テラーノベル
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俺の唇に陽雅さんの唇が触れる。そしてすぐに俺の口に陽雅さんの舌が入り込んだ。
「んっ…」
いつもの優しいキスとは違い、噛み付くようなキスで、少し息苦しい。
「んんっ…」
少しして陽雅さんが顔を上げ、俺の体を見る。
「恭也が俺のだってちゃんと記しておかないとね」
陽雅さんは俺の首元に口を近づけ、そのまま口を付けた。
チクッとした痛みが走った後、じんわりと熱が残る。
陽雅さんは顔を上げ、その後を見つめた。
「こんなのじゃ足りないよね」
陽雅さんはそう言って、鎖骨に口を近づける。
首元と同様にチクッとした痛みが走り、じんわりと熱が残る。
続けて、二の腕や腰、太ももにも痕を付けた。
他にも数箇所つけた後、顔を上げる。
「これでどこ見ても俺の物って分かるね」
そう言って満足気に笑うと、再び冷たい目に変わる。
「後は恭也の体に分からせないとね。恭也は俺のだって」
「体に…?」
陽雅さんは体を起こすと、自分の硬くなったものを手に取る。
そして、そのまま俺の窄みに入れた。
「いっ…!」
解していないからか、すごく痛い。
俺は慌てて陽雅さんを止める。
「待ってくださいっ…痛いです」
「そりゃあ解してないから痛いよね。でもしょうがないよ。お仕置だから」
陽雅さんはそう言った後、更に奥に挿れる。
「いっ…! 陽雅さんっ…抜いて下さいっ…」
「嫌だよ。ちゃんと分からせないといけないから」
「お願いしますっ…一回抜いてください」
「嫌だって。ほら、最後まで挿れるよ」
その言葉と共に、陽雅さんのものが全て俺の窄みに入る。
「くっ…!」
「動くよ」
「待って…」
陽雅さんは俺の言葉には耳をかさずに、腰を動かし始めた。
「うっ…んっ…痛いっ…ですっ…」
「痛い? でも恭也が悪いんだもんね」
「違っ…俺本当にっ…誰とも…」
「まだ嘘つくの? 悪い子だね」
陽雅さんはそう言って腰を動かし続ける。
痛くて涙が滲んでくる。
陽雅さんが怖い。
でも、陽雅さんと一緒にいるって決めたから、これくらい我慢しないと。
「うっ…陽雅さんっ…俺の事っ、信じてください」
「ごめん恭也。恭也の言葉が本当かどうかなんてもうどうでもいいの。俺は恭也に俺以外の誰かが触れたのが嫌なんだよ」
陽雅さんは冷たい目で、冷たい声でそう言って腰を動かす。
「いっ…痛いっ…陽雅さんっ…」
自然と涙が溢れる。
そんな俺を見て、陽雅さんは言う。
「泣かないでよ恭也。悪いのは恭也なんだから」
俺が悪い。
思い出せないけど、もしかしたら昨日、他の誰かとしてしまったのかもしれない。
だってその方が、辻褄が合ってしまうから。
「うっ…ごめんなさいっ」
「やっと認めてくれたの?」
「分かんないっ…ですけど、ごめんなさい」
「何それ。意味分かんない」
陽雅さんの腰の動きが少し早くなる。
「うっ、ごめっ、ごめんなさいっ…」
涙がたくさん溢れてくる。
痛みもだんだん和らいできたけど、涙は止まらない。
「うっ、んっ…ごめんなさいっ…」
そう言った時、陽雅さんの動きがピタリと止まる。
陽雅さんは俺をしばらく見つめた後、焦った様子で言う。
「恭也、大丈夫?」
「えっと…」
「大丈夫じゃないよね。すぐ抜くから」
陽雅さんはそう言って俺の窄みから自分のものを抜く。
そして、俺の窄みを見つめた。
「血は出てないみたいだね。まだ中痛い?」
「いやっ、もう大丈夫です」
「そう。良かった」
陽雅さんは安堵の表情を浮かべた後、俺を抱きしめる。
「ごめん。恭也」
「いやっ、俺は別に大丈夫です」
俺の言葉を聞いて、陽雅さんは抱きしめるのを辞めて、俺を見る。
「大丈夫じゃないよ。俺、真偽も分からないのに、こんな事して…」
「大丈夫ですよ。俺が覚えてないだけで本当に誰かとしちゃったのかもしれないですし」
陽雅さんは俺の言葉を聞いて俯く。
少しして、口を開いた。
「…ごめん恭也。今日はもう帰ってくれる? ちょっと頭冷やしたいから」
「でも…」
「一人になりたいの。またいつ俺が暴走するか分かんないし」
真剣な顔でそう言う陽雅さんを見て、俺は頷く。
「…分かりました。また連絡します」
「うん。ありがとう」
そして俺は心配になりながらも陽雅さんの家を出た。
_________
恭也が帰り、シーンと静まり返ったベッドの上で俺は座り込む。
恭也に酷い事をしてしまった。
あの時、恭也が泣いているのを見て、優真の姿が重なった。
そのお陰で止まることが出来たけど、もしそのまま続けていたら、恭也を深く傷付けてしまっていただろう。
「はぁ…」
でも、なんで恭也の首元にキスマークが付いていたのだろう。
俺は絶対に付けていない。
でも、恭也も誰とも会ってないって言っていたし、ドルの力を使ってもそう言っていた。
恭也自身自覚が無いのなら、他のドルが恭也の記憶を消したとしか思えない。
でも、恭也の近くに他にドルなんていただろうか。
俺が知っている人は、兄ちゃんくらいしか居ない。
(まさか、兄ちゃんが…?)
