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ぜっっったいに好きを引き返さないでくれ!? もうハグとかさぁ…ッッ…私✗ぬって…ッッッ!! 次も待ってるね!
帰りたくない
駅前の小さなコンビニ。
買ったドリンクを片手に、いるまとらんは自販機横のベンチに腰を下ろしていた。
いるまは微炭酸のレモンソーダ。
らんはストロベリーミルク。
「お前、ほんと甘いやつ好きだよな」
「んー。いるまは甘いの苦手?」
「別に……甘すぎなけりゃ平気」
「ふーん。じゃあ俺のことは?」
「……は?」
「俺のこと、甘すぎたりしない?」
いるまは思わず、口元をペットボトルで隠した。
「……バカ。何聞いてんだよ」
「ふふっ。いるま、照れると目そらすよね」
らんがニコニコしながら見つめてくるその顔に、
さっきまでの恥ずかしさが少しずつ和らいでいく。
日が落ちてきて、夕暮れが街に混じり始める。
「……ねぇ」
と、らんがふいに言った。
「今日は、まだ帰りたくない」
「……なんで?」
「もっと、いるまといたいから」
その言葉が、静かに胸に落ちてくる。
(こんなの……拒否できるわけないだろ)
いるまはしばらく黙って、それから立ち上がった。
「行くぞ」
「え?どこに?」
「別に、どこでもいい。……お前が一緒にいたいって言うなら、歩くだけでもいいから」
「っ……うん」
らんは立ち上がって、そっと腕を絡めてきた。
もう手をつなぐだけじゃ、物足りなくなってる距離感。
街灯が灯り始めた帰り道。
誰もいない裏通りを歩きながら、いるまがふと立ち止まる。
「……もうちょい近く来いよ」
「え……」
その言葉に、らんはちょっとだけ照れながら、肩を預けてくる。
「こーゆーとき、抱きしめたくなんだよ」
「……うん。して」
許可が出たその一言で、いるまはらんの背中に腕を回して、ぎゅっと抱きしめた。
「……お前、ほんと甘すぎ」
「じゃあ、いるまのこと、これからもっと甘やかしてあげる」
「調子乗んな」
そう言いながらも、いるまの腕はゆっくり、らんを強く引き寄せた。
鼓動の音が、2人のあいだで重なっていく。
この「好き」は、もう引き返せない。