TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
貪り

一覧ページ

「貪り」のメインビジュアル

貪り

8 - 第8話

♥

30

2024年04月06日

シェアするシェアする
報告する

どこかに通じているのかもしれない。


風穴のような場所なのだろうか?


だとしたらがっかりだが、声も聞こえなくなったし、いつまでもじっとしていてもしょうがない。


気づいたら僕は歩き始めていた。


ただ歩くのも頼りなく、僕は何か頼りになるものを探した。


両手をバタバタさせながらしばらくウロウロしていると、何かが指の先に触れる。


壁だ。僕は身体を壁にぴったり寄せた。なんとなくこうすると落ち着くのだ。


両手を壁につけ、這いずりまわるヤモリのような恰好で僕はひたすら前に進んだ。


「本当にいいんですか? そのままで行く覚悟はあるんですか?」


僕は返事をしなかった。する必要がない。


「もう堕ちるだけだよ。先はないんだよ」


うるさい! といっても私は意味のある言葉を発したわけででではない。何か小動物を捻った時のような叫びを上げただけだ。


これでも伝わるだろう。伝わればいいのだ。


しばらく進むと声も聞こえなくなった。静かだ。満足だ。


壁の質感がだんだん変わってきて、ブヨブヨブヨブヨ寒天のようだ。生暖かくて気持ち良い。ここいいると 落ち着く。落ち着くんだ。


進むんだ。まだだ。


「だんだん狭くなってくる」


落ち着く。進。落ち着いていく。行くんだ。


前に明かりい。あれに向かっていくんだ。進。


ガシャッ キャキャーンッ 何かが崩れ高い金属音。


私は畳の上に降り立った。どこだ? ここはどこから出てきたんだ私は?


どこかの誰かの家。和風の間取り。


俺は見下ろしている。


ズキン、と背中脇が痛む。畳に血の滴り跡が散っている。長くないのか?


誰かいないだろうか? 会いたい。見たい。


思い出した!


ここはさっき追いかけた少年の家! 仏間?


「誰か!」


甲高い声が鳴る。金属を引っ掻くようなゾワゾワする音。


自分の声だ!


俺は飛んだ。灰や線香やら、何かの金属。輝く香炉? なにくぁわからないものが畳に飛び散る。


なんだ? からだが小さくなっている! 俺はひょこひょこ歩く。


俺はふと、庭に面しているガラス戸を見た。


薄く映った猿が間抜けな顔でこっちを見ている。


猿には眼が三つあった。



この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