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『ガガーン!!バチバチバチビチバチッ!!。シュ!シュウゥゥゥゥ…』
「はぁはぁはぁはぁはぁ……。どうだぁ?天災ぃ。……ちっ!だめか…」
平原の遥か先に夕日が沈む。このバカでかいスライムに会敵してから約六時間。俺はその半透明な小山に向けて最大出力な轟雷を放ち続けている。落雷させるたびに稲妻は外膜を蒸発させ、その体内が沸騰しているのも目視できている。が。雷撃の効果はどうあれ足りないのは圧倒的に出力だ。
例えばマンションなどの火災だろう。消火開始から鎮火に至るまで、時間がかかるのは高熱を奪うための水の量が、火力が放つ熱量に負けているからだ。その熱量を一気に奪えるほどの水をかければ一溜りに鎮火できる。
そして今回はその逆だ。圧倒的な質量と水分を沸騰させて蒸発させるための熱が絶対的に足りない。たとえ天災の体内で体液が沸騰を始めても周囲の水分が包み込み、すぐに冷却するのだ。慰めと言えば濛々とした蒸気が上がる事。その分は確実に削れているのだが、奴の大きさは変わらない。
「はぁはぁはぁ…。やっぱり轟雷の2乗程度じゃ…表面を削るのがやっとだなぁ。…数を撃ちゃなんとかなるかと思ったけど、数分だけ動きが止まる程度で効果があるとは言えないし。あ〜疲れた…腕が内出血してる?…」
こんな事はやる前から解っていた。しかし今の俺では轟雷とゆう有効な雷撃魔法を今以上には昇華させられない。それは圧倒的な知識不足と経験不足からくる超え難い壁だろう。せめて昨夜の計算通りに、轟雷を3乗できれば今よりは進展が望めるはず。しかし嬉しい大きな誤算もあったのだ。天災とゆう巨大スライムは自己再生をしない。ならばまだ打つ手はある。
「しかし…ここまで何発撃ったぁ?。え〜と…………12から3くらいか。まだ魔力はたっぷりあるんだけどなぁ?。でも一発撃つたびに全身がギュッてなって息が止まりそうになるし。…もっと肉体が慣れてこないと、自分の魔力で潰されちまう。…ん〜。ポーションかぁ。使いたくないなぁ…」
フロッグに凭れかけて休んでいる俺の視界に真っ白な薬箱が入った。日本で見たのと同じ様に、赤い十字架が描かれている箱だ。俺は恐る恐る覗き込んでみる。そこにはカラフルなアンプル瓶と一緒に、貼るタイプの包帯が詰め込まれていた。そのアンプルの小瓶は回復薬らしいのだが抵抗が…
「う〜。コレって見た目が…〇〇打破とかの眠気覚ましに似てるんだよなぁ。あれ飲みすぎて胃をやられたし。…それ以来…濃縮カフェインとか飲むと吐いちゃうんだよなぁ。あの苦しさったら無かったし。…う〜ん…」
正直なところ、この異世界に来る前の俺はファンタジーな世界なんて全く知らなかった。幼い頃に、○ラ○ンクエストとかゆうテレビゲームを齧ったことはあるが、全てがチンプンカンプンで…序盤で挫折してしまったくらいだ。ポーションとは傷ぐすりの濃縮版らしいしが…酷く抵抗がある。
「ミアンは旨そうに飲んでたよなぁ。猫なのに。怪我も治って体力も回復するスグレモノらしいけど…濃縮かぁ。魔力の放出量の大きさに耐えられずに…身体が傷ついてるんだからが飲むべきなんだけど。…う、ううう…」
恐らくギルマスとかに告白したら、魔術の発展のためだと解剖されかねない話なのだが、俺の魔力は無尽蔵らしい。使ったそばから精製されているのが体感できてしまうのだ。魔力とは俗に言うところの『チャクラ』で造られるという。そしてそのチャクラとは、武道で示せば『丹田』と呼ばれる箇所らしい。それは主に臍の下にあると言うが…俺の場合は少し違う。
身体の中心線に近いことは同じなのだが、五箇所くらいの部位が活性化しているのだ。それがどことは指し示し難いのだが、たぶん他の魔力持ちよりも多いのだと思う。そして魔力とは、血液と共に身体中を駆け巡っている。それを呪文詠唱とゆう媒体を使って、集中させてから放出するのが魔法だ。そして俺の当面の問題は肉体の虚弱性にある。…どうしたらいい?
