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誰も知らない

誰も見えない

誰も聞こえない

ここに居るのに ひとりぼっちだ。






「先生聞いとん?」

「へ?あ。ごめん、聞いてなかったわ」

「ちょっと、先生しっかりして〜」

「ごめん、ごめん、で…なんやった?」

「だから!先生ってここ出身なんやろ?」

「そうよ〜。懐かしいなぁ…。」


懐かしい母校。

私は生徒から先生になって帰ってきた。

校舎は昔から変わらず、しかし生徒数は減り、近年では通う子供が居なくなるため近くの中学校と統合されるそうだ。そうなればこの学校は休校するだろう。そんな時に、私は先生としてこちらに赴任することになった。

最後にこの学校を見たのはもう20年も前だ。


「先生って結婚してないの?」

左手を確認しながら喋る生徒。大体赴任先では先生の恋愛話は嬉々としながら聞かれる。

「う〜ん…そうよ。婚期逃しちゃって…」

「え?!じゃあ付き合ってる人もおらんの?」

「その通りです。はい、もう帰るんよー!」

「やばいやん、先生!…じゃあ部活行ってきまーす!」

そう言うと部活動へと向かい走っていく生徒。粗方話は聞けた様で、ニヤニヤしながら教室を出て行く。

やばいやん、先生…か。

確かに私は30半ば過ぎても…というかもう40代目前でもまだ結婚出来ていない。うるさかった親ももう諦め、兄弟の孫につきっきり。自由な独身生活を送っている。

「そんなつもりなかったんやけどなぁ…」

恋愛や結婚に夢がない訳ではない。

でも。私にはずっと忘れられない人がおる。


夕陽が傾きだした教室に部活動中の子供たちの声がひびく。




夕焼けの教室の中の君

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