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sideシャゼル
私の名前はシャゼル。
メイス国の医師として、その名を轟かせてきた。
レガット様の誕生日パーティーで、ミレーア様が倒れた時、私は重度の貧血だと診断し、鉄剤を処方した。
しかし、ミレーア様の容体は悪くなる一方だった。
それを…
あのマリーナという娘は、血気両虚などと診断し、不思議な薬で治してしまった。
その噂は後宮中に、いや、王都メイナスにまで広まりつつあった。
私は、診断ミスをしたやぶれ医者として、国医としての威厳に傷がついた。
このままでは終われぬ、と思った。
いや、終わるにしても、正々堂々と勝負して散りたかった。
それが、私の医者としてのプライドだった。
私はバルサック様を通じて、マリーナと勝負をさせて欲しい、と懇願した。
薬師マリーナはそれを受け入れたようで、今日この日、勝負が始まった。
私は白衣に着替えて診察室に入った。
「咳と喉がヒューヒュー鳴るのですが…」
最初の患者がそう言う。
「それはおそらく気管支炎ですね。」
私はアニスというハーブの一種から取れる薬を処方した。
そう、私の処方に間違いはないはずだ。
しかし…
1週間、2週間すると、段々と薬師マリーナの診察室に患者は集まるようになってきた。
ここまでか…
いや、私は最後まで戦う。
そして、見事に負けを認めよう。
そして、1か月後。
マリーナの医術が勝利したことをバルサック様から伝えられた。
私はもちろん国医を返上する、と申し出たが、バルサック様はそれを認めず、今後もマリーナと共にこの国の医学を発展させて欲しい、と述べられた。
私は納得いかない気持ちのまま、国医を続けることになった。
いや、今は色々な医学を学び、いずれもう一度勝負して…
その時こそは…
私はそう心に決めたのだった。
sideマリーナ
1か月後、私の医術が勝利した、とレガット様が伝えにきた。
私はホッとしたのと同時に、シャゼル殿のことを思った。
「シャゼル殿はどうなるのですか?」
「うーん、おそらく、国医は返上するんじゃないかな?
彼はプライドが高いからね。」
「シャゼル殿は立派な医者にございまする。
どうか、辞めぬように配慮してくださいませぬか?」
「敵に塩を送る、ということ?」
「そう言う訳では…
この国の為に、シャゼル殿は必要な医者だと心から思うのでございます。」
「ふむ…
マリーナらしいけどね。
一応バルサック兄上に頼んでおこう。」
レガット様は苦笑いしてそう仰った。
そして、メイナス病院で名声が高まった私は、週に一度メイナス病院の薬師として、診察を行うことになった。