『……ズズズ…ズズ。………ズズズ…ズズズ……』
動きを止めていた巨大スライムが、また身体を伸縮させ始めた。全力の雷撃を直撃させても、停止時間は5分程度だ。動き出したら身体の回復を待ちつつ付いていくしかない。今日はずっとこんな感じだ。しかし残り日数を考えると早めに状況を打開したい。このままだと明後日には街から見える距離に近づいてしまう。そうなる前に決定打を叩き込んでやりたい。
「大変そうねぇ?レオちゃん。お姉さんが手伝ってあげましょうかぁ?」
「ひえっ!?。え?。え?。…サクラさん?……何処にいるんです?」
「上よ。う〜え♪。やっほ〜♡貰った金貨の分、手伝いに来ちゃった♡」
「サクラさん、なんでここが?。ってゆうより……空…飛んでますよね?」
夕暮れ迫る中、疲れ切って項垂れていた俺に、不意に声をかけてきたのは空中にフワリと浮いている大魔法使いだった。俺がギルド内で最も尊敬している人物の一人。言い換えれば、俺の魔法の師匠でもある淑女さまだ。
「あらぁ。黒魔女たるもの空くらい飛ぶわよぉ。箒はいらないけどね?。見た限り…状況は良くないみたいねぇ。だけど電撃は良い手段だと思うわよ?。確実に体積を削ぐし、感電することで足も止まるし。でもねぇ…」
「でも?。(良いなぁ。…空を飛べる魔法。……教えてくれないかなぁ…)」
「放出量に限界が見えたわ。…極限にまで増大した魔力を放出するには、今の肉体では未熟なのよ。レオくん、シタこと無いでしょ?まぐわい♡」
青草の上に座り込んでいる俺の胡座の上に、ふわりと羽根のように舞い降りてきた高位魔術師のサクラさん。太腿に座ると、甘えるように首に両腕を回した。彼女の髪からは薔薇が微かに香り、乗せられているお尻の弾力が堪らなく素敵だ。俺の膝に座るのは、初めてパーティーを組んだ時から行われているお戯れ。駆け出しの俺なんかが拒絶していい女性ではない。
「まぐわい?。…マグワイ……まぐわい?……何ですか?それ…。(やばい、降りてくる途中に…サクラさんの生脚を見ちゃったよ。真っ白だった…)」
「カマトトぶってる?。裸になった男と女がスルあれよ?ア〜レ♡。ミアンちゃんとはシテなかったのねぇ♪。お姉さん、ちょっと安心したわ♡」
「あ…ソレのことだったんですね?マグワイって。…ミアンとは婚約してて、結婚するまでシないって事で約束しています。…でも何の関係が?」
睫毛の長い目を細めて見るサクラさんの艶っぽさに胸が高鳴ってしまう。なぜだろう?極東系で欧風な顔立ちのララやミミよりも親近感が湧いてしまった。オリエンタルな顔立ちだからだろうか?僅かな抵抗感さえ無い。思えばこの美女には…地下迷宮での闘いで何度か命を救われているのだ。
「ふぅん。ミアンちゃんと婚約はしてるんだぁ。ふ〜ん。あ、それでね?レオちゃんの今の肉体には『精神域からの活性化』が必要なの。女性の情を受け入れることで、キミの魔力放出への適性が格段に目覚めるのよ♡」
「精神域の活性化。ですか。…でも…女性とまぐわうのが効果的と言われても今は。…仕方ないな。…いったん出直すことにしま……サクラさん?」
それ故にか、ギルドのホールで顔を見なければ気にかかるし、姿を見れば声をかける様になった。ギルド・マスターのリン・ムラサキ氏と高位魔術師サクラさんだけは俺の中の特別な場所にいる。敵にしたくない二人だ。その大魔法使いのサクラさんが、俺の首に回している両腕をキュッと締めてきた。腿に座ったままで白い生脚を絡めてくる。感触がかなりヤバい。
「ホントにお硬いわねぇ?レオちゃんは。そうゆうとこも可愛いけど♡」
「えっと…サクラさん?。…これじゃ立てないんですけど。(うわぁああ!股に!俺のアレに乗っちゃいますってサクラさん!?。う!動けない?)」
その二大巨頭のサクラさんがトンデモナイことを言い出した。確かに生殖行為くらい、生涯に1回くらいは経験しても良いのだろう。しかし今回のはその目的が違う。俺のスキル・アップのためにセックスが必要だなんてどう説明したら良いのだろう?。しかも今ごろは…たぶん全部バレてる…
だが男女の常識を踏まえれば、そうゆう営みは恋愛対象者とするものであって、個人的にはプロにお金を払ってまでしたくない。それに自慰さえした事がない俺が男性として機能するのかさえ疑わしいのだ。つまり、まったくもって自信が無い。ドコにナニを挿れるのかくらいは知っていても…