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嘘つき
殺してくれると思ったのに
『…』
「えぇー,マジでどうすんのコイツ」
デカ男が言う
「うーん,一旦精神病院に連れて行く?」
抹茶女が言う
『…』
そういえば改めて見ると…何だ?この人達の後ろに何か居る
「ん…?この子何見てんの?」
細身の男が言う
『…』
うわぁ何か翼が生えてる
未知の生物なら殺してくれるかな
「…ちょっと待って,この子まさか
「おーい」
『?』
レイさんが手を振っている
「こっちーー!」
『…』
無言で近づく
任務で遠出に行くらしい,その為に準備していた手を止める
「次の任務場所の話なんだけどさ」
あぁその話か
「あ,その前に給料」
渡された封筒は割と太い
『オォ…』
『てか給料とかあるんですね』
「まぁ国が隠蔽してるだけで無いわけじゃないから」
『へぇ』
ちゃんとあったんだ
『にしても多いですね』
封筒をチラ見して言う
「…そう?」
『いやーだって前とか五万円くらいでしたし、』
「…確か前職が豚を解体していたんだったか.もっと貰えると思うんだけどなぁ」
『あぁ,だってアレは…』
「おーい,そろそろ行くぞー」
犬みたいな奴が言う
「いや俺の名前…アレックスだし、」
『…』
確かに,しっかり見ると日本人じゃなかった
ベラベラ喋ってたから気づかなかったな
『アレックス』
「そう!」
パッと笑顔になる
犬じゃん
ゴールデンレトリバーか何かかよ
「あー次の任務場所が沖縄だっけ」
沖縄…確か知り合いが移住してたな
てか県外とかあるのかよ
てか金とか取られないと良いのだが…
『金は…』
「私が自腹で払いまーす」
とVサインしながらレイさんが言う
『…ですが』
「私結構金あるし,てか依頼を引き受けたのは団長の私だし」
「そう言うのは自己責任かなぁ」
と言いながらスマホをいじっている
『…』
空港,久々に来たな
中には修学旅行の時期なのか学生達が居る
…ん?
1人,両手にポケットを入れている黒髪が居る
ソイツはチラリと此方を見た瞬間
悲鳴を上げた
他の人達もギョッとしてソイツに視線が集中する
我に帰ったのか人々に頭を下げている
レイさんが言う
「…何か彼,貴方の事見た瞬間悲鳴を上げなかった?」
『気のせいだと思いますが…』
「あっ早くしないと遅れるよ!」
アレックスが言う
言うのを忘れていたが87部隊全員が来ている訳では無く,私とレイさん,アレックス,双子だ,広とアリスは別任務らしい
「そういえば僕と新人君以外男がいないや…」
しょんぼりしながら言う
幻想で犬の耳と尻尾が見える
…声は低いし身長は高いし髪は短くて筋肉質だからが良く間違えられるが…
『私は女だ』
「ふぁっ!?」
目を見開き奇声を上げる
双子がアレックスを見る
「…マジか」
「アンタ鼻が効くのに分からなかったんだ」
レイさんが言う
双子がビクビクしているので両腕で首根っこを掴み片方を肩車しもう片方を両手で抱っこする
「お前ガキにはやけに甘かったよな」
前へ通り過ぎるついでにさっきの奇声男に言われた
『…』
何か見た事あるんだよなー
あ,あいつ中学の奴だ
「もしかして…知り合い?」
アレックスが言う
『あぁ,中学時代の…』
殺し掛けた相手って言ったらまずいな
『…少し因縁がある相手だ』
「…ア,ナンカ,ゴメンナサイ」
急にアレックスが謝り出した
『何故謝るんだ?』
「いや,だって…」
面倒くせーー
溜息を吐き言う
『親友の話とか……以外はしなければ別に良い』
「わ,わかりました」
何で今更敬語なんだよ
『今更だが依頼内容は何ですか?』
アレックスに話しかける
「そうそう,その依頼内容なんだけどさ」
「とある男性の恋人が自殺して気を病んで沖縄に移住したんだけどさ」
恋人…ありあんな,て事は別の人物か
「その男性の周りで不可思議な事が起こるらしくてね」
『その不可思議って…?』
「…言いにくいんだけど,その,……夜な夜な……えっと」
急に言葉がタジタジになった
『性的な内容ですか?』
「…ウン」
顔が真っ赤だ
「えっと…夜な夜な男性の喘ぎ声が聞こえるらしくて…」
双子を見る
言っていることの意味が分からないようだ
『…』
「それで偶然居合わせた視察隊が男の喘ぎ声に耐えかねて外に出た時,とある個体に遭遇したらしくてね」
「…その個体の見た目が人間形何だけど肌の色は薄紫で首に1本の角とおでこに1本の角が生えてるらしくてね,その個体がとんでもなく速くて…」
「そこで討伐の為に射的が得意なレイさんとサポートで僕らが付くことになったんだ」
『隊長って射的が得意何ですか?』
「そうそう!本当に凄いんだよ!組織の中でも1番!」
意外だ
87部隊…あぁ
射的は出来ても強い弱いは個体差あるからなーあまりこの話題は触れない方が良いな
1人の子供が目の前に居る化け物を虚な目で見つめる
子供の格好は血だらけで、頭から血を流している
化け物が子供に話しかける
「お前からは強い念を感じる,取引をしないか?吾輩と一緒に天界を潰さないか?」
そう言い子供は頷く
「ならば契約成立,貴様に今から我輩の護符を与えよう」
子供から黒い炎が巻き上がり両手には1本の線が引かれていた