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「全然俺の気持ちなんか気付いてなかったみたいで、今のようなことは

もう止めろって言ったら心底驚いてましたよ。


実は俺もそんなこと言った自分に驚きまたけどね。


前からモヤモヤはしてましたけど、強い言葉で止めさせるなんて考えてま

せんでしたから。


人って自分で思ってた以上に秘めてる強い気持ちを出せる

瞬間があるもんなんだなぁ~なんて!」



「相手への強くて深い想いがあるからできたのよ、きっと」


「自分でも気づかないうちにそういった気持ちが育ってたみたいです」



「ごちそうさま」


「あぁ、いぇその……」


「んでぇ~、一番気になるところだから、この際だから聞くわ。

あなたと篠原さんの関係は今どうなってるのかしら?

結婚まで行くとか?」




「そのつもりです」



「そっか、おめでとう。

心配しなくていいわ、口が堅いのよ? ……私」



「ありがとうございます」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇



松嶋さんから単刀直入に例の社内に広まっている噂は俺が発端なのかと

聞かれた。


こんなことを直截的に聞いてくるっていうことは、かなり篠原の所業に

興味のある人間だということが言えよう。


まぁ、ほとんどの人間が大なり小なり、少しの興味はあるはずだけども。



松嶋女史は最後にドキリとするようなつぶやきを残し、踵を返して行った。




「しかしねぇ~、彼女あんなことして何がしたかったんだか……だわね」



それは俺もずっと考えていたことだった。

ちゃんと聞かれれば、俺は答えていただろう。


だが、既婚男性を誑かしていたどうにもならない後輩が一転して

女性なら大抵の者が焦がれる結婚という幸せを掴みそうになっている

のを知り、もう一瞬にして篠原に関する興味を失くしてしまったのか?

松嶋さんはつぶやきの範疇で終わらせ、俺の前から去って行ってしまった。


答える人のいない場所で俺は誰にともなく、呟いた。



「正確には分からないけど。

篠原はきっと生い立ちから既婚男性に対して父親を投影させることで、

父親に復讐していたんじゃないだろうか。


上手く言葉にできないけれど、そう思えて仕方ないんだよなぁ~」



“ 新たな展開 “



しかし、 姫苺 は一体どこに?


気が引けたが、再度義実家へ連絡を入れてみた。

だが、帰ってないようなのだ。


なんとかそれらしく義母さんには取り繕って電話を切ったが……。


実家に帰るには帰ったようなのだが、日曜日にはこっちに帰ると言い

あちらの家を出ていた。


……ということで離婚はまだ決定的というわけでもなさそうに

思えるのだが、楽観的過ぎるだろうか。


ちゃんとLINEは返ってくるので、どこか安全な所へ身を寄せていること

は確かなのだろう。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇



冬也とはLINEで話したけれど、今のところ離婚には応じない構えのようで

私たちの話し合いは決裂したままだ。


平たく言えば、成り行きでキスをしたとはいえ、浮気にも満たない案件で

離婚まで発展するようなことではないというのが、奴の主張だった。


そしてその考え方が妥当であると夫は思っているのだろう。

私へのちゃんとした謝罪もないので。


あるのは言い訳ばかり。

なんだかなぁ~。




「さよならぁーさよならぁー、さよならぁーぁぁ~♪

さよならぁーさよならぁー、さよならぁーぁぁ~♪」

同じ歌詞をリフレインして歌う私に近くで聞いていたマリリンが

突っ込みを入れてきた。



「それさ、誰に向けて言ってんのかな-?」



「ヤダっ、分ってるのにそれ聞く?

マリリン、いつからそんな意地悪な人になっちゃったの?」


冗談だっていうのは分ってたんだけど突っ込み返してやった。


夫とのことを考えながらの別居生活を送るうち

慎との生活がことのほか居心地がよく、日に日に私は自分を取り戻し

つつあるのを自覚している。


もうすぐ転がり込んで1か月になる。


いくら相手がマリリンだっていっても、これ以上は迷惑だと思うし

両親にも話して、先行きのことをちゃんとしないとだめだよね。


まずは、住む部屋を探さないと。




「マリリン、長いこと居候してごめんね。

何とか部屋探して出てくから後もう少し待ってね」



「そんなこと気にすんなって。いつまで居たっていいんだぞ」



「ありがと。

たぶん肉親以外で今の私にそんなこと言ってくれるのマリリンだけだよ」



「何だよ、いきなりしんみりすんなよ、 姫苺らしくないって!

それより、 姫苺 ……」



「なに? マリリン……」



「大好きだった冬也さんとほんとにっ、別れんの?」



「うん。もう好きじゃないからね。どうしようもないの」



「ひとつ確認しておきたいことがあンだけどさぁ」



「なにかな?」


「昔 姫苺言ってたよな? 俺を愛してるって」


「あっ、それ覚えてるよ。言った言った……確かに言ったねぇ~ふふ」


「今はどうなのよ」


「なぁに、あの頃私がマリリンのこと愛してるって告白したのに

あんたは、分からんなんて冷たかった癖にぃ~。今頃よく言うよねぇ~」



「人間、長く生きてると歳月が人を変えンだよっ。

で、どうなんだよっ。まだ愛は残ってンのかよ」



ほんとにマリリンって面白いわぁ~。


多感な年頃には、私の愛(の言葉)に愛(の言葉)で返さなかったくせに

おっさんになって、愛なんてちゃんちゃら可笑しい年増になって

女子高生のような質問してくるなんて、『恥ずかしい野郎だねえ~』



「おいっ、てめぇ~脳みその中、口から垂れ流してんじゃねぇ。

恥ずかしい野郎って俺のことを……クッ。 まっ、いいわ。

俺さぁ、最近というには少し前になるけど、実はすんごい体験したのよ」


「ちょ、マリリン何気にオネエ言葉になってなぁ~い_?」



「どこが、なってないわ」

マリリンが怒鳴り気味に言う。



「ふう~ん、それでそれで?」


「買いたいもんや、旅行の金が入用でホスト始めたんだけどな

そこそこ金も溜まって昼の仕事との掛け持ちもしんどくなってきたんで

辞めようかと考えてた頃に、俺お客で来てたバーのママにスカウト

されたんだよ」



「そのママさんのお店にってこと?」


「あぁ、そこのカウンターの中の仕事や力仕事兼、用心棒? みたいな」



「すごいじゃない。ヘッドハンディングってやつよね」


「ね、ホストしてた時にいいひと見つけれなかったの?」



「 姫苺ちゃん、そこかよ……勘弁」


「いやいやいや、そこでしょ、マリリンの場合」



マリリンからの 姫苺ちゃんっていう言い方、幼稚園時代以来で

心底脱力した証拠かも。


なんでだ?

マリリンはそこで脱力したけど話を止めず進めた。


注意する都度何もない考え過ぎだと言い張る夫・なのに結局薬局疚しさ満杯だったじゃんか~Bakayaro

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