違う。そんな訳ない。
兄ちゃんは優しくていつも俺のそばに居てくれて、俺が道を踏み外さないようにいつも見ててくれる。
だから兄ちゃんな訳がないんだ。
でも、だとしたら誰なんだろう。
零斗はサーモだし、泰輝は吸血鬼だ。
だとしたら残っているのは──
(…快くん?)
快くんがもしドルだったら。
快くんは恭也の事が大好きだ。
もしかしたら、そういう感情を持っているかもしれない。
だから恭也に手を出した後、友達でいる為に記憶を消したのかもしれない。
(…違う)
この間零斗と二人を大学に迎えに行った時。
確か快くんは、自分のことをフィールズだって言ってた。
お客さんでフィールズの子が居たからどんな能力かは知っている。
でもそれも恭也といる為の嘘かもしれない。
そう思ってしまう自分に首を振る。
なんでこんなに快くんの事疑ってるんだ。
(…もう考えるのやめよう)
俺はため息をついた後、部屋を出た。
_________
日が沈み、辺りがすっかり暗くなった頃、大学の門の端で中の様子を伺う。
今日は快がサークルだから帰るのが遅くなる。
だから早く会いたくて大学に迎えに来た。
(そろそろ終わるよな…?)
それから少しして、快の姿が目に映る。
快は複数人の人と一緒に居るようだった。
(サークルの仲間か?)
続けて見ていると、快の横を歩く男性が快の方にカメラを向けた。
そして、フラッシュの様な光が見えた後、快は男性の方を見た。
男性は快にカメラの画面を見せて、ニヤニヤ笑っている。
(なんだアイツ…つーかなんか距離近くね?)
胸がぎゅっと締め付けられるような感覚がする。
(やべぇ…嫉妬してる…)
早く快の元に行けばいいのに、何故か足が動かない。
そんな事をしている内に、会話が聞こえる程に近くなった。
「…いっぱい食うぞ〜」
「なんか久しぶりだし張り切ってめっちゃ食うかも。快もいっぱい食えよ?」
「もちろんです。まぁ、先輩達ほど食べれないですけど」
(食べるって…どっか行くのか?)
「俺より若いのに何言ってんの」
「慧人さんが大食いなんですよ」
(…慧人。コイツ、慧人っていうのか)
「俺が大食いなんじゃなくて快が少食なんでしょ?」
「俺は少食じゃ…」
快はそこで言葉を止め、こっちを見る。
俺は慌てて身を隠した。
「快、どうしたの?」
「…いや。何でも無いです」
「何だよ〜。まぁ、いいや。早く行こ」
慧人という人がそう言って、快達が横切っていく。
良かった。バレてねぇみてぇだ。
俺は、帰り道とは反対方向に歩いていく快の後ろ姿を、隠れながら見つめる。
「なんか張り切ってるし慧人の奢りで」
「は〜? なんで俺の奢りなんだよ」
「いいから奢れよ」
「まぁ、快が奢って欲しいって言うなら奢ってもいいけど」
「いや俺は別に奢ってもらわなくてもいいです」
「じゃあ奢らない」
「ちょっと朝倉くん。そこは大人しく奢られ…」
声が段々遠ざかり、聞こえなくなった。
それにしてもあの慧人って奴、快の事気に入ってんのか?
写真撮ったり距離近かったり”快が奢って欲しいって言うなら奢る”なんて言ったり。
(あー…ムカつく)
もういい。快もアイツらとどっか行くみてぇだし、大人しく帰ってやる。
俺は快達に背中を向け、歩き出した。
少し歩くと、後ろから甘い匂いがする。
「零斗さん」
振り向くと、快が笑顔で立っていた。
コメント
1件
いや…このエピソード、重かったですね。陽雅さんの嫉妬と疑念が暴走して、恭也くんを傷つけてしまう場面と、その後の自己嫌悪と、さらに快くんへの嫉妬が再燃する流れ…。恭也くんが「自分が悪いんだ」って思い込んで謝るシーン、胸が締め付けられました。キスマークの真相がまだ明かされていないから、これからどう転ぶのか気になります。恭也くんの前で優真さんの影が重なったという一文が、陽雅さんの過去と現在を繋ぐ伏線になってて印象的でした。