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#溺愛
桜咲かな
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雲花ヒヨ
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桜咲かな
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夢野ひより
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普通、六本木の高級店であればそれなりの服装で入店するものだろう。その証拠に周りを見渡すと、スーツ姿かジャケットを着用したスマートカジュアルスタイルの人しかいない。俺もバイト帰りで良かったと胸を撫でおろしている。
俺の勤め先はバイトもスーツ、もしくはスマートカジュアルが義務付けられている。俺は毎日の服装を考えるのが面倒なためスーツで出勤しているのだ。
しかし彼女は白のパーカーにスキニーのデニムパンツ。「ちょっとコンビニにでも行ってくるね。」とでも言いだしそうな服装だ。彼女は俺の視線に気が付いたのか、不思議そに俺の事を見返す。
「なんだ? 私の顔に何かついているか?」
「い……いや……堂々としていてカッコイイと思って。」
「堂々と……? 口が悪いからそう見えているだけさ。それに、自信があるように見せている者程、実は自信が無いものさ……。」
彼女は神戸牛の盛られた黒い皿に目を落とす。もしかして、言葉を取り繕うとした結果、彼女の地雷を踏みぬいてしまったのか? 何とか話題を変えなければ……。そう思いしどろもどろになっていると、彼女はニヤニヤと笑いながら俺の事を覗き込む。
「キミは本当に、私が望んだ反応をしてくれるなぁ。私は自信満々の人間だよ。様々な事で成功を収めているからね。そんな調子ではアイやミィに、振り回されっぱなしだろう。」
彼女はケラケラと笑いながら、俺の肩をバンバンと叩く。
「しかし、悪い人間では無いようで良かったよ。アイのやつ、男を見る目だけは無いからな。もしキミがろくでもない人間だったら、出禁にしていた所だ。しかしキミは大丈夫そうだな。うちのお店に通って、ボトルをガンガン開けてくれ。」
◆◆◆◆
肉も野菜も絶品だった。それに、最後に出てきたガーリックライス――ガーリックライスなんて、フライドニンニクとご飯で作られるのだから、どんなお店で食べても大した味の違いなんて無いと思っていた。しかし、絶品の野菜や肉を焼いた後の鉄板で作られたからか、味音痴の俺でも分かるくらいの旨味が閉じ込められており絶品だった。
会計を済ませてお店を出ようとする。流石に女性に奢らせるのはどうかと思ったので、先に少しだけ支払うためにトイレに立つ振りをして店員さんを呼び止めた。しかし既に支払いが終わっているとのことだった。完全に俺が彼女にエスコートされているようだ――いや、完全にその通りだろう。店選びから支払いまで全て彼女に任せてしまっている。いくらお礼だとは言え申し訳ないと感じてしまう。
先にお店を出て彼女のことを待つ。携帯で今月開催されるメルラブのイベントの確認をしていると、すっと彼女が現れ俺の肩を叩く。
携帯をポケットにしまい、気が付かれないように鼻から息を吸う。先程までは、よだれがこぼれ落ちそうな程、美味しそうな肉の香りがしていたのだが、彼女が現れてからはシャンプーのような爽やかな香りがする。
「ムスク系の香水ですか? 良い香りですね。」
彼女は一瞬目を丸くしてこちらを向くとニヤリと笑い、手を後ろ手に組みながら腰を屈めて俺の事を覗き込む。
「目ざといね~。いや、鼻が良いと言った方が正しいかな? 手を出して。」
俺は彼女の言う通り手を出すと、彼女はピンク色の香水を取り出し俺の手首に吹きかけた。
「良い香りだろう。アイの恩人に会うのだから、普段よりも少し良い香水をつけているんだ。」
手首を鼻に近づけて、吹きかけられた香水香りを嗅ぐ。甘めのムスクの香りの中に、フローラルな花々の香りが閉じ込められ、物凄く上品に感じる。一方でどこか心が落ち着くような、ほっとするような香りだ。
「今まで肉を食べていました。」と主張するような香りが一瞬で消し飛ばされ、高級感のある香りに包まれた。
「凄く良い香りですね。俺も大好きです。」
彼女は口元に手を当ててクスクスと笑う。
「お気に召したようで良かったよ。さて、これからどうしようか? まだ早い時間だし今日は金曜日なのだから、もう一軒どこかに行くかい? 確か君はライトノベル作家で、今度ラブコメ作品を描く予定なんだよな。なら女の子のいるお店も紹介出来るぞ。六本木のお店で遊ぶ事なんて多くは無いだろう。私が奢るから恥ずかしがらずに言ってくれ。」
どこまで俺の事を知っているんだ……この人は……。
それはそうと、女の子のいるお店――しかも六本木のお店か……。確かに俺の給料では到底、遊ぶ事は出来ないだろう。チャージ料だけ破産しかねない。
とは言え、女性の金で女の子のいるお店に行く事は流石にありえない。それに、先程のお店でお礼は十分過ぎる程受け取っている。ならば、今度は私が彼女に何か奢らなければならない。しかし、あまりにも値が張るお店だと彼女は恐縮をして支払わせてくれないだろう……。
俺は暫く悩んだ後、ふと良いお店が思い浮かんだ。
「店長さんは、この後お仕事は?」
「まあ、君と別れたらMelty Loveに顔を出そうと思っているよ。」
「なら、新宿に戻りましょうか。恐らく、貴女が訪れたことのないお店を紹介することが出来ると思いますよ。」
コメント
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めっちゃ良かったです…!✨ 高級店の雰囲気とか、彼女の堂々とした振る舞いとか、主人公が「エスコートされてる」って気づくところがもうエモすぎました😭💕 特に、香水のシーンで「香りが消し飛ばされる」って表現、すごく好きです…! あと、最後の新宿のお店の提案、続きが気になりすぎる…! また次のエピ楽しみにしてますね🌸