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プロローグで絶対見るって決めました!続き楽しみに待ってます‼︎
はああ、と少し悴んで赤くなった手のひらに息を吹きかける。
雪がちらほら降るまだ寒い季節。
マフラーをギュッと握り顔を埋める。
冬は苦手だ。
春や秋の様な優しい気候でもないし、夏のように海だプールだと遊べる訳では無い。
ふと空を見上げる。
少し白い青空からひらりはらりと雪が落ちてくる。
何となく手で受け止めて見たものの、すぐに何も無かったかのように溶けて消えてしまった。
そういえば最後に雪だるまを作ったのは何年前だろうと考え、手が勝手に動く。
地面に屈んで一生懸命作ったのは両手に収まるような小さな雪だるま。
少し不格好だがそれがどこか愛おしく思えて、ふっと少しだけ微笑んだ。
そこら辺で拾った木の実で作った目はじっと自分を見つめていて、愛着が湧いて家まで連れ帰ってきてしまった。
家の中に入れては溶けてしまうだけなのでそっと庭の隅に雪だるまを置く。この寒さだ、きっと溶けはしないだろう。
いい加減寒くなってきて慌てて家に入る。
暖房の効いた部屋で暖かいものを食べ、飲む。
これが自分の一番の冬の過ごし方。
布団にくるまると冷えた体をぬくぬくと温めてくれて、眠気が襲ってくる。
「おやすみ、、」
誰に言うまでもなく呟いて眠りについた。
カーテンから朝日が零れて注がれる。
昨日は思わず明るい間に寝てしまった。
そういえば昨日作った雪だるまはちゃんと残っているだろうかと何故か心配になり、庭に出た。
そこには雪だるまの姿はなく、代わりに1人の青年が立っていた。
今降っている雪のように日を受けて輝く白髪が風になびく。
上を見つめる青い目は、白い髪にとても映えていた。
驚く程に白い肌はまるで人形のようで、人間じゃないように感じられた。
その青年がふとこちらを見たかと思うとニコッと笑っていった。
「おはよう、おんりー」
ここからおんりーと不思議な青年の奇妙な関係が始まった。