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「阿部ちゃん、ごめん…。ちょっと良いかな?」
それは、突然過ぎる出来事だった…
明日は目黒の出立の日…
大阪でのコンサートを終えて、すぐに旅立つ予定だと聞かされていて
俺達は、皆んなで焼肉を食べ【送別会】という名の決起集会を行った
「俺も成長して帰ってくるから、皆んなも成長した状態でまた再会しようね」
そう言われた俺達は…
自分もウカウカしてられないと、それぞれ成長する事を…己に誓った
俺もまた、その言葉に心打たれ
絶対、めめが帰って来るまでに…何か自分の中に、誇れるモノを残そうと
いつも以上に、勉強や…歌やダンスに力を入れて頑張ろうと意気込んでいた────
そんな日の夜、当の本人である…目黒が部屋に訪ねて来て
同室のメンバーが他の部屋に遊びに行って、今は居ないと確認すると
俺に、時間はあるかと…問い掛けて来た
「今は1人だし、大丈夫だよ」
明日、めめはカナダへ行ってしまう…
そうしたら…こうして顔を突き合わせて話す事も、難しくなる
だから、自分としても…最後の夜に、こうしてわざわざ部屋を訪ね
話をしに来てくれた、目黒の心遣いに感謝さえしていた────
「あのさ…阿部ちゃん、目…閉じて」
この時は、何の疑いもせず…それに従い
俺は…言われるがままに目を閉じた
「これで良いの?」
その後、何があるのか…ほんの少しドキドキしながら
目を閉じて声を掛けると
その数秒後に…肩を引き寄せられて
「んっ…」
唇に、何か温かい柔らかい感触が────
キスをされたと、頭と身体が理解して…
慌てて目を開けると、丁度…彼が部屋を出て、ドアが閉まる音が聞こえた
「ちょっ…めめ!今のは、一体…!」
急いで自分も部屋を出るが
すでに姿は、何処にも無くて…
追い掛けて行って…問い正すのも憚られ
そのまま俺は、悶々とした一夜を過ごす事になってしまった────
そして次の日も同様に…メンバーとしての会話はしたが
その理由までは聞けずじまいで…
そのまま目黒は、コンサートを終え…
マネージャーと共に、その足で…空港へと向かって行ってしまい
空港でも、一応再会はしたものの…
プライベートな会話等、あまりする余裕も無くて
あっという間に離れ離れに…
「………」
結局…キスの謎は解けぬまま…
俺は、良く分からない複雑な気持ちを抱えてままで
めめの帰国を待つ事となってしまった────
目黒が日本を旅立って
皆、それぞれ…彼との約束を果たす為
必死なって努力を続けた────
けれど俺は、何をしていても…
あの時の事が頭を掠め…全く集中出来ずに、困っていた
「阿部ちゃん。どうした?大丈夫?」
俺の様子がおかしいと、気付いた翔太が…声を掛けに来てくれて
思わず心が躍ってしまう…
実は、俺は翔太に片想いしていて
告白なんて…そんな大それた事は考えてはいないが
そうなれば良いなと、心の片隅で…ほんの少しだけ期待していた
「大丈夫だよ。ありがとう」
笑顔で返すと何かが、おかしい
いつもなら、喜び勇んで続ける会話が…
今日は、やけに冷静に────
「………」
自分の頭の中の、目黒の占める割合が増え…
翔太への気持ちが薄らいでいる
『あぁ…これはもう、重症だ…』
自覚すると、その頻度は増えていき…
遂に、翔太の事は…他のメンバーと同じ様に、全く意識しなくなってしまった
「昨日、蓮から連絡きてさ〜!」
嬉しそうに、佐久間が楽屋で話をしている
聞きたくなくても【蓮】名前を聞けば…反応する様になってしまい
LINEを開くが…
俺の所には、一切連絡は届いていなかった
「………」
だからと言って、こちらから連絡するのも何か癪で…
メッセージを打ち掛け…全て消して、そのまま俺はスマホを置いた
面白くない…
気に入らない…
いつも、沈着冷静で…温厚で頭脳派だったはずの自分が
彼から連絡が来ない、それだけで…こんなにイライラ、苛ついている────
頭の中が、めめ一色で…
どう足掻こうと、止められない
「はぁ…俺は、もう駄目なのかも…」
そんな時、彼の一時帰国の一報が…
マネージャーから入って来た
『めめが、日本に帰って来る…』
それだけで、何処か浮き足立っている自分がいる
『駄目だ…俺は、怒っているんだ…』
己を叱咤して、気持ちを引き締め…
大人しく…俺は、その帰りを待つ
「ごめん、阿部ちゃん…今、ちょっと良い?」
デジャヴだろうか?
カナダから帰って来た目から、以前と同じ様な台詞で呼び止められて…
事務所の会議室で向き合っている…
「何か、俺に言う事ないの?」
強めに聞くと、一瞬…目黒は目を逸らし
その後…すぐに頭を下げた
「何で、あんな事したんだよ…。おかげでこっちは、悶々として…」
その言葉に一瞬、嬉しそうな顔をしたが…
俺に睨まれ、再び深く頭を下げる
「本当に、ごめん…」
「それはもう良い。あんな事した、理由を聞かせて…」
「それは、その…。俺はただ、向こうに行って居ない間…阿部ちゃんの記憶に残る事がしたかっただけで…///」
「俺の記憶に、残る事?」
「俺の事、出来れば毎日想って欲しくて…///気付いた時には、出国の期日が迫っていたし…そこから、2人の仲を育むのは無理があると判断して…。それなら、せめて…」
「俺の記憶に、自分を残そうとしたって事?」
その問い掛けに、素直に目黒が頷いた…
『はぁ…そうなると。俺は今回…めめに、まんまとしてやられた訳だ…』
彼の計画通り…
俺は、あの日から…目黒の事ばかりを考えて…
ずっと毎日過ごして来た────
「ごめん、阿部ちゃん。本当にごめん…」
理由を聞けば、そんな事かと笑ってしまうが
それでも、そんな彼が愛しく見える…
もうそんな所まで…どハマりしていた
自分に呆れて、微笑むと…
視線が合って、めめが近付いて来る
「駄目だよ、今は…それ以上…」
それを手を伸ばして、静止して…
俺は目を見て、こう告げた────
「その続きは、しっかり今の仕事を終わらせて…。本当に帰国してから、聞かせて欲しい…」
そう伝えると、驚いた様に一瞬…瞳が見開いて
それからユックリ引き下がる
「………」
優しく、ニッコリ微笑んで
そのまま目黒を残して部屋を出る
俺を、これだけ沢山…悩ませたんだ
簡単に…告白なんて、させてやらない
いっぱい悩んで、落ち込んで…
次会う時は、今よりもっと…俺の事を想って居てね────
コメント
8件
ちょっとわるーい💚大好きです🥰

確信犯2人 💚にしっかり記憶に残し 🖤まで簡単にはさせない お互いの駆け引きが 続き待ってます♪楽しみ😊
やっぱり難しいなぁ…🤔 このテーマで焦燥感は、出ないよね…
#目黒蓮
あおりんご
107
#BL