起こす。怪我でもしていないかと全身を観察するが‥白い臀部が赤くなっている他は異常など無さそうだった。
 尻もちでもついたのか。
 それよりも‥何故こうも力が入っていないのか。
身体を引き起こした俺にぐったりと寄りかかっている。
 
 こんな状態でシャワーに?
 
 問いただしたかったが‥藍の表情が冴えない。急いでびしょ濡れの身体を整わせ、バスタオルに包んだままの状態でベッドに横にする。
 「祐希‥さ‥ん、ごめ‥ん」
 身体を拭う間、何度も謝る藍に‥そっと唇を重ねた。何度も軽いキスをすると、藍が薄く微笑む。
 いつもの悪戯そうな表情は影も形もない。大きな瞳は腫れていて‥泣いた直後である事は容易に想像がつく。
 
 「気にすんな、でも‥お前なんか変じゃない?具合悪いの?」
 優しく頬を撫でながら、表情を凝視した。酷く気怠そうな様子から見ても、普通じゃない。
 「小川‥は何にも言ってなかったけど‥もしかして‥小川と‥」
 そう話しかけた俺の口をやんわりと藍の手が遮る。
 「ちが‥う‥から‥も‥いい‥から‥」
 その言い方に逆に確信を持ってしまうが‥。でも、藍がそう言うなら‥
 
 
 「藍‥寝てもいいよ。俺に構わず‥」
 眠気が襲うのか‥藍の瞳はトロンとまどろんでいる。すぐに眠れるようにと、布団を肩まで掛けようとするが‥その動作を藍が遮る。
 「いら‥ん、ゆう‥き、キスして‥」
 「えっ?」
 今まで藍からキスをねだられる事は、ほとんど無かった。数える程度だろう。
 こんな状態の藍に‥?そう躊躇うが‥熱に浮かされたような瞳と合わさり、不意に欲情を駆り立てられる。
 磁石のように身体が引きつけられ、藍の唇と重なる。薄い唇からは冷たさを感じ、熱い舌でこじ開けるとすぐに可愛らしい舌が出迎えてくれた。
 もっと、もっと‥というように、藍が大きく口を開くからそれに応えるように深く重ねる。交わる舌のおかげで、淫らな音が響く。
 溢れる唾液が口の端から零れ落ちるが、それでもキスを止めなかった。
 
 執拗に求め続けた。時折冷え切った藍の身体を暖めようと手で擦ると‥その刺激で藍の口から甘い声が漏れる。
 
 耳を震わせるほどの甘美な声。
 「やぁ‥‥‥だ‥‥め‥‥‥い‥‥イく‥‥」
 
 弱々しい両手で急に背中に手を回したと思ったら‥藍の身体が数回跳ね‥
 白い腹部に白濁が飛び散っていた。
 まだ中心部分にも触れていないのに‥
 
 はぁはぁ‥と荒い息をする藍を凝視した。放たれたばかりの熱がとろりと流れ落ち、不意に掌で撫でると、その刺激だけでも堪らないとばかりに声を上げる。
 触れたところが全部性感帯にでもなってしまったのかと思うぐらい、藍の身体は敏感だった。
 おかしい‥。
 「ねぇ、なんでこんなに敏感なの?ここも‥」
 「やっ、‥あっああ‥」
 普段から触れている胸の突起をキュッと摘む。いつもより、先端部分が膨れている‥そんな気がした。
 突然の強い刺激に、藍が初めて俺の腕を止めようと手を掛けるが‥いつもと比べると格段に弱々しい力。
だから、頭上で両手を掴み押さえ込んでしまえば、簡単に動きを封じられた。
 藍は何かを隠してる‥?
 
 「藍?答えられない?」
 「な‥んも‥ない‥」
 「そう‥‥」
 歯を食いしばり刺激に耐える藍の表情からは、聞き出せない事が分かる。
ならば‥
 「藍が答えないなら‥身体に聞くから‥」
 「えっ‥?」
 もうすでに赤く腫れている突起に舌を這わせる。乳輪をグリグリと刺激される事に藍は弱い。
 
 「やぁ‥‥‥んっ、まっ‥て‥とま‥って‥」
 
 思い切り強く吸い上げると、白い腰がビクンと跳ねた。与えられる快感を散らそうと‥必死で藻掻くが、その腰すらも片手で固定すると、藍は鳴き声を出すしかなくなる。
 
 「ああっ、だめ‥‥」
 「言う気になった?」
 口で刺激しながら、藍に問うも‥それでも頭を振るばかりで答えようとしない。
 強情な態度に、つい俺もムキになってしまう。抑え込んでいた腕を離し、指でも愛撫を施す。
 
 両方の突起を愛撫され、藍の目元から快楽の涙がボロボロと零れ落ちる。
 そして、耐えきれず自分の腰を俺に擦り寄せ始める。
 先程、熱を放ったばかりなのに‥藍の陰茎は屹立していて、先端部分からは先走りが垂れていた。
 「も‥やだぁ‥ゆう‥き、‥我慢でき‥ん、ちょお‥ら‥い‥」
 蕩けるような甘ったるいほどの声だった。
 泣きながら藍が‥欲しいと呟く。
 甘えるようにキスをせがむ。
 聞き出そうと思ったのに。
 思いも寄らない藍の乱れた姿に、
 俺の理性が保てるはずもなく‥
 
 「らん‥俺が欲しい?」
 「ゆうき‥がいい‥ゆう‥きじゃないといや‥も‥我慢でけ‥へん」
 涙でぐしゃぐしゃの顔に堪らずキスをすると‥
 夢中で俺に縋るように抱きつくその身体を抱き締め返した。
 子供のようにグリグリと頭を擦り付け‥
 顔を埋めようとする。
 身体の境界線さえも曖昧になるほど‥
 1つになりたい‥
 こんなに強く願った事はないな‥
 
 藍と1つになりたい‥
 その願いを込めて‥
 泣き縋る藍にキスをした‥。
 
 ゆうき‥とそればかり呟く、愛しい恋人を抱き締めながら‥
コメント
8件
わーーーーー!! 元気出た

大志さん好き♡ ありがとう君は天使👼 ゆうきさんは今回の一連のことを大反省&藍くんに懺悔ね٩(๑`^´๑)۶
あああ😭久しぶりに祐藍見れた😭もうとりあえず小野寺ありがとうございます!泣いちゃいます(?)