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トラゾーのピンチに間に合い、奴は殺した。
自分の部下に屋敷の使用人たちのことは任せて俺は自身の国に戻る。
俺らを待っていたぺいんととしにがみくんは気絶しているトラゾーを見て目を見開いていたが、事情を察してそのまま身を引いてくれた。
「(2人とも言いたいことやしてあげたいことあるんだろうけど、ごめん)」
自室に寝かせて、その横に腰掛ける。
「ぅ、っ…?…」
ゆっくりと目を開いたトラゾー。
緑の瞳は潤んでいる。
「くろのあ、さん…?」
「うん」
「おれ…」
ぽろっとまた涙が伝う。
「くやしい、…あいつ、のこと、おれが、殺してやりたかった……でも、かあさんもとうさんも、そんなの、望んでいない……けど、だけどっ…!」
「うん」
「くやしい…にくい、きらい、ころしてやりたい…」
「うん、ごめんね」
「ぼくが、かたきを、とりたかった…!」
幼い言葉で泣きながら訴えてきた。
「…それでも俺は心が狭いから、奴に対してトラゾーが向けるその感情が許せない」
痛みを堪えて起き上がったトラゾーは俺の背中を叩いた。
───────────
起き上がってクロノアさんの背中を叩く。
「…自分勝手な俺でごめんね。…あいつの目にトラゾーを映したくなかった。ただの醜い感情だよ」
振り向いたクロノアさんが俺を抱きしめる。
分かっている。
この人が俺に向けている思いも、全て。
「それも、わかっ、てます……それに、あなたは、やさしい、から…」
「俺は優しくないよ。トラゾーがこんな目にあってるのに醜い嫉妬心で酷いことをしそうだから」
包帯が巻かれているところを触られる。
「傷でも、俺じゃない人間がつけたものが許せない。顔を見せてたことも、容易に捕まって触らせたことも、全部許すことができない。あの場でトラゾーの頭を占めていたのがあの男だってことが許せない」
力を込められ、ずきりと傷口が痛む。
ほっぺを涙でないものが伝っていく。
「心の狭い俺でごめん。でも、手離せないんだよ、トラゾーのこと」
「…く、ろのあさん…」
「その涙も、あの男のせいで流れてると思うと、俺は……」
ほっぺを伝う血を撫でつけられる。
「……、」
「俺、また、くろのあさんのこと、傷付けたんですね…」
俺の血のついたクロノアさんの手に自身の手を重ねる。
「…ごめんなさい、俺も…自分勝手、でしたね…」
「とらぞー…」
「優しいあなたの手を汚させてしまった…」
「違うよ、俺の我儘だ。それに俺は優しくなんかない。あんな人間にトラゾーを近付けたくなかったからだ」
「それも、ひっくるめてです…俺の為に、あなたの心を傷付けた」
泣きそうになるクロノアさんのほっぺを包む。
俺の血がついてしまったけど、仕方ない。
「俺も、ごめんなさい…」
「…トラゾー、」
「あんな人間のこと、一瞬でも頭に占めて」
「……」
「あなたたちだけだと言ったのに、…俺は」
クロノアさんにキスをする。
「…っ、…」
「……今日のことも、過去のことも、クロノアさんで忘れさせてください…」
「…いいの」
「はい、…痛みも、つらさも、快楽も、何もかもあなたがいいです」
きゅっとクロノアさんが口を閉じ、小さく息を吐いた。
「……ホントに、そういう誘い文句どこで覚えてくるのさ」
「クロノアさんやぺいんと以外には言いません」
そっと後ろに倒される。
「血、……傷口、開いちゃったね、ごめん」
「いいです。俺こそ汚してごめんなさい」
手を伸ばして背中に手を回す。
「だから、早くクロノアさんで、俺の頭の中を満たしてください」
「っ、…痛がってもやめないから」
「やめないでください」
裂かれたままの執事服を丁寧に脱がされる。
「傷、増えてないね」
「頭だけです」
むっとするクロノアさんが首筋に噛み付いた。
「ひゃっ…」
「そういうの俺を煽るだけだから。もっと酷いことになるよ」
「丈夫ですから、いいです」
「痩せたくせに」
「ぅ…」
腰を撫でられる。
以前できた深い傷痕に爪を立てられた。
「ひっ…⁈」
「トラゾー、昔は僕って言ってたんだ」
「い、今、そこを掘り返すんですか…ッ」
「いや?やっぱり可愛いなって」
姿勢をずらしたクロノアさんが傷痕を噛んだ。
「ぁう…⁈」
「反応してんね」
「ひ、ゃあ…っ」
ズボン越しにソコを触られて、腰が跳ねた。
「よっ」
なんの抵抗もできないままズボンも下着もおろされる。
「も、…ゃ、です…ッ」
「可愛いね、トラゾー」
ソコを緩く触られてびくりと反応する。
「、ぁ、っ、んっ…!」
「…ごめん、余裕ない。…痛い思い、させるよ」
後ろに手を伸ばし、指がナカに入ってくる。
「あ゛⁈、ひン、ゃぁあ…っ」
「…っ、期待でもしてた?すごい柔らかい」
「ちが、ちがぅう…!」
首を横に振る。
そういうつもりではない。
身体がそう反応するように作り替えられているだけなのに。
「じゃあ、トラゾーはホントにオンナノコみたいになっちゃったのか」
「ひゃぁあっ」
キュッとナカを押されて、自分じゃないような声が上がる。
「どちらにせよ、可愛いからいいか」
「や、ぁっ、ひ、ぅう…」
クロノアさんの肩を掴んで、快楽を逃そうとした。
「、もう、挿れるよ」
ツッと指が抜かれ、途端に喪失感を感じる。
ズボンを寛げる音に少しだけ体が強張った。
「はぃ、」
膝裏を抱え、クロノアさんがソコへ自身を宛てがった。
余裕がないと言いつつ、やっぱり優しいこの人はゆっくりと入ってくる。
「は、っ…ひぁ、ンぅう…」
ぎゅうっと隙間なく抱きしめられ、何もかもが満たされる。
「うれしいです…好き、大好きです、クロノアさん…」
自然と出る涙。
「俺も、トラゾーのこと大好きだよ、愛してる」
遠い昔、両親に言われたことのある言葉。
──大好きよ、トラゾー
──愛してるぞ、トラゾー
「くろのぁ、さん…もっと、もっと…言ってください…」
「ずっと言ってあげる。俺も、ぺいんともトラゾーのこと愛してるよ。大好き、ずっと、傍にいるよ」
「ぅれしい…おれも、あいしてます…ッ」
きゅうと下腹部が震えた。
「俺も、嬉しいよ…ッ」
ナカに広がる熱を感じつつ、お腹を撫でる。
「まだ、足りないで、す…くろのあさ…まだ、おれにくださ…ぃ…っ」
「ッッ…、あとでしにがみくんに怒られてもちゃんと庇ってね」
笑って頷いた俺はクロノアさんの首に腕を回した。