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刻の碧律

69 - 第11話:「赫の標的」

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2025年04月02日

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第11話:「赫の標的」



📷 シーン1:瓦礫の迷路


夜明け前、空は濃紺に染まり、星峰特区の廃ビル群には冷たい風が吹き抜けていた。瓦礫に埋もれた街路を、ナヴィスたちは静かに進む。


ナヴィスは肩にカメラを背負い、目元にゴーグルを装着していた。短めの金髪が風に揺れ、迷彩ジャケットの裾がひらつく。


「ギア、次の遮蔽ラインはどこだ?」


ギアは、灰色のフード付きコートの中からモニターを引き出し、無表情のまま応える。


「北東に残響フラクタル反応。追跡ドローンを避けるなら、左だ」


彼の黒髪は束ねられ、眼鏡の奥の鋭い目が光を捉えていた。


「ゼイン、後方確認を」


ナヴィスの呼びかけに、背後を守っていたゼインが軽く顎を上げた。黒いタクティカルスーツに身を包み、腰のホルスターには特殊フラクタル銃がぶら下がっている。


「異常なし。けど……来てるな」


ゼインの瞳が碧色に淡く輝いた瞬間、彼の中に響く声。


すずかAIの落ち着いた女性の声が脳内に届いた。


「ゼイン、後方約150メートル、敵反応4。偵察型赫ドローンと確認。迎撃推奨」


「よし、仕掛ける」


ゼインは地面を蹴った。





📷 シーン2:赫のドローン部隊


ドローンの群れが光を纏って迫る中、ゼインの碧素が閃いた。


「——《ラディアント・バースト》!」


彼の周囲に展開した碧色の粒子が、瞬時に閃光となり爆ぜた。炸裂するような光の波がドローンのカメラを焼き潰し、機体が一斉に墜落する。


「効いてる効いてる!」


ナヴィスが叫びながら、彼自身もフラクタルを展開した。


「——《ミラージュ・ベイル》!」


姿がかすみ、まるで空気の中に溶けるように彼の影が分裂し、ギアの影と交錯して敵の索敵網から逃れる。


だがそのとき、ビルの上層から真紅の光が降り注いだ。


赫共産部隊の狙撃兵だ。


「……位置、上!」


すずかAIが即座に警告を放つ。


「建物上階に狙撃フラクタルを保持する赫兵士。反応速度は人間平均の1.6倍。ゼイン、回避行動を!」


ゼインはその言葉に合わせて、空中で身をひねった。


「——《ブリンクスラッシュ》!」


空間を一気に跳ね、光の残像を引きながら上層へと駆け上がる。


ビル壁面を蹴りながら上昇し、赫兵の目前に肉薄したゼインの体が一瞬浮かぶ。


「遅ぇんだよ……」


——拳を突き出す。


赫兵の防壁が起動するも、ゼインの拳に纏った碧素がその層をぶち破った。


「——《バースト・インパクト》!!」


ドカンッ!と爆音が鳴り、赫兵の体が後方の壁に叩きつけられて沈黙した。





📷 シーン3:影の警告


戦闘の直後。静寂が戻ったビルの一角で、ギアが残骸から回収した端末を調べていた。


「これ……位置情報付きの通信ログだな。赫察総局の通報用データ。完全に監視されてた」


ナヴィスが眉をしかめた。


「ってことは、俺たちの居場所、バレてるか」


すずかAIが、明瞭な声で答えた。


「正確には、行動パターンと滞在時間の推定に基づき、現地部隊への展開が開始されています。20分以内に、赫共産部隊の増援が到着します」


ゼインが碧素の煙を吹き払った。


「チッ、のんびりしてらんねえな……」


ナヴィスはカメラを構えた。


「じゃあ……走りながら撮るか」


その目には、戦火の中でも希望を信じて前を向く強さが宿っていた。

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