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チカさんサッパリしてて豪快でこっちまでパワーいただけちゃう💪 新しい繋がりだ✨お姉さんとして、同じ女性としていい距離感でお付き合いできるといいなぁ。
うちから徒歩圏内の洋食屋さんへ行くと、お兄ちゃんはすでに来ていた。
「良子、久しぶり」
「うん」
「チカの方が先に会ってたなんてびっくりだ。とりあえず注文しろ」
メニューを見ながら、ふと思い出して言う。
「お兄ちゃん」
「どうした?」
「あの日っていうかあの前の日……焼き肉の匂いがどこからかしてきて……お兄ちゃんが帰ってきたら、連れて行ってもらおうって思ってたんだ……」
メニューを見たまま言う私の頭をガシッと掴んだお兄ちゃんは、声を絞り出した。
「…明日……仕事帰り、うまい焼き肉に連れてってやる」
「じゃあ、今日はエビフライにする」
にっこりとメニューをお兄ちゃんに渡すとお兄ちゃんは、エビフライとハンバーグを注文し、もう一人が来たらビーフシチューを出してと店員さんに言った。
「ビーフシチューは出来上がってるから早く出てくる」
「なるほど」
お兄ちゃんはスマホを私に向け
「今ここな。この駅まで来られるか?ここの駅近くにうまい焼き肉がある」
「うーん、休みの日にしようかな……」
「お待たせ~こんにちは、良子ちゃん。何の相談中?」
元気に登場したチカさんが迷わず私の隣に座り、大きな笑顔を私に向けた。
「えっと…焼き肉?」
「ふふっ……焼き肉の相談?良子ちゃん、いっぱい食べておいでよ。あっ、山崎チカです。よろしくね」
「佐藤良子です」
「チカも焼き、来るだろ?」
「行かないわよ。今日は良子ちゃんに一度会おうと思ったけど、次は兄妹でゆっくりデートしてくれば?」
お兄ちゃんにそう言ったチカさんは私に‘ねぇ?’と言いながら、お水を飲んだ。
「キャー、私のが一番に来るの?働く者への心遣い?ありがとう、お先にごめん、いただきます」
「どうぞ」
お兄ちゃんが言った時には大きな口を開けて食べ始めているチカさんを見ていると、こちらも元気になり笑顔になる。
「お兄ちゃん、いつ結婚するの?」
「さあ、時期は未定」
「どういうこと?」
不可解な答えに驚いたが、チカさんは美味しそうに食べ続けている。
「まだ決めていないということ」
お兄ちゃんがそう言った時に、私たちの料理が運ばれてきた。
「良子ちゃん、髪1ヶ月以上経ったね。伸ばしていく?」
「いつもこれくらいまできたら切ってました…」
「はい、敬語丁寧語なし。切ってたのはどうして?」
「…何となく……」
「ふふっ…良子ちゃんは顔が小さいから、伸ばすなら伸ばすで髪の量を小まめに調節しないと頭が大きく見えてしまうのよね。体つきも華奢だから頭を小さくまとめた方がバランスはいいよ」
「美容師さんって体つきも見るん…の?」
「顔の輪郭を見る人が多いでしょうけど、私は全体が気になるのよね。良かったら私とも連絡先交換してくれる?直接予約してくれたらいいし、毛先カットだけでもずいぶんバランスは保てるから」
チカさんは私と連絡先を交換すると、2時以降予約のお客様が続くの、と戻って行った。
「元気な人だね、チカさん」
「ああ。たまにぐったりして12時間くらい寝続けて、2日ほど暴飲暴食して回復する」
「回復方法もパワフル……」
「だな。良子は体調いい?」
「うん。もうすぐ3月になるけど、この冬風邪もひいてないよ……一度も」
3月3日は、颯ちゃんの誕生日だ……