テラーノベル
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あの人とは俺と紅が仲良くなって、どれくらいだったろうか。
俺達とは少し年の離れた人だれど、一目見た俺が紅の血縁者だと分かるくらいには似ている。
名前にぴったりな明るい紅の姉ちゃんは元気だろうか。
そこから1時間くらい経っただろうか。
課題に向かって、うんうん唸っていると軽快な音が部屋に鳴り響く。
画面を覗き込めば、紅がLINEしてきたらしい。
どうなったか…結果は見えているが一応本人の口から聞いておこう。
「朔」
「どうだ?」
紅のメッセージは簡素だと思いつつ返信を終わらない課題と共に待つ。
「勝訴」
「ということは?」
「お泊まり会出来る」
どうやら予想通りのようだ。どんな言葉をかけてやろうかと考えていると再びメッセージが送られてきた。
「いや本当にね?死ぬかと思ったよ。親と姉さんに好きな子と泊まりたいとか言えないじゃん?でも朔だけじゃないのは事実だろ?本当にどうやって誤魔化そうかと…!」
「オツカレサマデス」
前言撤回。紅のメッセージは割とうるさい。若干引きつつも、それだけ苦労したのだと自分を納得させる。
取り敢えず「お疲れ!」というスタンプを送りながら、床に寝っ転がった。
入ってくる日差しは夏らしく眩しいが、俺の心を躍らせるには十分だった。
さて、協力者にも感謝しなければ。
俺は少し前にLINEしたばかりのアカウントに、再びメッセージを送った。
「ちょっと今いいですか?」
俺にしては少し硬めの文章。でも年上だし、紅の身内だからな…と1人で考えながら寝て待つ。
「あら?朔君から私にLINEだなんて…珍しいこともあるのね」
通知の音に導かれるように画面をみると、最後にLINEしたのはいつだったか。紅の姉ちゃんが返信していた。
「実は…ちょっと相談があるんです」
「私にするってことは紅関係かしら?」
「はい」
蝉の鳴き声が聞こえるこの部屋で、俺はとうとう紅の姉ちゃんに紅の恋愛を教えた。
話し合った末に、この事はお互い紅には話さないことにした。躊躇っている様子がみられたし当然と言えば当然なのだが。
でも、紅の姉ちゃん…陽菜姉ちゃんを味方につけられたのは心強いと思う。
感謝のメッセージを送れば陽菜姉ちゃんは心底楽しそうな文面で
「どういたしまして〜♪」
と返してくれた。
夏らしい気候に動くのも億劫だけれど、それよりもずっと熱い日々を送る2人をみたら、少しだけどうでも良く思える。
いや…2人だけじゃない。俺と葵もだ。
俺達は出会ってちょっとで、こんなにも強く繋がってるんだと今更実感する。
運命、だなんてロマンチックな言葉も今ばっかりは言っていたい。
俺はやっと区切りのついた課題を片付けた。
コメント
3件
久々の「君と夏」だー!!!!✨待ってました!! おお!お泊まり会大勝利!紅くん頑張ったんですね!! どうやって誤魔化したのやらww お泊まり会編もそろそろ近い、、、めちゃくちゃ楽しみです!! 紅くんの姉、陽菜ちゃんが登場したー!!まさか情報共有をするとは、、、頼もしい仲間が出来ましたね! 次回も楽しみです!✨ 久々の投稿お疲れ様です!
読んで下さりありがとうございます!作者のぬんです! かなり久々の投稿となってしまいました…すみません! 本当は参加型を終わらせてから戻るつもりだったのですが、最近中々意欲が沸かず…こうなってしまいました。 ちゃんと参加型も「君と夏」も完結できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします!