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___________________________日本side
「…」
明かりの無い少し開けた場所に聳え立つ大きな総合病院。
木々の間から底無しの闇が不気味に此方を覗き込んでいた。
「…ほんとに此処入るの…?」
そう言って私の右腕にしがみつく黄色の目をした彼。
私はパラオは怖がりである事を改めて思い知るのだ。
「…えぇ。依頼はしっかりと達成しなければいけませんから。」
「…大丈夫、?」
「…、貴方に何かあれば私が必ずお守りしますよ。」
そう言っての建て付けの悪い扉を開けた途端、周りの木々が騒めき出した。
強く風が吹いたのだろうか。
「…ないち…、もう帰ろうよぉ、」
涙目で私に話しかけるパラオ。
其れに私はこう返した。
「…では、この棟の1階を探索して帰りましょう。」
「…わかった、」
私は手に持っていた懐中電灯に電源を入れ、明かりを付けた。
すると明かりによって暗闇の中から浮かびあがったのは、
壁紙が所々破けてしまい、凄惨なことになってしまった部屋だった。
部屋を隅々まで照らし、様子を見てみると、
床に散乱した資料の数々や、汚れて埃まみれになった長椅子等が其処に有ったのだ。
「…これは…、」
酷く汚れたり散らかったりしている所為で分かりづらいが、
此処が廃墟に成り下がる前までは【待合室】として使われていたのだろう。
床に散乱した資料を少し見てみると、
来院者の名前や住所、性別、血液型等の個人情報が並んでいた。
恐らく、来院者の記録や名簿等だろう。
埃っぽい院内を進んで行くと、待合室から廊下へと出た。
廊下は長く続いており、懐中電灯の光が届かない範囲は暗くなっているほどだ。
…そして中々雰囲気がある廊下だった。
「…パラオ此処やだ、」
そう言って待合室の方へと私を引っ張るパラオ。
引っ張られた右腕が痛い。
暗い所為かは分からないが、パラオの顔色が悪くなっている様に見えたため、
この病院から一旦出る事になった。
「大丈夫ですか?」
「…少し休めば大丈夫だよ、」
そんな会話をした後、私は玄関の扉に手を伸ばした。
…冷たい扉の取手の感覚が妙に気持ち悪かった。
「…ねぇ、ないち、僕たちが入ってきたとき…扉閉めたっけ、?」
「…え、?」
なんだか嫌な予感がして、扉を開けようと試みる。
すると、扉は少しも動かないのだ。
どれだけ力を入れて開けようとしても、引っ張っても。
扉は開かないのだ。
「…なんで…、」
全力で扉を叩く。
だが扉が動く筈もなく、ただ扉を叩く打撃音が静かな院内に響き渡るだけだった。
すると…、
コツ、コツ、コツ、
廊下の方から足音が聞こえてきたのだ。
… 暗い院内に誰かが居る訳がない。
玄関は開かず、待合室に留まってしまう事になる。
パラオに背を向け、身体の後ろに立たせる。
こうする事で、少しでもパラオを守れると思ったのだ。
震える手を抑えながら、足音のする廊下の方に身体を正面に構えた。
…何が此方に近づいているのか?
分からない。
今はそんなことよりパラオを守らなければ。
近づいて来る足音を警戒し、私は廊下方面を睨んだ。