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@ きみ以外なんて選ばないよ
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敦は心底意外そうな顔をして、目を丸くした。
「だ、だって…お皿洗わずに寝てたから、しゅんのお仕事増やしちゃったし…ごめんなさい」
僕は俯いてしまって、ただ謝りたくて仕方なかった。
視線を床に落とし、彼が声を荒らげるのを身構えるように待ってしまう。
でも、敦は違った。
「……ひろ」
瞬間、敦の大きな右手が僕の頭にそっと置かれて
まるで思い入れのあるぬいぐるみに触れるように優しい手つきで、頭を撫でてくれた。
髪を優しく梳くような、慈愛に満ちた手のひら。
俯いていた顔を上げると、敦は顔を綻ばせた。
「頑張ってる子を、怒ったりしないよ」
その表情には、怒りなどどこにもなかった。
「…!」
そのあまりに優しい言葉に、頭が強い衝撃を受けたようだった。
「…っ、なんで……?ぼく、しゅんが一生懸命仕事してる間、眠ってたけだなのに…」
涙がこみ上げてきて、視界が滲む。
「なんで…って、ひろがぐっすり眠ってるの見て嬉しかったから」
「え…」
敦の穏やかな声が耳に染み込んだ。
「ひろのお仕事はしっかり休むことって言ったでしょ?」
「で、でも…寝てるだけなんて、働いてるしゅんからしたらサボってるって思われそうで、罪悪感が……」
どうしても自分を許せない僕に、敦は小さく息を吐いて、悪戯っぽく笑った。
「じゃあ質問ね。ひろはさ、俺が頑張りすぎて病気なって、ベッドで休んでたら怒るの?」
「え?そ、そんなわけないよ…!しゅんがそんなことなったらゆっくり休んで欲しいし、無理して欲しくないし…」
即座に否定した。
敦が倒れたら、僕はきっと全力で彼を休ませるに違いない。
「でしょ?俺も同じ。ひろに無理して欲しくないんだ」
「しゅん…っ」
「仕事してるからこそ分かるけど、休んでるひろを見て〝サボってる〟なんて思わないよ」
「…っ」
敦の言葉は力強く、僕の頑なな心を解きほぐしていく。
「本当に頑張ってる人ほど、限界まで自分を責めがちだし、ひろは尚更じゃない?」
「……そう、かな」
「…だからさ」
敦は一度箸を置くと、テーブル越しに身を乗り出し、真剣な表情でこちらを見つめてきた。
「“何をするべきか”よりも、“何ができるか”を考えればいいんじゃないかな」
「何ができるか…を?」
「うん。少なくとも、今のひろにとって“少しでも寝れた”っていうのは大事な実績だと思うよ」
───そんな風に言ってもらえる資格が、僕にあるのだろうか。
こんなに壊れてしまって、何もできない僕をどうしてそこまで肯定してくれるんだろう。
そう思ってしまう自分は消えないけど
とにかく、敦のくれる言葉が嬉しくて
喉の奥がぎゅっと詰まり、涙腺がゆるむのを感じた。