テラーノベル
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その事実が、僕を底なしの安心感へと沈めていく。
卿は僕の手を掴み、指を強く絡ませながら腰を動かし始めた。
突かれるたび、脳の芯が痺れるような、とろけるような感覚が襲う。
彼は僕の表情を、苦しげでいて悦びに満ちた声の一つひとつを、すべてを飲み込もうとするかのように見つめていた。
「ゆず……ゆず……愛してる。誰にも渡さない……誰にも見せたくない……この部屋で、俺だけを見ていればいいんだ」
「ぁ、っ……ぼくも、っ……きょ……きょう……っ! どこにも、いかないから……っ、!」
激しく打ち付けられる肌の音と、混じり合う甘い吐息。
窓の外の知らない街、冷たいアスファルトの恐怖なんて、もう微塵も思い出せなかった。
この部屋の中で、彼の腕の中で、彼に壊されることだけが、僕にとっての唯一の正解であり、存在理由だった。
愛撫が頂点に達し、身体の芯が焼き切れるような熱気に包まれる。
卿の動きはより烈しく、容赦なく深くなっていく。
僕は彼の背中に爪を立て、あふれ出す快楽に身を委ねた。
身体中の神経が彼の動きに同期し、思考が白濁していく。
「ゆず……っ、一緒に……!」
彼の低い声が鼓膜を震わせ、同時に僕の視界は白く弾けた。
熱いものが内側に激しく注ぎ込まれる感覚と共に、僕は全身を激しく痙攣させ、彼の名前を何度も叫んだ。
卿は僕を押し潰すような力で抱きしめ、首筋に深く歯を立てた。
二度と逃げ出せないように、その場所に生涯消えない刻印を刻み、僕を完全に自分の一部にするかのように。
余韻の中で、二人の荒い呼吸だけが静寂を埋めていく。
汗ばんだ肌が密着し、心臓の鼓動がまだ乱れたまま共鳴し合っている。
卿は僕を抱きしめたまま、僕の頬に残った涙の跡を優しく、愛おしそうに舐めとった。
その舌先すらも、独占欲に濡れている。
「……明日……」
「ん……?」
僕の乱れた髪を指で梳きながら、卿が甘く、少し独占欲の滲む声で応じる。
その声には、もう昼間の険しさはなかった。
「一緒にケーキ作って、食べたいな」
「ふふ……それだけでいいの?」
「うん。卿と一緒なら、それだけで楽しいから。……僕、もうどこにも行かないよ。卿のそばに、ずっといる。卿がいい子だって言ってくれるなら……」
天井を見つめる僕の目に、涙とは違う、確かな幸福の光が宿った。
かつては暗闇に怯え、孤独に縛られていた日々。
でも今は──この温かい、少しだけ歪で完璧な「籠」こそが、僕の帰るべき場所。
「おやすみ……きょう」
「うん、おやすみ…ゆず。愛してるよ、俺の可愛い、俺だけのゆず」
卿の腕に抱かれ、僕は深い安らぎの中へ落ちていった。
コメント
1件
こういう作品好きです!! 続き待ってます!